
顧客分析とは、新規顧客の獲得やリピート率の向上、マーケティング活動の効率化などを目指すために必要不可欠な手法です。
顧客分析をおろそかにすると、顧客のニーズを正確に把握できなくなり、売上や業績に大きな影響をもたらす原因になります。
また、顧客分析には複数の手法があるので、自社の目的やニーズに合った方法を選ぶことが大切です。
本記事では顧客分析の概要や、現代ビジネスで必要とされる理由、顧客分析を行うメリットと行わないリスクなどを解説します。
さらに記事の後半では、顧客分析の主な手法や実行するときの注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

なお、顧客分析の対象は複数ありますが、主に以下のような項目が採用されます。
上記は一例であり、分析手法に応じてその他の項目を対象にすることもあります。
これらの項目を使って顧客分析を行えば、ユーザー理解をより深めることが可能となり、営業活動やマーケティング活動に役立ちます。
近年はインターネットの普及や技術の発展により、以前よりきめ細かなサービスを提供することが可能になりました。
その結果、ユーザーのニーズが多様化し、性別や年齢といった大枠ではニーズを一括りにできなくなっています。
よりユーザーのニーズに合った商品・サービスを提供するには、その人が何を求めているのか、どのような悩みや不満を抱えているのかを正確に把握し、適切な提案を行うことが必要です。
そのため、現代ビジネスでは顧客分析を実施し、ユーザーをより深く理解する姿勢が求められています。
インターネットが広く普及する以前は、顧客はテレビや雑誌、ダイレクトメールなど企業側が発信する情報を基に、顧客が商品やサービスを選ぶというプロセスでした。
企業側もテレビや雑誌などの媒体を使用する関係上、不特定多数を対象にしたマスマーケティングの手法を採用。
そのため、個々の顧客を深く理解する必要がありませんでした。
しかし、インターネットやモバイル端末の普及により、ユーザーは自身に必要な情報を、自ら選択して取得することが可能になりました。
その分、不特定多数を対象にした情報は徐々に見向きされないようになり、従来のマスマーケティングでは新規顧客やリピーターの獲得が困難になってきたのです。
このようなユーザーの購買プロセスの変化に対応するため、企業は顧客分析の結果に基づいたニッチマーケティングへの切り替えが必須とされています。
サブスクリプションサービスとは、一定の料金を支払うことで、一定期間中、商品やサービスを利用し続けられるビジネスモデルのことです。
例えば、月額料金を払うことで配信されている映像や音楽コンテンツを視聴し放題になったり、毎月洋服を複数枚レンタルしたりすることが可能になります。
これらのサービスは、インターネットを介して申し込めるものが多いです。
その上、必要なときに必要なものだけ利用できることから、手軽さを重視する現代人に重宝され、今やさまざまな産業において大きなマーケットを築いています。
その分、サブスク業界の競争は年々激化。
ユーザーのニーズに沿ったサービスを提供しないと、あっと言う間に顧客離れへとつながりかねません。
また、サブスクを提供していない企業も、ユーザーにとってより魅力的な商品・サービスであることを効果的にアプローチする必要があります。
以上のように、サブスクを提供している企業も、そうでない企業も、顧客分析に基づいたユーザー理解を深めて同業他社と差別化を図ることが急務とされています。
顧客分析を行えば、現在の顧客が何を求めているかを理解しやすくなり、既存の商品・サービスがそのニーズを満たしているかどうかを判断するための、大きな材料となります。
市場ニーズと自社製品・サービスにずれがあることが判明した場合、その時点で迅速に改善策を講じれば、売上・業績の減少や顧客離れを未然に防げるでしょう。
ホットリードに対して集中的にアプローチすれば、アプローチから商談設定までにかかる時間が短縮される上、新規顧客獲得率の向上も期待できるからです。
顧客分析を実施してユーザーの属性や行動をスコアとして可視化すれば、どのユーザーが自社にとってのホットリードになり得る存在なのか判断しやすくなり、営業活動やマーケティング活動の効率化に役立ちます。
すると、ユーザーは「またこの商品を買おう」「このサービスを継続利用したい」と思うようになり、リピーター獲得につながるでしょう。
特に顧客エンゲージメントが向上した場合、特定の商品やサービスだけにとどまらず、企業やブランドそのもののファンになってもらえる確率がアップします。
その結果、ユーザーが率先して自社の商品を購入してくれたり、愛用しているサービスをSNSなどで宣伝してくれたりするようになります。
顧客エンゲージメントの向上は、顧客満足度の向上よりも企業に大きな恩恵をもたらすと言われており、顧客分析を適切に行えばリピーターの獲得以上の効果も期待できるでしょう。
その結果、営業活動やマーケティング活動の費用対効果が低下し、コストを無駄に消費したり、売上・業績が伸び悩んだりする原因となります。
その結果、顧客のニーズにそぐわない商品やサービスを提供してしまい、ユーザーの満足度が低下。
やがて顧客離れが加速化し、売上や業績が低迷する原因になる恐れがあります。
市場競争が激化している今、一度離れた顧客を取り戻すのは簡単なことではなく、業績が長く低迷するリスクも懸念されます。
顧客分析を怠ると、製品・サービスの改善や開発のベースになる顧客ニーズを正確に把握できないため、適切な改善に遅れが生じるかもしれません。
製品やサービスの改善にはコストや時間がかかるため、遅れが生じると会社に与える損害も大きくなることが懸念されます。
どの手法を選択するかは企業のニーズや目的によって変わるので、それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
ここでは、顧客分析の主な手法を5つご紹介します。
デシルランクに区分し、ランクごとに詳細な分析を行うと、リピーターになる見込みの高いグループはどれか判断する目安になります。
デシル分析の結果に基づいて、特定のグループに集中的なアプローチを行えば、効率よくリピーターを育てることが可能です。
デシル分析の基本的な手順は以下の通りです。
上記を見ても分かる通り、分析方法は比較的シンプルなので、それほど手間を掛けずに顧客分析できるところが大きな特徴です。
また、10のランクに区分するという性質上、グループの特性に合わせて個別のマーケティングを行えるところもポイントで、パーソナライズにも役立つ方法とされています。
一方で、分析結果で判明するのは、自社の売上に貢献している優良顧客層か、そうでないかだけです。
そのユーザーがどのようなニーズを持っているのか、グループごとに実施したマーケティング施策が功を奏しているかどうか、などの詳細な分析は行えません。
加えて、ランク分けは累積購入金額に基づいて行われるため、購入頻度が考慮されない(一度だけ高額利用した人も優良顧客扱いされる)というデメリットがあります。
そのため、他の分析方法と併用し、不足している分を補うことが大切です。
グループ分けの条件は複数あります。
大きく分けると、「地域や人口密度などを基準にした地理的変数」「年齢や性別、家族構成などを基準にした人口動態変数」「ライフスタイルや価値観などを基準にした心理的変数」「過去の購買履歴や購買パターンなどを基準にした行動変数」などです。
上記の基準に沿ってユーザーを区分すると、市場ニーズの把握やターゲットの絞り込みを行いやすくなります。
セグメンテーション分析のやり方は以下の通りです。
3では、セグメントごとの特徴と自社の事業を照らし合わせ、より強みを生かせるセグメントをピックアップして優先順位を付けたり、セグメントにアプローチした場合に見込める売上・利益を確認したりします。
セグメンテーション分析は、ユーザーニーズの把握や営業活動の効率化に役立つ方法です。
一方で、特定のセグメントに集中的にアプローチすると潜在顧客を見逃す可能性があること、データの信頼性が低い場合、適切なセグメンテーションが行われない可能性があることなど、いくつかのリスクもあります。
そのため、セグメンテーションとターゲッティングは慎重に行うことが大切です。
R、F、Mの相互関係をチェックすると、自社の現状を明確にしたり、ユーザーの理解を深めたりすることが可能になります。
例えば、F・Mの数値は高い一方、Rの数値が低い場合、かつては自社にとって優良なユーザーだったものの、最終購入日からかなりの年月が経っていることから、顧客離れが起こった可能性があると考えられます。
RFM分析の基本的な手順は以下の通りです。
RFM分析は、自社の現状やユーザーのニーズを正確に把握したいときに有用な方法と言えます。
しかし、ユーザーの詳細な属性やライフステージの変化まで考慮できないことと、F(購入頻度)の低い商品の分析や、購買行動の予測にはあまり適さないところがネックです。
このようなデメリットをカバーするには、商品(Item)や距離(Distance)などの項目を追加してより多角的な分析を行ったり、他の分析手法を併用したりする必要があります。
コホートは同時期に似たような経験をしている人のグループを指す言葉で、コホートごとにユーザーの行動を追跡すれば、トレンドやニーズの把握、ニーズの予測、施策効果の測定などに活用できるデータを取得できます。
例えば、同じキャンペーンを経由してECサイトを利用したユーザーをコホートに区分。
その上で、それぞれの購入金額の変化やコンバージョン率などを計測すれば、当該キャンペーンでどのような成果を得られたのかをチェックすることが可能です。
コホート分析のやり方には、Excelを使う方法とGoogle Analyticsを使用する方法の2通りがありますが、後者は管理画面内にコホート分析の項目があるため、より手軽に分析を行えます。
管理画面ではコホートの種類やコホートのサイズなどを設定する他、セグメントの追加を利用してユーザーの分析対象を絞り込みます。
コホート分析はさまざまな用途に活用可能です。
具体的には、ユーザーの解約・離脱を防止するための策を講じるための材料になったり、キャンペーンやセールスの有効性を評価したり、PV数の減少対策を考案したりするのに役立ちます。
Cは商品の種類、Tは商品の形や色、質感など、Bはブランドやメーカー、キャラクターなどを指します。
なお、CTBはユーザーの過去の購買履歴などからデータを抽出します。
CTB分析の基本的な流れは以下の通りです。
CTB分析を行うと、ユーザーの趣味嗜好を明確化できる他、その結果を基に潜在的な顧客を洗い出してアプローチを行ったり、ニーズ予測を反映して新商品・サービスを開発したりすることが可能になります。
一方で、CTB分析の性質上、複数の商品を横断分析する必要があるため、商品のカテゴリやテイスト、ブランドが一つきりしかない場合は分析を行えません。
そのため、CTB分析はカテゴリ、テイスト、ブランドが多岐にわたるアパレル分野などに適した分析方法とされています。
特にインターネットやSNSが普及して以降、顧客の購買プロセスは多様化しています。
購買プロセスを考慮せずに分析を行うと、ユーザーに対してどのような場で、どのようなアプローチを行えばよいか、正確な評価をできなくなる恐れがあるため、注意しましょう。
また、企業の事業所が複数ある場合は、全事業所のユーザーを対象とするのか、事業所ごとのユーザーとするのかも考慮しなければなりません。
ユーザーの定義が異なれば、分析結果も大きく変化してしまうので、顧客分析によって何を知りたいのかを基に、ユーザーの定義をあらかじめ明確化しておきましょう。
現代ビジネスでは、顧客分析の結果に基づき、個々のユーザーのニーズや趣味嗜好に適した商品・サービスを提供する必要があります。
顧客分析には、デシル分析やCTB分析など複数の種類があるので、自社の事業内容や目的などに適した手法を選択し、効果的かつ効率的な分析を行いましょう。
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顧客分析をおろそかにすると、顧客のニーズを正確に把握できなくなり、売上や業績に大きな影響をもたらす原因になります。
また、顧客分析には複数の手法があるので、自社の目的やニーズに合った方法を選ぶことが大切です。
本記事では顧客分析の概要や、現代ビジネスで必要とされる理由、顧客分析を行うメリットと行わないリスクなどを解説します。
さらに記事の後半では、顧客分析の主な手法や実行するときの注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次

顧客分析とは、ユーザーの属性や購買行動を分析する手法のこと
顧客分析とは、製品・サービスの利用を介して得たユーザーの情報を分析することです。なお、顧客分析の対象は複数ありますが、主に以下のような項目が採用されます。
- ユーザーの属性(年齢・性別・年収・住所など)
- ユーザーの購買履歴・取引履歴
- ユーザーの行動履歴
- ユーザーが抱えるニーズ・課題
- ユーザーの意思決定プロセス
- 顧客満足度
上記は一例であり、分析手法に応じてその他の項目を対象にすることもあります。
これらの項目を使って顧客分析を行えば、ユーザー理解をより深めることが可能となり、営業活動やマーケティング活動に役立ちます。
顧客分析が必要とされる理由
顧客分析が現代ビジネスにおいて必須とされている理由は、大きく分けて3つあります。1. ニーズの多様化
1つ目の理由は、ニーズの多様化です。近年はインターネットの普及や技術の発展により、以前よりきめ細かなサービスを提供することが可能になりました。
その結果、ユーザーのニーズが多様化し、性別や年齢といった大枠ではニーズを一括りにできなくなっています。
よりユーザーのニーズに合った商品・サービスを提供するには、その人が何を求めているのか、どのような悩みや不満を抱えているのかを正確に把握し、適切な提案を行うことが必要です。
そのため、現代ビジネスでは顧客分析を実施し、ユーザーをより深く理解する姿勢が求められています。
2. 購買プロセスの変化
2つ目は、購買プロセスの変化です。インターネットが広く普及する以前は、顧客はテレビや雑誌、ダイレクトメールなど企業側が発信する情報を基に、顧客が商品やサービスを選ぶというプロセスでした。
企業側もテレビや雑誌などの媒体を使用する関係上、不特定多数を対象にしたマスマーケティングの手法を採用。
そのため、個々の顧客を深く理解する必要がありませんでした。
しかし、インターネットやモバイル端末の普及により、ユーザーは自身に必要な情報を、自ら選択して取得することが可能になりました。
その分、不特定多数を対象にした情報は徐々に見向きされないようになり、従来のマスマーケティングでは新規顧客やリピーターの獲得が困難になってきたのです。
このようなユーザーの購買プロセスの変化に対応するため、企業は顧客分析の結果に基づいたニッチマーケティングへの切り替えが必須とされています。
3. サブスクリプションサービスの普及
最後が、サブスクリプションサービスの普及です。サブスクリプションサービスとは、一定の料金を支払うことで、一定期間中、商品やサービスを利用し続けられるビジネスモデルのことです。
例えば、月額料金を払うことで配信されている映像や音楽コンテンツを視聴し放題になったり、毎月洋服を複数枚レンタルしたりすることが可能になります。
これらのサービスは、インターネットを介して申し込めるものが多いです。
その上、必要なときに必要なものだけ利用できることから、手軽さを重視する現代人に重宝され、今やさまざまな産業において大きなマーケットを築いています。
その分、サブスク業界の競争は年々激化。
ユーザーのニーズに沿ったサービスを提供しないと、あっと言う間に顧客離れへとつながりかねません。
また、サブスクを提供していない企業も、ユーザーにとってより魅力的な商品・サービスであることを効果的にアプローチする必要があります。
以上のように、サブスクを提供している企業も、そうでない企業も、顧客分析に基づいたユーザー理解を深めて同業他社と差別化を図ることが急務とされています。
顧客分析によって期待できる効果
顧客分析を行うことによって期待できる効果は、大きく分けて3つあります。1. 商品・サービスの改善につながる
市場ニーズは日々変化しているため、常に最適な商品・サービスを展開するためには、時代ごとのニーズを正確に把握する必要があります。顧客分析を行えば、現在の顧客が何を求めているかを理解しやすくなり、既存の商品・サービスがそのニーズを満たしているかどうかを判断するための、大きな材料となります。
市場ニーズと自社製品・サービスにずれがあることが判明した場合、その時点で迅速に改善策を講じれば、売上・業績の減少や顧客離れを未然に防げるでしょう。
2. 営業活動・マーケティング活動を効率化できる
新規顧客を獲得するには、多くの見込み顧客の中から、ホットリード(案件化する可能性が高いリード)を見分けることが重要なポイントになります。ホットリードに対して集中的にアプローチすれば、アプローチから商談設定までにかかる時間が短縮される上、新規顧客獲得率の向上も期待できるからです。
顧客分析を実施してユーザーの属性や行動をスコアとして可視化すれば、どのユーザーが自社にとってのホットリードになり得る存在なのか判断しやすくなり、営業活動やマーケティング活動の効率化に役立ちます。
3. リピーターの獲得
顧客分析の結果に基づき、ユーザーごとに適した商品・サービスの提案やサポートを提供すると、顧客エンゲージメントや顧客満足度が向上していきます。すると、ユーザーは「またこの商品を買おう」「このサービスを継続利用したい」と思うようになり、リピーター獲得につながるでしょう。
特に顧客エンゲージメントが向上した場合、特定の商品やサービスだけにとどまらず、企業やブランドそのもののファンになってもらえる確率がアップします。
その結果、ユーザーが率先して自社の商品を購入してくれたり、愛用しているサービスをSNSなどで宣伝してくれたりするようになります。
顧客エンゲージメントの向上は、顧客満足度の向上よりも企業に大きな恩恵をもたらすと言われており、顧客分析を適切に行えばリピーターの獲得以上の効果も期待できるでしょう。
顧客分析を行わないことによって生じるリスク
顧客分析を怠ると、企業にとって以下のようなリスクが生じる可能性があります。費用対効果の低下
顧客分析を行わずに営業活動やマーケティング活動を実施すると、ターゲットを見誤ったり、ホットリードを見逃したりするリスクが高くなります。その結果、営業活動やマーケティング活動の費用対効果が低下し、コストを無駄に消費したり、売上・業績が伸び悩んだりする原因となります。
顧客離れのリスク
顧客分析をおろそかにすると、顧客が何を求めているのか、どのような悩みや課題を抱えているのか、正確に把握できません。その結果、顧客のニーズにそぐわない商品やサービスを提供してしまい、ユーザーの満足度が低下。
やがて顧客離れが加速化し、売上や業績が低迷する原因になる恐れがあります。
市場競争が激化している今、一度離れた顧客を取り戻すのは簡単なことではなく、業績が長く低迷するリスクも懸念されます。
製品・サービスの改善が遅れる
売上や業績を向上させるには、既存の製品・サービスを改善しつつ、社会ニーズに合った新たな製品・サービスを開発していく必要があります。顧客分析を怠ると、製品・サービスの改善や開発のベースになる顧客ニーズを正確に把握できないため、適切な改善に遅れが生じるかもしれません。
製品やサービスの改善にはコストや時間がかかるため、遅れが生じると会社に与える損害も大きくなることが懸念されます。
顧客分析の主な手法5選
顧客分析にはさまざまな手法があり、それぞれ特徴が異なります。どの手法を選択するかは企業のニーズや目的によって変わるので、それぞれの特徴をチェックしておきましょう。
ここでは、顧客分析の主な手法を5つご紹介します。
1. デシル分析
デシル分析とは、ユーザーを累積購入金額の高い順に10個のランク(デシルランク)に区分し、各々のランクごとに売上高構成比などを算出する方法です。デシルランクに区分し、ランクごとに詳細な分析を行うと、リピーターになる見込みの高いグループはどれか判断する目安になります。
デシル分析の結果に基づいて、特定のグループに集中的なアプローチを行えば、効率よくリピーターを育てることが可能です。
デシル分析の基本的な手順は以下の通りです。
- ユーザーを購入金額順に並べる
- 上位から10個のグループに分ける
- グループごとにユーザー数、合計購入金額、売上構成比を算出する
上記を見ても分かる通り、分析方法は比較的シンプルなので、それほど手間を掛けずに顧客分析できるところが大きな特徴です。
また、10のランクに区分するという性質上、グループの特性に合わせて個別のマーケティングを行えるところもポイントで、パーソナライズにも役立つ方法とされています。
一方で、分析結果で判明するのは、自社の売上に貢献している優良顧客層か、そうでないかだけです。
そのユーザーがどのようなニーズを持っているのか、グループごとに実施したマーケティング施策が功を奏しているかどうか、などの詳細な分析は行えません。
加えて、ランク分けは累積購入金額に基づいて行われるため、購入頻度が考慮されない(一度だけ高額利用した人も優良顧客扱いされる)というデメリットがあります。
そのため、他の分析方法と併用し、不足している分を補うことが大切です。
2. セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、ユーザーを共通項でグループ分けしていく分析方法です。グループ分けの条件は複数あります。
大きく分けると、「地域や人口密度などを基準にした地理的変数」「年齢や性別、家族構成などを基準にした人口動態変数」「ライフスタイルや価値観などを基準にした心理的変数」「過去の購買履歴や購買パターンなどを基準にした行動変数」などです。
上記の基準に沿ってユーザーを区分すると、市場ニーズの把握やターゲットの絞り込みを行いやすくなります。
セグメンテーション分析のやり方は以下の通りです。
- 分類する基準を決める
- ユーザーを各変数に沿って分類する
- セグメントの有効性を分析する
3では、セグメントごとの特徴と自社の事業を照らし合わせ、より強みを生かせるセグメントをピックアップして優先順位を付けたり、セグメントにアプローチした場合に見込める売上・利益を確認したりします。
セグメンテーション分析は、ユーザーニーズの把握や営業活動の効率化に役立つ方法です。
一方で、特定のセグメントに集中的にアプローチすると潜在顧客を見逃す可能性があること、データの信頼性が低い場合、適切なセグメンテーションが行われない可能性があることなど、いくつかのリスクもあります。
そのため、セグメンテーションとターゲッティングは慎重に行うことが大切です。
3. RFM分析
RFM分析とは、最終購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つを基にユーザーをグループ分けする手法です。R、F、Mの相互関係をチェックすると、自社の現状を明確にしたり、ユーザーの理解を深めたりすることが可能になります。
例えば、F・Mの数値は高い一方、Rの数値が低い場合、かつては自社にとって優良なユーザーだったものの、最終購入日からかなりの年月が経っていることから、顧客離れが起こった可能性があると考えられます。
RFM分析の基本的な手順は以下の通りです。
- ユーザー情報を収集・集計する
- 集計したデータをRFMの指標に基づいてグループ分けする
- グループごとに適切な施策・アクションを実施する
RFM分析は、自社の現状やユーザーのニーズを正確に把握したいときに有用な方法と言えます。
しかし、ユーザーの詳細な属性やライフステージの変化まで考慮できないことと、F(購入頻度)の低い商品の分析や、購買行動の予測にはあまり適さないところがネックです。
このようなデメリットをカバーするには、商品(Item)や距離(Distance)などの項目を追加してより多角的な分析を行ったり、他の分析手法を併用したりする必要があります。
4. コホート分析
コホート分析とは、ユーザーを特定の条件や属性に基づいてグループ分けし、その動向を分析する手法です。コホートは同時期に似たような経験をしている人のグループを指す言葉で、コホートごとにユーザーの行動を追跡すれば、トレンドやニーズの把握、ニーズの予測、施策効果の測定などに活用できるデータを取得できます。
例えば、同じキャンペーンを経由してECサイトを利用したユーザーをコホートに区分。
その上で、それぞれの購入金額の変化やコンバージョン率などを計測すれば、当該キャンペーンでどのような成果を得られたのかをチェックすることが可能です。
コホート分析のやり方には、Excelを使う方法とGoogle Analyticsを使用する方法の2通りがありますが、後者は管理画面内にコホート分析の項目があるため、より手軽に分析を行えます。
管理画面ではコホートの種類やコホートのサイズなどを設定する他、セグメントの追加を利用してユーザーの分析対象を絞り込みます。
コホート分析はさまざまな用途に活用可能です。
具体的には、ユーザーの解約・離脱を防止するための策を講じるための材料になったり、キャンペーンやセールスの有効性を評価したり、PV数の減少対策を考案したりするのに役立ちます。
5. CTB分析
CTB分析とは、Category(カテゴリ)、Taste(テイスト)、Brand(ブランド)という3つの指標を用いてユーザーをグループ分けし、購買行動を予測する手法です。Cは商品の種類、Tは商品の形や色、質感など、Bはブランドやメーカー、キャラクターなどを指します。
なお、CTBはユーザーの過去の購買履歴などからデータを抽出します。
CTB分析の基本的な流れは以下の通りです。
- ユーザーの購買履歴から商品をカテゴリ・テイスト・ブランドに分ける
- カテゴリからユーザーごとの趣味嗜好を分析する
- 2の結果を基に購買行動を予測し、効果的なマーケティング戦略を立てる
CTB分析を行うと、ユーザーの趣味嗜好を明確化できる他、その結果を基に潜在的な顧客を洗い出してアプローチを行ったり、ニーズ予測を反映して新商品・サービスを開発したりすることが可能になります。
一方で、CTB分析の性質上、複数の商品を横断分析する必要があるため、商品のカテゴリやテイスト、ブランドが一つきりしかない場合は分析を行えません。
そのため、CTB分析はカテゴリ、テイスト、ブランドが多岐にわたるアパレル分野などに適した分析方法とされています。
顧客分析を実行する際の注意点
顧客分析を行うに当たって注意すべきポイントを2つご紹介します。1. 購買プロセスも考慮に入れる
顧客分析では、ユーザーの性別や年齢、住まい、ライフスタイルといった属性情報だけでなく、購買に至るまでのプロセスも考慮することが大切です。特にインターネットやSNSが普及して以降、顧客の購買プロセスは多様化しています。
購買プロセスを考慮せずに分析を行うと、ユーザーに対してどのような場で、どのようなアプローチを行えばよいか、正確な評価をできなくなる恐れがあるため、注意しましょう。
2. ユーザーの定義を明確にする
顧客分析の対象となるユーザーの定義は企業によって異なり、全てのユーザーを対象とするところもあれば、自社にとって優良なユーザーのみを対象とするところもあります。また、企業の事業所が複数ある場合は、全事業所のユーザーを対象とするのか、事業所ごとのユーザーとするのかも考慮しなければなりません。
ユーザーの定義が異なれば、分析結果も大きく変化してしまうので、顧客分析によって何を知りたいのかを基に、ユーザーの定義をあらかじめ明確化しておきましょう。
顧客分析は現代ビジネスで必須の手法
ユーザーニーズの多様化や購買プロセスの変化が進んでいる今、従来の不特定多数をターゲットとしたマスマーケティングでは有用な効果は期待できません。現代ビジネスでは、顧客分析の結果に基づき、個々のユーザーのニーズや趣味嗜好に適した商品・サービスを提供する必要があります。
顧客分析には、デシル分析やCTB分析など複数の種類があるので、自社の事業内容や目的などに適した手法を選択し、効果的かつ効率的な分析を行いましょう。
なお、ユーザーや市場ニーズを把握したいときは、自社が保有するデータを活用した手法だけでなく、SNSなどから収集したデータを分析する方法も有効です。
TDSE株式会社のQuid Monitorは、各種SNSやレビュー、ニュースサイトなどからリアルタイムにデータを自動収集し、短時間で分析できる便利なツールです。
分析方法はポジネガ分析や感情分析、位置情報分析など多岐にわたるため、さまざまな方向からユーザーニーズを分析できます。
自社の商品・サービスに対するユーザーの声を営業活動やマーケティング活動に生かしたいとお考えの方は、ぜひQuid Monitorの利用をご検討ください。
Quid Monitor(旧NetBase)の詳細・資料ダウンロードはこちら
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