SNSマーケコラム

顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは? 重視される背景や向上させるための施策も解説!

顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは? 重視される背景や向上させるための施策も解説!
競争の激しい市場において、顧客に選ばれ続けるためには、顧客との信頼関係を築くことが重要です。

強固な信頼関係を築くことで、リピーターの増加や関連商品の購入など売上拡大につながることがある他、顧客が自ら商品やサービスを広めてくれる宣伝効果にも期待できます。

この記事では、顧客エンゲージメントの基礎知識や重視される理由、顧客ロイヤルティや顧客満足度との違いなどについて解説します。
また顧客エンゲージメントを数値化するための指標や、向上させるための具体的な施策についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

顧客エンゲージメントとは?

顧客エンゲージメント(カスタマーエンゲージメント)とは、企業と顧客との間に、商品やサービスを通じて築かれる強い信頼関係のことです。
顧客エンゲージメントが高いほど、顧客が企業に対して強い愛着を持っていることを意味し、他の企業ではなく、その企業の商品やサービスを積極的に選ぶようになります。

顧客エンゲージメントを高め、顧客を自社のファンにすることができれば、顧客は何度も商品やサービスを購入してくれるでしょう。

顧客エンゲージメントの歴史

顧客エンゲージメントの概念が注目されるようになったのは、1990年代後半から2000年代前半にかけてインターネットが普及し始めた頃からです。
それ以前は、企業が顧客に情報を一方的に発信するのが一般的で、顧客は商品やサービスを利用するのみでした。

しかし、インターネットの普及により、顧客も情報を発信しやすくなり、企業に対して良い感情・悪い感情を表したり、製品やサービスに意見したりできるようになりました。

特にSNSやスマートフォンの普及以降は、企業と顧客の双方向コミュニケーションが活発になり、企業は顧客ニーズの把握や関係構築を迫られました。
その影響もあり、顧客エンゲージメントの重要性が高まってきたのです。

顧客エンゲージメントが重視される理由

近年になって顧客エンゲージメントの重要性はますます高まっています。
その理由は大きく分けて2つあります。

購買プロセスの変化

商品やサービスを選択する際、以前はテレビCMや新聞・雑誌広告など、企業が発信する情報が限られており、消費者はそれらを参考に判断することが一般的でした。
しかし、インターネットの普及により、消費者はWebサイトやSNS、口コミサイトなど、さまざまな媒体から自ら情報を収集できるようになりました。
結果として、多くの顧客は多様な情報源を比較検討するようになり、企業の情報発信だけでは消費者の購買意欲を喚起することが難しくなっています。

このような状況下で、消費者に自社の製品やサービスを選んでもらうためには、顧客エンゲージメントを高め、顧客との長期的な関係性を構築することが重要です。
企業は顧客とのエンゲージメントを高めることで、顧客の信頼を獲得できます。

競争の激化

近年、多くの市場において新規参入企業の増加や技術の発展による競争の激化が起こっています。
またグローバル化の進展により、海外企業との競争も激しくなっており、一部の市場における競争率はこれまでよりも高いです。
さらに、少子高齢化の影響で全般的に市場の成長が鈍化しているため、新規顧客の獲得は以前よりも困難になっています。

上記のような要因から、既存顧客との関係を維持し、継続的な利用を促すことが重要になっています。
そのため、顧客エンゲージメントの向上に積極的に取り組む企業が増加しているのです。

顧客エンゲージメント向上で期待できるメリット

続いて、顧客エンゲージメントの向上により期待できるメリットについて解説します。

リピーターが増える

顧客エンゲージメントが向上し、企業に愛着を持ってもらうことで、顧客は他社ではなくその企業のファンとなり、競合他社が類似の商品やサービスを提供していても、「あの企業が好きだから」「あの企業を応援したいから」という理由で、自社の商品やサービスを選び続けてくれる可能性が高まります。

このような関係性を築ければ、顧客が競合企業へと流れてくことなく、自社の商品やサービスを繰り返し利用してくれる、いわゆる「ロイヤルカスタマー」になってくれる可能性が高まります。
結果として、安定した売上と業績の維持につながるでしょう。

既存顧客が広告塔になってくれる

顧客エンゲージメントの高いユーザーは、自分が愛用している製品やサービスについて、SNSなどで「この商品おすすめ!」「このブランドをずっと愛用してる!」といった具合に、積極的に良い情報を発信してくれる場合があります。
こうした投稿が不特定多数の人が目に触れることで、新規顧客の獲得や市場シェアの拡大につながるかもしれません。

既存顧客による間接的な宣伝は、企業の広告よりも消費者の信頼を得やすい傾向があります。
さらに、本来かかる広告費を削減できる点も企業にとって大きなメリットです。

有用なフィードバックを得られる

一般的な顧客は商品やサービスに不満を感じた場合、すぐに利用をやめてしまうことがほとんどです。
そのため、企業側は問題点や不満の原因を把握できません。

一方、顧客エンゲージメントが高い顧客は、不満を感じたとしてもすぐに利用をやめるのではなく「ここが不満だった」「こうしてほしい」といった意見を企業に伝え、改善を促してくれる場合があります。

顧客からのフィードバックを収集・分析することで、製品やサービスの改善点を見つけることができ、顧客ニーズにより合ったものを提供できるようになるでしょう。

「顧客ロイヤルティ」や「顧客満足度」との違いは?

顧客エンゲージメントと似た言葉に「顧客ロイヤルティ」や「顧客満足度」があります。

それぞれの言葉の意味や、顧客エンゲージメントとの違いについて解説します。

顧客ロイヤルティとの違い

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業に対して抱く愛着のことです。
顧客エンゲージメントも、企業への信頼や愛着を要素に含みますが、顧客ロイヤルティが顧客の心理面に重点を置くのに対し、顧客エンゲージメントは顧客の具体的な行動面に焦点を当てているという違いがあります。

言い換えると、顧客ロイヤルティが高い状態とは、企業に対して愛着や信頼を感じている状態です。
一方、顧客エンゲージメントが高い状態とは、その愛着や信頼を基に、顧客が自ら企業の商品やサービスを周囲に推奨したり、企業活動に積極的に参加したりする状態を指します。

顧客満足度との違い

顧客満足度は、文字通り顧客が企業の製品やサービスにどの程度満足しているかを表す指標です。
顧客満足度は、あくまでも個々の製品やサービスに対する評価ですが、顧客エンゲージメントは、企業全体に対する評価であるという点が異なります。

顧客満足度が高いと、その商品やサービスを再び利用してくれる可能性は高まりますが、企業やブランド自体に愛着を持っているとは限りません。
そのため、たとえ新商品や新サービスを展開しても、顧客がすぐに飛びついてくれる保証はなく、競合他社の商品やサービスの方が魅力的に映れば、簡単に乗り換えられてしまう可能性もあります。

従来は顧客満足度を高めることが重視されていましたが、顧客満足度が高くても顧客エンゲージメントが低い状態では、顧客との長期的な関係を築くことは難しく、リピーターの増加にもつながりにくいという課題がありました。
そのため、現在では顧客エンゲージメントの向上を重視する企業が増えています。

顧客エンゲージメントを数値化する指標

顧客エンゲージメントを高めるには、現時点で自社のエンゲージメント率がどのくらいなのかを正確に把握する必要があります。

ここでは顧客エンゲージメントを数値化する指標を3つご紹介します。

1. LTV

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」とも呼ばれ、一人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす総利益を示す指標です。

LTVは、平均顧客単価、収益率、購買頻度、継続期間を掛け合わせて計算します。
例えば、平均顧客単価が20万円、収益率が50%、年間購入頻度が5回、継続期間が2年の場合、その顧客のLTVは、20万円 × 50% × 5回/年 × 2年 = 100万円となります。

一般的に、LTVが高い顧客は商品を繰り返し購入している傾向にあり、企業のファンである可能性も高いです。
そのため、LTVは顧客エンゲージメントの高さを評価する指標の一つとして活用できます。

2. NPS

NPS(Net Promoter Score)とは、顧客の企業・商品・サービスに対する愛着度を測る指標です。

顧客にアンケートを実施し「この企業・商品・サービスを友人や同僚に勧める可能性はどれくらいか?」という質問に0~10点で答えてもらい、その点数に基づいて推奨度を評価します。
0~6点の回答者は「批判者」、7~8点は「中立者」、9~10点は「推奨者」と分類されます。

NPSは「推奨者の割合(%)」から「批判者の割合(%)」を引いて算出します。
例えば、100人の回答者のうち推奨者が30人、批判者が10人だった場合、NPSは 30% – 10% = 20 となります。

3. カスタマーヘルススコア

カスタマーヘルススコアとは、顧客が自社の商品やサービスを今後も継続して利用してくれる可能性を数値で表す指標です。
決まった計算方法はなく、自社が持っている顧客データに基づいて、独自の計算式を作ります。

例えば、サービスへのログイン情報やアカウント数、アクティブユーザー数などのサービス利用状況に加えて、サポートへの問い合わせ数や頻度、FAQの利用率といった、顧客がサポートをどのくらい利用しているかといったデータも活用可能です。

カスタマーヘルススコアの算出方法の例を挙げます。
  • ログイン頻度が週に0回なら0点、週に1回なら5点、毎日ログインなら10点を加算する
  • FAQの利用回数が1度もない場合は0点、月に5回利用している場合は10点を加算する

上記のように、あらかじめ決めた基準に従って点数を付けていき、その合計点でスコア化します。

このようにヘルススコアを算出することで、顧客がどの程度継続してサービスを利用してくれそうかを、数値で判断できるようになります。

顧客エンゲージメントを向上させるための施策

顧客エンゲージメントを高めるために実施したい施策や押さえておきたいポイントを4つご紹介します。

1. 現時点の顧客エンゲージメント率を把握する

まずは、前項で紹介したLTV、NPS、カスタマーヘルススコアといった指標を活用して、現状の顧客エンゲージメントのレベルを把握することが重要です。
これらの指標を計測し、顧客エンゲージメントの度合いを数値化することで、自社の強みと弱みを客観的に分析できます。

例えば、LTVが高い顧客層と低い顧客層を比較することで、よりエンゲージメントの高い顧客の特徴を把握し、その情報を今後のマーケティング戦略に生かせます。
また、NPSのスコアやカスタマーヘルススコアを定期的に測定することで、顧客エンゲージメントの変化を時系列で追跡し、施策の効果を評価することも可能です。

このように、顧客エンゲージメントを数値化し分析することは、自社の課題を明確にし、効果的な施策の立案・実行、そして顧客エンゲージメントの向上につながるのです。

2. パーソナライズされた情報やサポートの提供

パーソナライズとは、顧客一人ひとりの属性(年齢や性別など)や行動履歴、好みなどのデータに合わせて、情報提供やサポートを行うことです。
多くの顧客は、企業から特別扱いされることを嬉しいことだと感じるため、パーソナライズされた情報やサポートを提供することで、企業への愛着や信頼感を高められます。

パーソナライズを行うには、収集した顧客情報を詳しく分析し、顧客理解を深める必要があります。
そのためには、分析用のフレームワークを導入するなど、さまざまな取り組みが必要です。
また顧客情報は常に変化するため、定期的に更新し、最新の状態を保つようにしましょう。

3. ユーザーとの接触を増やす

顧客エンゲージメントを高めるには、企業と顧客が双方向にコミュニケーションを取ることが重要です。
そのため、企業と顧客の接点を増やす施策を取り入れましょう。
例えば、顧客向けのイベントを開催したり、電話やメールで定期的に連絡を取ったりするのも良いでしょう。

顧客と接する機会が増えれば、顧客は企業に親近感を抱きやすくなり、エンゲージメントの向上につながります。
ただし、ただやみくもに接触回数を増やすだけでなく、顧客のニーズに合ったイベントを企画したり、適切なフォローアップを行ったりすることも大切です。

4. 製品・サービスの改善に努める

根本的に顧客エンゲージメントを高めるには、製品・サービスの質を高め続けることも大切です。

ユーザーの声や意見を積極的に収集し、ニーズを反映した製品・サービスの改善を行えば、顧客は「自分たちの声が届いている」「ニーズを汲んでくれている」と認識し、企業を応援する気持ちが高まります。

ユーザーの声はアンケートやインタビュー、SNSなどから収集できるので、内容を分析した上で、製品・サービスの改善に生かしましょう。

顧客エンゲージメントの向上は企業の成長・発展に不可欠

顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の間に築かれる信頼関係のことです。
顧客エンゲージメントを高めることで、リピーターの増加、既存顧客による口コミでの宣伝、顧客から直接得られる貴重な意見など、さまざまな効果が期待できます。

顧客エンゲージメントを向上させるためには、指標を活用した現状分析、顧客一人ひとりに合わせたサービス提供、顧客との積極的なコミュニケーションといった施策が有効です。
またSNSなどを通じて顧客の声を収集し、製品やサービスの改善につなげるのも良いでしょう。

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本記事の監修者

プロダクト本部 副本部長 山本 豊

山本 豊 プロダクト本部 副本部長

リクルートでキャリアを開始し、マクロミルに入社。マクロミルにて、リサーチ・データ事業の拡大に従事。その後、コロプラにて、リサーチ・データ関連の新規事業の立案・推進。複数のIT企業にてデータ関連事業に関わった後、2021年7月より現職。生成AIアプリ開発ツール「Dify」、ソーシャルリスニングツール「QUID」の拡大に従事。

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