
ソーシャルリスニングとは、SNSや掲示板、レビューサイト、ブログなどに掲載されている情報を収集・分析し、営業活動やマーケティング活動などに生かす手法です。
インターネットが広く普及している現代において、インターネット上に掲載されているユーザーの声や意見は、企業にとって重要な情報源です。
ソーシャルリスニングをうまく活用すれば、売上アップや商品の改善など、さまざまな恩恵を受けられます。
本記事では、ソーシャルリスニングの概要や現代ビジネスで重視される理由、実施するメリットと注意点、具体的なやり方について解説します。

収集・分析の対象となるのは、ソーシャルメディア全般です。
つまり、ユーザー同士がコミュニケーションを取れるオンライン上の会員制サービスで発信されている、あらゆる情報となります。
これらの情報を大別すると、以下の通りです。
上記のソーシャルメディアには、多種多様なユーザーの声が掲載されています。
一方、ソーシャルリスニングでは、「企業が自社に関連する情報」「現在のトレンドに関する情報」「市場ニーズに関わる情報」などをピックアップして、収集・分析することになります。
ただ、厳密に言うとソーシャルリスニングと口コミ分析は同義ではありません。
口コミ分析は、文字通り商品やサービスに対する意見=口コミを収集し、分析する手法です。
一方、ソーシャルリスニングで収集するのは商品・サービスに関する口コミだけにとどまりません。
ソーシャルリスニングでは、ソーシャルメディア上でユーザー同士が交わしている会話にも耳を傾け、現在のトレンドやユーザーが抱えている悩みや課題、隠れたニーズなどを洗い出すことも目的としています。
そのため、口コミ分析はソーシャルリスニングに内包される手法の一つとも言われています。
ユーザーもそれを承知していたため、トレンドや事象の発生から情報の発信まで、多少時間がかかっても問題ありませんでした。
しかし、インターネットやSNSが広く普及して以降は、タイムラグのないリアルタイムな情報を配信するのが当たり前の時代になりました。
その結果、ユーザー側も企業に対し、より迅速な対応を求めるようになっており、ソーシャルリスニングによる速やかな情報収集および対応の必要性が高まっています。
しかし、インターネットやSNSの普及によってユーザー同士が容易にコミュニケーションを取れるようになった今、実際にその商品・サービスを利用したユーザーの意見を参考にする人が急増しました。
企業側が発信する情報は基本的に長所やメリットが前面に出されており、デメリットやネガティブな面は隠される傾向にあるからです。
実際、多くのECサイトでは購入者の口コミやレビューが掲載されている他、口コミや体験談だけを掲載している専用サイトなども多く見受けられます。
また、総務省が公表している平成28年版情報通信白書によると、買い物をする際にレビューをどの程度参考にするかという質問に対し、20~50代は「かなり参考にする」「まあ参考にする」と回答した人の割合が7割超。
60代も7割弱でした(※)。
こうした事情から、企業側もソーシャルメディア上の意見を重視せざるを得ず、ソーシャルリスニングが普及する要因となっています。
※参考:総務省.「平成28年版情報通信白書 第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」.“図表1-4-2-14 レビューをどの程度参考にするか”.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc114230.html?_fsi=VZuxWN6T ,(参照2025-01-06).
SNSが日本で普及し始めたのは2000年代前半とされており、以降はさまざまなSNSが誕生し、話題を集めてきました。
令和6年版の情報通信白書によると、日本のSNS利用者数は2028年には1億1,360万人まで増加すると予測されています(※)。
かつては若年層の利用者が大半を占めていたSNSですが、現代では幅広い年代が活用。
シニア世代と言われる60代でも、インターネット利用者のうちSNSを使っている人の割合は76.7%、70代は66.6%、80歳以上は52.6%と、いずれの年代でも半数を超えています(※)。
性別や年代問わず、多くの人に活用されているSNSは企業にとって大きな存在であり、ソーシャルリスニングを営業・マーケティング活動に生かすことがもはや当たり前の時代となっています。
※参考:「令和6年版 情報通信白書の概要 第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向」.“SNS”.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/n2170000.pdf ,(参照2025-01-06).
※参考:総務省.「令和5年通信利用動向調査の結果」.“3 SNSの利用動向(個人)”.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/240607_1.pdf ,(2024-06-07).
Webアンケートやインタビューは、企業側が質問を用意できます。
そのため、聞きたいことを聞ける一方で、回答が企業に見聞きされることを意識するあまり、ユーザー側は無意識に本音を隠してしまうかもしれません。
その点、ソーシャルリスニングは企業に見られることを前提としていないケースがほとんどなので、忌憚のない意見を収集することが可能です。
現時点で話題になっていること、トレンドになっている情報をいち早く収集し、情報発信や商品の改善・開発などに反映させなければ、ユーザーのニーズにしっかり応えられません。
ソーシャルリスニングなら、リアルタイムに情報が発信されるSNSをはじめとするインターネット上のデータを収集・分析するので、めまぐるしく変化する市場やユーザーニーズに迅速に対応できます。
しかし、実施すれば終わりではなく、その効果や反響がどの程度だったのかを検証することが大切です。
施策・プロモーションの反響はアンケートなどでも収集できますが、後日回答するアンケートよりも、施策やプロモーションを体験した時点での声の方が、熱のこもった本音を収集しやすくなります。
ソーシャルリスニングを実施すれば、施策やプロモーションを受けたユーザーがSNSなどで発信した情報をいち早く収集できるので、効果や反響の検証に役立つでしょう。
業界に関連する意見や、競合他社の製品・サービスに対する口コミなどを集めて分析すれば、業界全体や競合他社の動向も把握することが可能です。
業界全体のトレンドや、競合他社の強み、弱みなどを知っておけば、新しい商品・サービスの開発や改善の方向性を決めるのに役立つでしょう。
そのため、自社の商品やサービス、ブランドに関してネガティブな声が拡散された場合、いわゆる炎上が発生する可能性があります。
批判的な意見もユーザーの生の声として収集・分析するべきですが、炎上を放置していると企業やブランドのイメージそのものに大きな傷が付いてしまうので、早急な対処が必須です。
ソーシャルリスニングを定期的に実施していれば、自社に関連するネガティブな意見が広がっていないか、いち早く察知することが可能になるため、炎上リスクを回避することが可能になります。
リスクやデメリットを考慮せずにソーシャルリスニングを始めると、営業・マーケティングの方向性を誤ったり、思ったような費用対効果を見込めなかったりすることがあるので注意が必要です。
ここでは、ソーシャルリスニングを実践する際に気を付けるべきポイントを5つご紹介します。
ただし、ソーシャルリスニングだけで営業活動やマーケティング活動に必要な情報が全て手に入るわけではありません。
ソーシャルリスニングだけに頼って営業・マーケティングの方針を決めてしまうと、ニーズや課題の取りこぼしが発生する可能性があります。
ソーシャルリスニングはあくまで数ある分析手法の一つと考え、足りない分は他の方法で補うことが大切です。
中には根拠のない誹謗中傷やサクラ、スパムなども多数含まれており、これらのノイズを収集・分析の対象にしてしまうと、ユーザーのニーズや業界のトレンドなどを測り損ねる恐れがあります。
ノイズをなるべく除去するには、膨大な情報の中からデータとして有益な情報のみピックアップする必要がありますが、そのためには高度な技術や優秀なツールが必須となります。
意図的か否かに関わらず、個人を特定できる情報を収集・分析してしまうとプライバシーを侵害する行為と見なされ、企業やブランドのイメージを大きく損ねたり、訴訟リスクが生じたりする原因となります。
ただ、不特定多数の人が情報に触れられるソーシャルメディアでは、プライバシー保護の観点から、多くのユーザーは自身の属性を隠して情報を発信しています。
そのため、ユーザーの性別や年齢、職業、居住地といった属性を正確に把握することは困難です。
属性が分からないと、年代ごとのニーズ傾向や行動原理などを把握できず、特定の年代・性別に適したアプローチを行いにくいというデメリットがあります。
これらの作業を手動で行うのは難しいため、ソーシャルリスニングを実施する際は専用のツールを利用するのが一般的です。
専用ツールの導入には少なからず費用がかかるため、ソーシャルリスニングを開始するとコストがかかるところがネックです。
ただ、ツールを上手に活用すれば、高い費用対効果を見込めるので、コストの問題は成果で十分カバーできるでしょう。
ソーシャルリスニングを行う目的は企業によって異なり、ユーザーニーズを把握するために実施する企業もあれば、施策やプロモーションの効果を検証したい企業もいます。
収集・分析するデータの性質は目的ごとに異なるため、まずは「なぜ実施するのか」「何を知りたいのか」「結果をどのようなことに生かしたいのか」などを明確にし、目的をはっきり定めることが大切です。
目的が曖昧なままスタートさせると、情報を効率的に収集できず、費用対効果が大幅に下がってしまうので注意しましょう。
特にSNSはサービスによって特徴や性質、ユーザー層などに違いがあり、例えばX(旧Twitter)は短文投稿型のSNSなのでユーザーが手軽に投稿しやすく、膨大な情報が集まりやすいです。
その分、有益な情報とノイズをきちんと仕分けて収集・分析しないと分析の精度が下がってしまうので要注意です。
また、写真投稿型SNSの代表ツールであるInstagramは、写真や動画の投稿に特化しています。
おしゃれな画像を投稿することを意味するインスタ映えというキーワードは流行語にもなり、商品やサービスの良さを視覚的にアピールできるところが特徴です。
ただ、ユーザーは若年層が中心で、年代にやや偏りがあります。
このように、メディアごとに特色が異なるので、知りたい情報に基づいて適切なサービスを調査対象に設定することが大切です。
例えば、SNSで企業名やブランド名が含まれた投稿をリサーチする、レビューサイトで自社の商品・サービスを評価している口コミを調べるなどです。
どのような情報が知りたいかによってリサーチ対象も変化してくるので、ニーズや目的に合った対象を選びましょう。
収集できるデータはキーワードの選び方によって大きく左右されるので、適切なワードを設定する必要があります。
同じデータでも分析方法ごとに異なる結果が出てくるため、多角的に分析してみましょう。
キーワードの選定を誤ると収集漏れが発生し、有益なデータを集められません。
そのため、キーワードを選ぶ際は知りたい情報に関連したキーワードをピックアップすることが大切です。
また、キーワード選定時は同義語に注意が必要です。
同じ意味の言葉でも、世間や市場で使用されている頻度には差があるため、頻度の低いキーワードを選んでしまうと収集漏れが発生するリスクが高くなります。
同義語がある言葉をキーワードとして選定する際は、使用頻度が高い方を選択するようにしましょう。
ポジティブな意見の分析は、自社の強みや魅力を把握するのに有効です。
一方、ネガティブな意見の分析は、商品・サービスの改善や課題の洗い出しに役立ちます。
このように、ポジティブな情報もネガティブな情報も、それぞれ企業にとって有益なデータになり得るので、偏りのない情報を収集することが大切です。
収集した情報をポジティブ・ネガティブ・ニュートラル(中立)の3つに分類して管理すれば、偏りのない収集・分析を行いやすいでしょう。
そのため、ソーシャルリスニングは定期的かつ継続的な実施が前提となります。
また、ソーシャルリスニングはリアルタイムな情報を収集・分析できるところが強みなので、迅速な対応を行える体制も必須です。
以上の理由から、ソーシャルリスニングを始める際は、事前に情報を収集・分析するツールの導入や、専門的な知識を有する担当者を選定しておきましょう。
さらに、分析結果を商品の開発や改善、炎上対策に反映させるためのフローワークの策定など、入念な体制を整えておくことが大切です。
得られた情報を商品の改善や開発、リスクの回避などに役立てれば、売上アップや炎上防止などにつながるでしょう。
さらに、施策やプロモーションの反響をチェックしたり、業界や競合他社の動向をリサーチしたりすることもできるので、今では多くの企業がソーシャルリスニングを実施しています。
ただ、膨大な情報から有益な情報をピックアップして分析するのは非常に難しいため、ソーシャルリスニングを始める際は、情報の収集・分析に特化したツールを利用するのがおすすめです。
TDSE株式会社のQuid Monitorは、SNSからレビューサイト、ニュースサイト、ブログ、掲示板に至るまで、幅広いソーシャルメディアに対応したソーシャルリスニング向けのツールです。
膨大なデータの中から必要な情報を自動収集し、スピーディに分析できます。
複数の分析方法に対応している他、フィルタリング機能やシステム連携などにも対応しています。
ソーシャルリスニングを始めるに当たって便利なツールをお探しの方は、ぜひQuid Monitorをお試しください。
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インターネットが広く普及している現代において、インターネット上に掲載されているユーザーの声や意見は、企業にとって重要な情報源です。
ソーシャルリスニングをうまく活用すれば、売上アップや商品の改善など、さまざまな恩恵を受けられます。
本記事では、ソーシャルリスニングの概要や現代ビジネスで重視される理由、実施するメリットと注意点、具体的なやり方について解説します。
目次

ソーシャルリスニングとは、SNSやブログなどの情報を収集・分析する手法のこと
ソーシャルリスニングとは、SNSをはじめ、掲示板やレビューサイト、ブログなどで発信された口コミや意見などを収集・分析し、その結果をビジネスに反映させる手法です。収集・分析の対象となるのは、ソーシャルメディア全般です。
つまり、ユーザー同士がコミュニケーションを取れるオンライン上の会員制サービスで発信されている、あらゆる情報となります。
これらの情報を大別すると、以下の通りです。
- SNS
- 掲示板
- ブログ
- レビューサイト
上記のソーシャルメディアには、多種多様なユーザーの声が掲載されています。
一方、ソーシャルリスニングでは、「企業が自社に関連する情報」「現在のトレンドに関する情報」「市場ニーズに関わる情報」などをピックアップして、収集・分析することになります。
口コミ分析との違い
ソーシャルリスニングは、インターネット上に散見される意見や口コミを収集・分析する手法であることから、口コミ分析と混同されがちです。ただ、厳密に言うとソーシャルリスニングと口コミ分析は同義ではありません。
口コミ分析は、文字通り商品やサービスに対する意見=口コミを収集し、分析する手法です。
一方、ソーシャルリスニングで収集するのは商品・サービスに関する口コミだけにとどまりません。
ソーシャルリスニングでは、ソーシャルメディア上でユーザー同士が交わしている会話にも耳を傾け、現在のトレンドやユーザーが抱えている悩みや課題、隠れたニーズなどを洗い出すことも目的としています。
そのため、口コミ分析はソーシャルリスニングに内包される手法の一つとも言われています。
ソーシャルリスニングが現代ビジネスで要求される背景
現代ビジネスにおいて、ソーシャルリスニングが必須とされる背景には3つの要因があります。リアルタイムな対応への需要増
かつてメディアの主流だったテレビや新聞、雑誌は、コンテンツの作成から発信までにいくらかのタイムラグが発生します。ユーザーもそれを承知していたため、トレンドや事象の発生から情報の発信まで、多少時間がかかっても問題ありませんでした。
しかし、インターネットやSNSが広く普及して以降は、タイムラグのないリアルタイムな情報を配信するのが当たり前の時代になりました。
その結果、ユーザー側も企業に対し、より迅速な対応を求めるようになっており、ソーシャルリスニングによる速やかな情報収集および対応の必要性が高まっています。
口コミを参考にするユーザーの増加
かつての購買プロセスでは、企業側が一方的に発信する情報をユーザーが受け取り、商品を選択したり、購入を決めたりするのが一般的でした。しかし、インターネットやSNSの普及によってユーザー同士が容易にコミュニケーションを取れるようになった今、実際にその商品・サービスを利用したユーザーの意見を参考にする人が急増しました。
企業側が発信する情報は基本的に長所やメリットが前面に出されており、デメリットやネガティブな面は隠される傾向にあるからです。
実際、多くのECサイトでは購入者の口コミやレビューが掲載されている他、口コミや体験談だけを掲載している専用サイトなども多く見受けられます。
また、総務省が公表している平成28年版情報通信白書によると、買い物をする際にレビューをどの程度参考にするかという質問に対し、20~50代は「かなり参考にする」「まあ参考にする」と回答した人の割合が7割超。
60代も7割弱でした(※)。
こうした事情から、企業側もソーシャルメディア上の意見を重視せざるを得ず、ソーシャルリスニングが普及する要因となっています。
※参考:総務省.「平成28年版情報通信白書 第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~」.“図表1-4-2-14 レビューをどの程度参考にするか”.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc114230.html?_fsi=VZuxWN6T ,(参照2025-01-06).
SNS利用者の増加
ソーシャルリスニングが重視されるようになった理由の一つに、SNSの台頭があります。SNSが日本で普及し始めたのは2000年代前半とされており、以降はさまざまなSNSが誕生し、話題を集めてきました。
令和6年版の情報通信白書によると、日本のSNS利用者数は2028年には1億1,360万人まで増加すると予測されています(※)。
かつては若年層の利用者が大半を占めていたSNSですが、現代では幅広い年代が活用。
シニア世代と言われる60代でも、インターネット利用者のうちSNSを使っている人の割合は76.7%、70代は66.6%、80歳以上は52.6%と、いずれの年代でも半数を超えています(※)。
性別や年代問わず、多くの人に活用されているSNSは企業にとって大きな存在であり、ソーシャルリスニングを営業・マーケティング活動に生かすことがもはや当たり前の時代となっています。
※参考:「令和6年版 情報通信白書の概要 第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向」.“SNS”.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/pdf/n2170000.pdf ,(参照2025-01-06).
※参考:総務省.「令和5年通信利用動向調査の結果」.“3 SNSの利用動向(個人)”.https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/240607_1.pdf ,(2024-06-07).
ソーシャルリスニングで期待できるメリット
ソーシャルリスニングを実施することで期待できるメリットを5つご紹介します。1. 偏見や先入観のない意見を収集できる
ユーザーの声や意見を収集する方法には、他にWebアンケートやインタビューなどがあります。Webアンケートやインタビューは、企業側が質問を用意できます。
そのため、聞きたいことを聞ける一方で、回答が企業に見聞きされることを意識するあまり、ユーザー側は無意識に本音を隠してしまうかもしれません。
その点、ソーシャルリスニングは企業に見られることを前提としていないケースがほとんどなので、忌憚のない意見を収集することが可能です。
2. 旬な情報をスピーディに収集できる
現代はSNSによる情報拡散や、市場の熟成により、商品やサービスのサイクルが加速化しています。現時点で話題になっていること、トレンドになっている情報をいち早く収集し、情報発信や商品の改善・開発などに反映させなければ、ユーザーのニーズにしっかり応えられません。
ソーシャルリスニングなら、リアルタイムに情報が発信されるSNSをはじめとするインターネット上のデータを収集・分析するので、めまぐるしく変化する市場やユーザーニーズに迅速に対応できます。
3. 施策やプロモーションの反響が分かる
企業はオフライン、オンラインの両方でさまざまな施策やプロモーションを実施します。しかし、実施すれば終わりではなく、その効果や反響がどの程度だったのかを検証することが大切です。
施策・プロモーションの反響はアンケートなどでも収集できますが、後日回答するアンケートよりも、施策やプロモーションを体験した時点での声の方が、熱のこもった本音を収集しやすくなります。
ソーシャルリスニングを実施すれば、施策やプロモーションを受けたユーザーがSNSなどで発信した情報をいち早く収集できるので、効果や反響の検証に役立つでしょう。
4. 業界・競合他社の動向が分かる
ソーシャルリスニングで収集するのは、自社に関連する情報だけではありません。業界に関連する意見や、競合他社の製品・サービスに対する口コミなどを集めて分析すれば、業界全体や競合他社の動向も把握することが可能です。
業界全体のトレンドや、競合他社の強み、弱みなどを知っておけば、新しい商品・サービスの開発や改善の方向性を決めるのに役立つでしょう。
5. リスクを未然に回避できる
SNSは利用者が多く、かつ情報拡散性が高いメディアなので、良い情報も悪い情報も瞬く間に広がっていきます。そのため、自社の商品やサービス、ブランドに関してネガティブな声が拡散された場合、いわゆる炎上が発生する可能性があります。
批判的な意見もユーザーの生の声として収集・分析するべきですが、炎上を放置していると企業やブランドのイメージそのものに大きな傷が付いてしまうので、早急な対処が必須です。
ソーシャルリスニングを定期的に実施していれば、自社に関連するネガティブな意見が広がっていないか、いち早く察知することが可能になるため、炎上リスクを回避することが可能になります。
ソーシャルリスニングを実践する際の注意点
ソーシャルリスニングには多くのメリットがある一方、いくつかの注意点もあります。リスクやデメリットを考慮せずにソーシャルリスニングを始めると、営業・マーケティングの方向性を誤ったり、思ったような費用対効果を見込めなかったりすることがあるので注意が必要です。
ここでは、ソーシャルリスニングを実践する際に気を付けるべきポイントを5つご紹介します。
過剰な依存は禁物
ソーシャルリスニングは、市場動向の把握から施策の検証、炎上リスクの回避まで、幅広いシーンで活用できる万能な手法です。ただし、ソーシャルリスニングだけで営業活動やマーケティング活動に必要な情報が全て手に入るわけではありません。
ソーシャルリスニングだけに頼って営業・マーケティングの方針を決めてしまうと、ニーズや課題の取りこぼしが発生する可能性があります。
ソーシャルリスニングはあくまで数ある分析手法の一つと考え、足りない分は他の方法で補うことが大切です。
情報の抽出が難しい
ソーシャルメディアには日々膨大な情報が流れていますが、その全てが企業にとって有益なものとは限りません。中には根拠のない誹謗中傷やサクラ、スパムなども多数含まれており、これらのノイズを収集・分析の対象にしてしまうと、ユーザーのニーズや業界のトレンドなどを測り損ねる恐れがあります。
ノイズをなるべく除去するには、膨大な情報の中からデータとして有益な情報のみピックアップする必要がありますが、そのためには高度な技術や優秀なツールが必須となります。
プライバシーへの配慮が必要
ソーシャルメディアで配信されている情報の中には、個人情報が含まれているものも少なくありません。意図的か否かに関わらず、個人を特定できる情報を収集・分析してしまうとプライバシーを侵害する行為と見なされ、企業やブランドのイメージを大きく損ねたり、訴訟リスクが生じたりする原因となります。
ユーザー属性を特定しにくい
ユーザーの情報を営業活動やマーケティング活動に生かす際は、そのユーザーの属性ごとにカテゴリやグループに分け、分析や施策を行うのが一般的です。ただ、不特定多数の人が情報に触れられるソーシャルメディアでは、プライバシー保護の観点から、多くのユーザーは自身の属性を隠して情報を発信しています。
そのため、ユーザーの性別や年齢、職業、居住地といった属性を正確に把握することは困難です。
属性が分からないと、年代ごとのニーズ傾向や行動原理などを把握できず、特定の年代・性別に適したアプローチを行いにくいというデメリットがあります。
コストがかかる
ソーシャルメディアからデータを収集すること自体は誰でもできますが、SNSだけでも日々膨大な情報が流れている上、その中から有益な情報のみをピックアップしなければなりません。これらの作業を手動で行うのは難しいため、ソーシャルリスニングを実施する際は専用のツールを利用するのが一般的です。
専用ツールの導入には少なからず費用がかかるため、ソーシャルリスニングを開始するとコストがかかるところがネックです。
ただ、ツールを上手に活用すれば、高い費用対効果を見込めるので、コストの問題は成果で十分カバーできるでしょう。
ソーシャルリスニングの基本的な流れ
ソーシャルリスニングを行う際の基本的な流れを5つのステップで説明します。1. 目的を決める
まず、ソーシャルリスニングを実施する目的を決めます。ソーシャルリスニングを行う目的は企業によって異なり、ユーザーニーズを把握するために実施する企業もあれば、施策やプロモーションの効果を検証したい企業もいます。
収集・分析するデータの性質は目的ごとに異なるため、まずは「なぜ実施するのか」「何を知りたいのか」「結果をどのようなことに生かしたいのか」などを明確にし、目的をはっきり定めることが大切です。
目的が曖昧なままスタートさせると、情報を効率的に収集できず、費用対効果が大幅に下がってしまうので注意しましょう。
2. 調査するメディアを決める
ソーシャルメディアと一言にいっても、SNSや掲示板、レビューサイトなど複数の種類があります。特にSNSはサービスによって特徴や性質、ユーザー層などに違いがあり、例えばX(旧Twitter)は短文投稿型のSNSなのでユーザーが手軽に投稿しやすく、膨大な情報が集まりやすいです。
その分、有益な情報とノイズをきちんと仕分けて収集・分析しないと分析の精度が下がってしまうので要注意です。
また、写真投稿型SNSの代表ツールであるInstagramは、写真や動画の投稿に特化しています。
おしゃれな画像を投稿することを意味するインスタ映えというキーワードは流行語にもなり、商品やサービスの良さを視覚的にアピールできるところが特徴です。
ただ、ユーザーは若年層が中心で、年代にやや偏りがあります。
このように、メディアごとに特色が異なるので、知りたい情報に基づいて適切なサービスを調査対象に設定することが大切です。
3. 調査する対象を決める
メディアを決めたら、分析対象を選定します。例えば、SNSで企業名やブランド名が含まれた投稿をリサーチする、レビューサイトで自社の商品・サービスを評価している口コミを調べるなどです。
どのような情報が知りたいかによってリサーチ対象も変化してくるので、ニーズや目的に合った対象を選びましょう。
4. キーワードを選ぶ
ソーシャルメディアを検索する際のキーワードを選定します。収集できるデータはキーワードの選び方によって大きく左右されるので、適切なワードを設定する必要があります。
5. 収集したデータを分析する
収集したデータを分析し、ユーザーニーズや市場動向などをリサーチします。同じデータでも分析方法ごとに異なる結果が出てくるため、多角的に分析してみましょう。
ソーシャルリスニングを成功に導く3つのポイント
ソーシャルリスニングを成功させるために押さえておきたいコツやポイントを3つご紹介します。1. キーワード選定は慎重に
ソーシャルリスニングでは情報を収集する際、知りたいことのキーワードを設定します。キーワードの選定を誤ると収集漏れが発生し、有益なデータを集められません。
そのため、キーワードを選ぶ際は知りたい情報に関連したキーワードをピックアップすることが大切です。
また、キーワード選定時は同義語に注意が必要です。
同じ意味の言葉でも、世間や市場で使用されている頻度には差があるため、頻度の低いキーワードを選んでしまうと収集漏れが発生するリスクが高くなります。
同義語がある言葉をキーワードとして選定する際は、使用頻度が高い方を選択するようにしましょう。
2. 偏りのない情報収集を行う
ソーシャルメディア上には、自社にとってポジティブな意見もあれば、ネガティブな口コミも流れています。ポジティブな意見の分析は、自社の強みや魅力を把握するのに有効です。
一方、ネガティブな意見の分析は、商品・サービスの改善や課題の洗い出しに役立ちます。
このように、ポジティブな情報もネガティブな情報も、それぞれ企業にとって有益なデータになり得るので、偏りのない情報を収集することが大切です。
収集した情報をポジティブ・ネガティブ・ニュートラル(中立)の3つに分類して管理すれば、偏りのない収集・分析を行いやすいでしょう。
3. 継続する体制を整える
ソーシャルメディアの情報や市場のトレンドは、日々めまぐるしく変化しています。そのため、ソーシャルリスニングは定期的かつ継続的な実施が前提となります。
また、ソーシャルリスニングはリアルタイムな情報を収集・分析できるところが強みなので、迅速な対応を行える体制も必須です。
以上の理由から、ソーシャルリスニングを始める際は、事前に情報を収集・分析するツールの導入や、専門的な知識を有する担当者を選定しておきましょう。
さらに、分析結果を商品の開発や改善、炎上対策に反映させるためのフローワークの策定など、入念な体制を整えておくことが大切です。
ソーシャルリスニングで市場ニーズをしっかりつかもう
ソーシャルリスニングを行えば、旬な情報をスピーディに入手できるので、トレンドや市場ニーズをいち早くキャッチできます。得られた情報を商品の改善や開発、リスクの回避などに役立てれば、売上アップや炎上防止などにつながるでしょう。
さらに、施策やプロモーションの反響をチェックしたり、業界や競合他社の動向をリサーチしたりすることもできるので、今では多くの企業がソーシャルリスニングを実施しています。
ただ、膨大な情報から有益な情報をピックアップして分析するのは非常に難しいため、ソーシャルリスニングを始める際は、情報の収集・分析に特化したツールを利用するのがおすすめです。
TDSE株式会社のQuid Monitorは、SNSからレビューサイト、ニュースサイト、ブログ、掲示板に至るまで、幅広いソーシャルメディアに対応したソーシャルリスニング向けのツールです。
膨大なデータの中から必要な情報を自動収集し、スピーディに分析できます。
複数の分析方法に対応している他、フィルタリング機能やシステム連携などにも対応しています。
ソーシャルリスニングを始めるに当たって便利なツールをお探しの方は、ぜひQuid Monitorをお試しください。
Quid Monitor(旧NetBase)の詳細・資料ダウンロードはこちら
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