海外市場調査は、海外で事業を発展させるためには必要不可欠な作業です。
とはいえ、海外市場調査のやり方が分からないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスの発展のために海外市場調査を検討している企業担当者の方に向けて、海外市場調査で実施する項目や、実施が必要な理由、調査上の注意点を解説します。
調査方法や費用も解説しており、海外市場調査への理解が深まるため、ぜひ参考にしてみてください。
具体的には自社商品やサービスを海外市場に導入したい場合や、既に海外進出はしているが、新たに別の国で事業展開を検討するときに実施します。
海外市場調査では、市場の大きさや現状の把握、消費者ニーズの分析、競合他社の分析などを行い、結果を基にビジネスの戦略を立てていきます。
また、現地の法律や規制も調査で確認しながら、商品改良を行っていかなければなりません。
例えば、若年層の人口が増加傾向で、将来的な発展が見込まれる海外市場に参入するなら、その国の若年層に向けた商品やサービスを展開する必要があります。
海外でビジネス展開を行うときは、A国では特定の商品が人気でも、B国では需要がないケースも珍しくありません。
「需要がなく利益が出なかった」といった失敗を防ぐためにも、海外市場調査を行う必要があります。
理由は、言語の壁があったり、文化的な違いを把握するのが難しかったりするためです。
国内調査では、調査員と対象の消費者が同じ国で暮らしているため、生活スタイルは異なりますが感覚や価値観は比較的理解しやすいです。
一方、海外市場調査の場合は、対象消費者が別の国で暮らしているため、多少の理解はあっても価値観や商品の見方が変わります。
さらに言語の壁が加わるため、信頼できるデータの判別や現地パートナー企業とのやり取りにも時間を要してしまうのが現実です。
だからこそ、海外市場調査では国内市場調査よりも念入りな計画とグローバルな視点が求められます。
既に海外進出の経験があっても、他の国で同じ商品が人気になるとは限りません。
また「まずはA国に参入してから様子を見つつ、戦略を立てていこう」と考えるのは、後々利益が発生しなかったときのリスクが大きいです。
各国の市場は独自の文化や特性を持っており、消費者の好みや商品購入の判断基準も異なります。
海外への新規参入を成功させるには、市場で今どのようなものが需要があるのか、消費者の求めているものを徹底的に調査する必要があります。
調査結果を基に効果的な施策を打ち出していけば、ビジネスの発展にもつながり、新規参入の成功率が高まるでしょう。
海外市場では、あらゆる企業が同じターゲットを狙って戦略を立てます。
多数の企業が混在する中で、自社の商品やサービスを際立たせるには、競合他社の状況や強み・弱みを分析し、差別化できるポイントを探る必要があります。
海外進出を成功させるには、市場場調査で競合他社を知り、どの企業もまだ提供していない価値を自社の商品で提供できないか考えることが重要です。
海外進出は、国内進出に比べて消費者のニーズがつかみにくいため、成功の確実性がなく、大きなリスクが伴います。
例えば、国内の消費者の感覚で戦略を立てても、現地の規制に引っ掛かってしまうなら意味がありません。
また、規制を無事突破して現地の消費者に商品を認識してもらえたものの、反応が悪く売上が思うように伸びないケースも考えられます。
海外市場調査で市場の動向を理解すれば、どの顧客層に商品を打ち出せば需要があるのか、避けるべき層はどの辺りかが見えてくるでしょう。
海外進出予定の商品やサービスが現地でどのように受け入れられるかを調査できれば、参入の成功率を高められます。
商品のデザインや機能、価格が現地の消費者の好みや金銭感覚とマッチしているかが分かれば、必要に応じて商品改良が可能です。
例として、赤色のTシャツを打ち出すために海外市場調査を実施するとします。
もし調査結果で赤色が現地で好まれるなら、商品の方向性は変えずに販売を進めていきます。
一方、赤色が好まれない、もしくは別の色が好まれる傾向があるなら、Tシャツの色やデザインを見直していくイメージです。
訴求したい商品が現地で好まれるのかといった適応性も、市場調査で確かめていきます。
以下で一つずつ紹介します。
デスクリサーチとも呼ばれ、オンラインで公開されている統計データや業界レポートなどを活用して、市場を詳しく把握していきます。
インターネット環境さえあれば調査が可能なため、費用を抑えつつ短時間で広範囲の情報を集められるのがメリットです。
インターネット調査で分かる結果は、既存のデータを活用して得た情報のため、いわゆる二次情報になります。
一方、インタビューやアンケートは自らが聞き出した情報のため、一次情報です。
そのため、調査の初期段階や本格的な調査の前に大まかな情報を集めたいときに有効的です。
ただし、情報が古い可能性があるため、最新の市場動向や詳細な分析が必要な場合は他の方法と組み合わせる必要があります。
主に小売業を発展させたいときに行う方法になります。
現地のリアルな声や動向を探れるため、より具体的で正確な情報を取得できるのがメリットです。
担当者が現地の店舗で商品の価格や代替商品、競合商品を確認して、具体的な施策を練っていきます。
現地の声をリアルに拾えますが、時間と渡航費用が掛かるため、目的や予算に応じて計画的に実施することが重要です。
消費者に直接調査をするため確実性が高く、戦略を立てるときの指標にもなります。
最近では現地に出向かなくてもオンライン上でアンケート調査を実施できます。
また、SNSを活用すれば情報が拡散され、広範囲のユーザーにアンケートの存在を認識してもらえるのもメリットです。
他にも、現地に出向いて直接用紙に回答してもらったり、電話やFAXでアンケートを行ったりします。
アンケート調査といっても方法は幅広いため、どのような方法を採用するかで時間と費用が変動します。
実際に利用した消費者のニーズを細かく聞けるため、戦略策定に役立ちます。
ニーズだけでなく、商品を使ってみて感じた違和感や改善点を聞けるのもメリットです。
また、参入後に想定される文化の違いによるリスクを軽減させるためにも有効となります。
アンケートは短時間かつ簡単な質問で答えられますが、インタビュー調査はスケジュール調整が必要なため、少々手間が掛かります。
しかし、紙面上やインターネット上では聞き出せない意見や話が聞けるため、今後の進め方にも役立つのが良い点です。
通販やインターネットを利用した調査が用いられるケースもありますが、通常は現地の実店舗で行われます。
調査員が商品やサービスの品質、陳列、従業員の対応などを確認していくため、リアルタイムの現地の動向を探れるのがメリットです。
ただし時間と渡航費用がかさむため、必要に応じて実施を検討しなければなりません。
専門家の見解を通じて、業界のトレンドや市場の課題、競合の状況などを理解できるのがメリットです。
また、海外進出の成功事例や失敗事例を提供してもらえて、専門的な視点で戦略を分析できるため、自社だけでは得られなかった情報を取得できます。
依頼費用は掛かりますが、業務の効率化には有効で、質の高い戦略策定が可能です。
また、消費者がどのようなニーズや課題を抱えているのか、競合他社の中でなぜ自社の商品を選ぶ必要があるのかを分析するのも大切です。
自社の分析を徹底的に行えば、進出先でのビジネス成功率が高められます。
消費者が何を求めているのか、どのような商品やサービスに興味があるのかを明らかにできれば、ニーズに合わせて戦略が立てられます。
具体的には、市場の流行や規模、成長率を複数のデータを用いて明確にしていきます。
文化や言語の違いを飛び越えて、編み出した戦略によって市場シェアを拡大できるか確認するのに重要な項目です。
競合他社をリストアップするときは、以下の分類に分けて考えましょう。
上記に分類できたら、市場シェアの大部分を占めるブランドや、2番手、3番手のブランドなど、競合会社の市場での立ち位置を明確化します。
その後は、競合が狙っている消費者や与えている価値、経営方針などを調査し、差別化が図れるポイントがないかを探るといった流れです。
化粧品や食品を海外販売させる場合は、特に重視すべきポイントです。
海外で販売不可と判断されたら、商品の成分や原材料を見直す必要があります。
海外市場調査で事前に対象国の規制や法律の情報収集ができれば、進出時のトラブルを防げるため、徹底的に行いましょう。
日本と海外では文化的背景や経済状況が異なるため、参入した際のリスクが伴います。
リスクを未然に防ぐためにも、流通ルートや現地の弁護士などのパートナーを探さなければなりません。
現地企業やコンサルタント、代理店などとの連携を強化しておくことで、ビジネスが円滑に進んでいきます。
調査会社にまとめて依頼した場合は数百万から数千万円掛かりますが、ある程度自社で調査を実施すれば必要な部分のみ費用が発生します。
以下の表は、簡易的な調査と本格的な調査で分けた相場です。
調査の幅が広がるほど費用は高額になり、現地調査をプラスすると渡航費用もかさみます。
市場調査で何にお金を掛けるのか、社内で話し合いましょう。
まずは調査の目的を明確にする必要があります。
目的が明確でなければ途中で方向性を見失い、ゴールが見えなくなる可能性があるためです。
目的を明確化させたら、市場の大きさや将来性、リスクなどを総合的に確認しながら調査対象の国と地域を選定し、自社商品と現地の適応性を確認していきます。
実際に市場調査を実施したら、結果を基に事業戦略を練ります。
調査結果を経営陣と共有し、合意が出たら海外市場に参入しますが、参入後も必要に応じて戦略を見直していかなければなりません。
また、市場の動向は日々変化していくため、リアルタイムの消費者に合った戦略を行う必要があります。
調査期間は企業によって異なりますが、国内調査よりも集めるデータが広く時間を要するため、ゆとりを持って動きましょう。
以下で、海外市場調査の課題と解決策を見ていきましょう。
理由は、データの翻訳費用や調査内容の範囲が関係しているためです。
市場調査では、消費者ニーズをくみ取るためにアンケート調査を設ける場合があります。
国内調査では翻訳せずとも内容を理解できますが、海外調査は翻訳後にアンケートを取らなければなりません。
また、やり取りを進めるときや調査に必要なデータを取得したときにも翻訳が必要となるため、追加で費用が掛かります。
費用を抑えるなら、アンケートの質問項目はできるだけ簡潔に作りましょう。
文字数が多くなるほど、翻訳費用が高くなります。
また、日本語から現地語へ翻訳するときは、一度英語に直すのが一般的です。
例えば、言語がイタリア語だった場合は、日本語→英語→イタリア語の順で翻訳されます。
そのため、英語翻訳までは自社で行えると費用が削減できる可能性があります。
市場の消費者の価値観や行動パターンなどが国内の消費者とは異なるため、調査結果が期待どおりでないときも珍しくありません。
結果が期待どおりでなかった場合は、再度事業戦略を練り直して調査を続ける必要があります。
文化の違いを正しく理解するには、現地の専門家とつながって市場の詳しいヒアリングを行うのが有効です。
国によっては統計データがそもそも用意されていない可能性があるため、注意が必要です。
正確なデータを効率良く集めるには、市場調査を扱う会社に依頼したり、ソーシャルリスニングツールを利用して情報を集めたりするのがポイントとなります。
ソーシャルリスニングツールとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSや掲示板、ブログ上での消費者の声やトレンドを、リアルタイムで収集・分析するためのツールです。
ツールを活用することで、消費者が求めているものを効率良く調査できます。
自社の強みと弱みはもちろん、競合他社の洗い出しや消費者ニーズの取得など、あらゆる観点から調査を行わなければなりません。
また、文化の違いや言語の壁がある理由から国内市場調査に比べて難易度が高く、時間と費用が掛かります。
効率良く消費者の声を集め、海外進出をスムーズに進めるためには、ソーシャルリスニングツールの活用がおすすめです。
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とはいえ、海外市場調査のやり方が分からないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ビジネスの発展のために海外市場調査を検討している企業担当者の方に向けて、海外市場調査で実施する項目や、実施が必要な理由、調査上の注意点を解説します。
調査方法や費用も解説しており、海外市場調査への理解が深まるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
海外市場調査とは?
海外市場調査とは、海外でビジネスの展開を目指すときに実施される調査です。具体的には自社商品やサービスを海外市場に導入したい場合や、既に海外進出はしているが、新たに別の国で事業展開を検討するときに実施します。
海外市場調査では、市場の大きさや現状の把握、消費者ニーズの分析、競合他社の分析などを行い、結果を基にビジネスの戦略を立てていきます。
また、現地の法律や規制も調査で確認しながら、商品改良を行っていかなければなりません。
例えば、若年層の人口が増加傾向で、将来的な発展が見込まれる海外市場に参入するなら、その国の若年層に向けた商品やサービスを展開する必要があります。
海外でビジネス展開を行うときは、A国では特定の商品が人気でも、B国では需要がないケースも珍しくありません。
「需要がなく利益が出なかった」といった失敗を防ぐためにも、海外市場調査を行う必要があります。
国内市場調査より難易度が高い?
海外市場調査は、国内市場調査と比較して難易度が高いとされています。理由は、言語の壁があったり、文化的な違いを把握するのが難しかったりするためです。
国内調査では、調査員と対象の消費者が同じ国で暮らしているため、生活スタイルは異なりますが感覚や価値観は比較的理解しやすいです。
一方、海外市場調査の場合は、対象消費者が別の国で暮らしているため、多少の理解はあっても価値観や商品の見方が変わります。
さらに言語の壁が加わるため、信頼できるデータの判別や現地パートナー企業とのやり取りにも時間を要してしまうのが現実です。
だからこそ、海外市場調査では国内市場調査よりも念入りな計画とグローバルな視点が求められます。
海外市場調査が必要な理由
海外市場調査が必要な理由は、以下の通りです。- 海外市場の特性や消費者ニーズを理解するため
- 競合他社との差別化を図るため
- 海外参入のリスクを少なくするため
- 訴求商品の適応性を確かめるため
海外市場の特性や消費者ニーズを理解するため
1つ目の理由は、海外市場の特性や消費者ニーズを理解するためです。既に海外進出の経験があっても、他の国で同じ商品が人気になるとは限りません。
また「まずはA国に参入してから様子を見つつ、戦略を立てていこう」と考えるのは、後々利益が発生しなかったときのリスクが大きいです。
各国の市場は独自の文化や特性を持っており、消費者の好みや商品購入の判断基準も異なります。
海外への新規参入を成功させるには、市場で今どのようなものが需要があるのか、消費者の求めているものを徹底的に調査する必要があります。
調査結果を基に効果的な施策を打ち出していけば、ビジネスの発展にもつながり、新規参入の成功率が高まるでしょう。
競合他社との差別化を図るため
2つ目の理由は、競合他社との差別化を図るためです。海外市場では、あらゆる企業が同じターゲットを狙って戦略を立てます。
多数の企業が混在する中で、自社の商品やサービスを際立たせるには、競合他社の状況や強み・弱みを分析し、差別化できるポイントを探る必要があります。
海外進出を成功させるには、市場場調査で競合他社を知り、どの企業もまだ提供していない価値を自社の商品で提供できないか考えることが重要です。
海外参入のリスクを少なくするため
3つ目の理由は、海外参入のリスクを少なくするためです。海外進出は、国内進出に比べて消費者のニーズがつかみにくいため、成功の確実性がなく、大きなリスクが伴います。
例えば、国内の消費者の感覚で戦略を立てても、現地の規制に引っ掛かってしまうなら意味がありません。
また、規制を無事突破して現地の消費者に商品を認識してもらえたものの、反応が悪く売上が思うように伸びないケースも考えられます。
海外市場調査で市場の動向を理解すれば、どの顧客層に商品を打ち出せば需要があるのか、避けるべき層はどの辺りかが見えてくるでしょう。
訴求商品の適応性を確かめるため
4つ目は、訴求したい商品の適応性を確かめるためです。海外進出予定の商品やサービスが現地でどのように受け入れられるかを調査できれば、参入の成功率を高められます。
商品のデザインや機能、価格が現地の消費者の好みや金銭感覚とマッチしているかが分かれば、必要に応じて商品改良が可能です。
例として、赤色のTシャツを打ち出すために海外市場調査を実施するとします。
もし調査結果で赤色が現地で好まれるなら、商品の方向性は変えずに販売を進めていきます。
一方、赤色が好まれない、もしくは別の色が好まれる傾向があるなら、Tシャツの色やデザインを見直していくイメージです。
訴求したい商品が現地で好まれるのかといった適応性も、市場調査で確かめていきます。
海外市場調査の方法とは?
海外市場調査の代表的な方法は、以下の通りです。- インターネット調査
- 店頭調査
- 消費者アンケート調査
- 体験モニター調査
- インタビュー調査
- 覆面調査
- 専門家へのヒアリング調査
以下で一つずつ紹介します。
インターネット調査
インターネット調査とは、現地に行かずにインターネット上で競合他社の分析や消費者ニーズ、市場の動向を調べる方法です。デスクリサーチとも呼ばれ、オンラインで公開されている統計データや業界レポートなどを活用して、市場を詳しく把握していきます。
インターネット環境さえあれば調査が可能なため、費用を抑えつつ短時間で広範囲の情報を集められるのがメリットです。
インターネット調査で分かる結果は、既存のデータを活用して得た情報のため、いわゆる二次情報になります。
一方、インタビューやアンケートは自らが聞き出した情報のため、一次情報です。
そのため、調査の初期段階や本格的な調査の前に大まかな情報を集めたいときに有効的です。
ただし、情報が古い可能性があるため、最新の市場動向や詳細な分析が必要な場合は他の方法と組み合わせる必要があります。
店頭調査
店頭調査とは、現地に出向いて情報を取得する方法です。主に小売業を発展させたいときに行う方法になります。
現地のリアルな声や動向を探れるため、より具体的で正確な情報を取得できるのがメリットです。
担当者が現地の店舗で商品の価格や代替商品、競合商品を確認して、具体的な施策を練っていきます。
現地の声をリアルに拾えますが、時間と渡航費用が掛かるため、目的や予算に応じて計画的に実施することが重要です。
消費者アンケート調査
アンケート調査とは、対象市場の消費者に複数の質問を投げかけ、好みや嗜好を収集する方法です。消費者に直接調査をするため確実性が高く、戦略を立てるときの指標にもなります。
最近では現地に出向かなくてもオンライン上でアンケート調査を実施できます。
また、SNSを活用すれば情報が拡散され、広範囲のユーザーにアンケートの存在を認識してもらえるのもメリットです。
他にも、現地に出向いて直接用紙に回答してもらったり、電話やFAXでアンケートを行ったりします。
アンケート調査といっても方法は幅広いため、どのような方法を採用するかで時間と費用が変動します。
体験モニター調査
モニター調査とは、訴求商品やサービスを一定期間にわたって利用または体験してもらい、期間終了後に意見や感想を調査する方法です。実際に利用した消費者のニーズを細かく聞けるため、戦略策定に役立ちます。
ニーズだけでなく、商品を使ってみて感じた違和感や改善点を聞けるのもメリットです。
また、参入後に想定される文化の違いによるリスクを軽減させるためにも有効となります。
インタビュー調査
インタビュー調査とは、消費者と直接会話をして、詳細な意見や情報の聞き取りを行う方法です。アンケートは短時間かつ簡単な質問で答えられますが、インタビュー調査はスケジュール調整が必要なため、少々手間が掛かります。
しかし、紙面上やインターネット上では聞き出せない意見や話が聞けるため、今後の進め方にも役立つのが良い点です。
覆面調査
覆面調査は、調査員が一般の顧客を装って店舗の雰囲気や商品を評価する方法です。通販やインターネットを利用した調査が用いられるケースもありますが、通常は現地の実店舗で行われます。
調査員が商品やサービスの品質、陳列、従業員の対応などを確認していくため、リアルタイムの現地の動向を探れるのがメリットです。
ただし時間と渡航費用がかさむため、必要に応じて実施を検討しなければなりません。
専門家へのヒアリング調査
参入を検討している市場に詳しい専門家にヒアリングする方法もあります。専門家の見解を通じて、業界のトレンドや市場の課題、競合の状況などを理解できるのがメリットです。
また、海外進出の成功事例や失敗事例を提供してもらえて、専門的な視点で戦略を分析できるため、自社だけでは得られなかった情報を取得できます。
依頼費用は掛かりますが、業務の効率化には有効で、質の高い戦略策定が可能です。
海外市場調査で実施する5つの項目
海外市場調査では、以下の5つの項目を調査します。- 自社の分析
- 海外での消費者ニーズの分析
- 競合他社の洗い出しと分析
- 現地の規制や法律に基づく商品・サービスの適応性の確認
- 現地パートナー探し
自社の分析
自社の強みと弱み、市場での立ち位置などを分析し、海外参入の方向性を決めていきます。また、消費者がどのようなニーズや課題を抱えているのか、競合他社の中でなぜ自社の商品を選ぶ必要があるのかを分析するのも大切です。
自社の分析を徹底的に行えば、進出先でのビジネス成功率が高められます。
海外市場と消費者ニーズの分析
海外市場と消費者ニーズの分析は、海外で新規事業を展開していく際に必要不可欠です。消費者が何を求めているのか、どのような商品やサービスに興味があるのかを明らかにできれば、ニーズに合わせて戦略が立てられます。
具体的には、市場の流行や規模、成長率を複数のデータを用いて明確にしていきます。
文化や言語の違いを飛び越えて、編み出した戦略によって市場シェアを拡大できるか確認するのに重要な項目です。
競合他社の洗い出しと分析
競合他社の洗い出しと分析は、他社との差別化を図るために重要な要素です。競合他社をリストアップするときは、以下の分類に分けて考えましょう。
- 消費者から見て比較対象とされるブランドを持つ直接競合
- 比較対象ではないが、消費者への価値提供は同じとされる間接競合
上記に分類できたら、市場シェアの大部分を占めるブランドや、2番手、3番手のブランドなど、競合会社の市場での立ち位置を明確化します。
その後は、競合が狙っている消費者や与えている価値、経営方針などを調査し、差別化が図れるポイントがないかを探るといった流れです。
現地の規制や法律に基づく商品・サービスの適応性の確認
参入予定の商品やサービスが現地の規制や法律に違反していないかを分析し、現地での適応性を確認していきます。化粧品や食品を海外販売させる場合は、特に重視すべきポイントです。
海外で販売不可と判断されたら、商品の成分や原材料を見直す必要があります。
海外市場調査で事前に対象国の規制や法律の情報収集ができれば、進出時のトラブルを防げるため、徹底的に行いましょう。
現地パートナー探し
現地のパートナー探しは、海外進出を円滑に進めるために重要です。日本と海外では文化的背景や経済状況が異なるため、参入した際のリスクが伴います。
リスクを未然に防ぐためにも、流通ルートや現地の弁護士などのパートナーを探さなければなりません。
現地企業やコンサルタント、代理店などとの連携を強化しておくことで、ビジネスが円滑に進んでいきます。
海外市場調査の費用相場は?
海外市場調査の費用相場は、調査の範囲や詳細によって大きく異なります。調査会社にまとめて依頼した場合は数百万から数千万円掛かりますが、ある程度自社で調査を実施すれば必要な部分のみ費用が発生します。
以下の表は、簡易的な調査と本格的な調査で分けた相場です。
調査内容 |
費用相場 |
|
1カ国100万円~ |
|
1カ国400万円~ |
調査の幅が広がるほど費用は高額になり、現地調査をプラスすると渡航費用もかさみます。
市場調査で何にお金を掛けるのか、社内で話し合いましょう。
海外市場調査の流れ
海外市場調査は、以下の流れで進んでいきます。- 調査の目的を明確にする
- 調査対象の国・地域を選定する
- 自社製品・サービスと市場の適応性を確かめる
- 調査方法を決定し、実際に海外市場調査を実施する
- 調査結果を基に事業戦略を立案する
- 海外進出する
- モニタリングと定期的な戦略の見直しを行う
まずは調査の目的を明確にする必要があります。
目的が明確でなければ途中で方向性を見失い、ゴールが見えなくなる可能性があるためです。
目的を明確化させたら、市場の大きさや将来性、リスクなどを総合的に確認しながら調査対象の国と地域を選定し、自社商品と現地の適応性を確認していきます。
実際に市場調査を実施したら、結果を基に事業戦略を練ります。
調査結果を経営陣と共有し、合意が出たら海外市場に参入しますが、参入後も必要に応じて戦略を見直していかなければなりません。
また、市場の動向は日々変化していくため、リアルタイムの消費者に合った戦略を行う必要があります。
調査期間は企業によって異なりますが、国内調査よりも集めるデータが広く時間を要するため、ゆとりを持って動きましょう。
海外市場調査の課題と解決策
海外市場調査は海外で利益を出すために重要ですが、調査に伴う課題を頭に入れておかなければなりません。以下で、海外市場調査の課題と解決策を見ていきましょう。
国内市場調査に比べて費用が掛かる
海外市場調査は、国内市場調査に比べて2~3倍ほど費用が高額になるといわれています。理由は、データの翻訳費用や調査内容の範囲が関係しているためです。
市場調査では、消費者ニーズをくみ取るためにアンケート調査を設ける場合があります。
国内調査では翻訳せずとも内容を理解できますが、海外調査は翻訳後にアンケートを取らなければなりません。
また、やり取りを進めるときや調査に必要なデータを取得したときにも翻訳が必要となるため、追加で費用が掛かります。
費用を抑えるなら、アンケートの質問項目はできるだけ簡潔に作りましょう。
文字数が多くなるほど、翻訳費用が高くなります。
また、日本語から現地語へ翻訳するときは、一度英語に直すのが一般的です。
例えば、言語がイタリア語だった場合は、日本語→英語→イタリア語の順で翻訳されます。
そのため、英語翻訳までは自社で行えると費用が削減できる可能性があります。
文化の違いが壁となる
文化の違いが壁となって、思うように調査が進まないケースもあります。市場の消費者の価値観や行動パターンなどが国内の消費者とは異なるため、調査結果が期待どおりでないときも珍しくありません。
結果が期待どおりでなかった場合は、再度事業戦略を練り直して調査を続ける必要があります。
文化の違いを正しく理解するには、現地の専門家とつながって市場の詳しいヒアリングを行うのが有効です。
正確なデータの取得に手間が掛かる可能性がある
海外市場では、信頼性の高いデータを集めるのが難しかったり、情報源が限られている可能性があります。国によっては統計データがそもそも用意されていない可能性があるため、注意が必要です。
正確なデータを効率良く集めるには、市場調査を扱う会社に依頼したり、ソーシャルリスニングツールを利用して情報を集めたりするのがポイントとなります。
ソーシャルリスニングツールとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSや掲示板、ブログ上での消費者の声やトレンドを、リアルタイムで収集・分析するためのツールです。
ツールを活用することで、消費者が求めているものを効率良く調査できます。
海外市場調査はソーシャルリスニングツールを活用するのがおすすめ
海外市場調査は、商品やサービスを海外進出させるときに必要不可欠です。自社の強みと弱みはもちろん、競合他社の洗い出しや消費者ニーズの取得など、あらゆる観点から調査を行わなければなりません。
また、文化の違いや言語の壁がある理由から国内市場調査に比べて難易度が高く、時間と費用が掛かります。
効率良く消費者の声を集め、海外進出をスムーズに進めるためには、ソーシャルリスニングツールの活用がおすすめです。
Quid Monitor(旧NetBase)では、海外市場調査に必要なSNS上の膨大なデータをリアルタイムに分析できます。
1カ月分のデータを数秒でデータ収集・分析ができるほどのスピード感で、世界3億ドメイン以上の豊富なデータソースに対応可能です。
さらに50言語に対応しているため、翻訳費用の削減にもつながります。
「多忙でSNS分析に時間が取れない」「海外市場調査を効率良く進めたい」とお悩みの企業担当者の方は、ぜひ一度ツールの無料デモをお試しください。
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