だからこそ商品開発には、マーケティングで浮き彫りにした消費者ニーズを、しっかりと反映させなくてはなりません。
本記事では商品開発におけるマーケティングの重要性、SNS分析と口コミ分析の活用法、分析のフレームワークなどを解説します。
マーケティング分析にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
商品開発とマーケティングの違い
商品開発とは、新しい商品やサービスのアイデアを形にし、新商品として市場に送り出すまでのプロセスです。マーケティングは、自社の商品やサービスを効率的に販売し、市場価値を高める活動全般を指します。
その内容は市場調査、広告宣伝、販売促進など多岐にわたります。
マーケティングの目的は「誰に、何を、どのように売るか」を決めることです。
「何を」に該当する商品開発は、実際に顧客が手にする商品を作り出す、マーケティングの重要な工程です。
商品開発におけるマーケティングの重要性
経済活動の複雑性が増しており、将来への不安も高まる中、人々の購買意欲は低下しています。「コスパ」という言葉が頻繁に使われるようになったことからも分かる通り、支払った金額以上の価値を求められる時代です。
安いから、品質が良いからという理由だけで、商品やサービスを販売するのは難しくなりました。
さらにSNSなどの普及により、市場の動向も変化しています。
「リスティング広告はあえて見ない」というユーザーも多く、派手な広告が必ずしも人を引きつけるとは限りません。
だからこそ商品開発には、市場のニーズや現状の調査と分析が必要です。
まずは自社の商品やサービスが、どの市場に求められており、どのような価値を提供できるのか把握しなければなりません。
その上で、市場のターゲットや使用目的に合致した、ユーザーを満足させられる商品を開発することが大切です。
商品開発に伴うマーケティングを行う流れ
一般的に、商品開発に伴うマーケティングを行う際は、次のような流れで進めることが多いです。- 市場調査と分析
- ターゲットの選定
- 商品コンセプトの検討
- 提供方法の検討
本項では、この4点について解説します。
1. 市場調査と分析
まずは市場やユーザー、競合他社などの外部環境に関する情報を集めます。例えば、以下のようなものです。
- 市場にはどのようなユーザーがいるか
- ターゲットとなる市場の規模はどれくらいか
- ユーザーがどのようなニーズを持っているのか(顕在・潜在ニーズ)
- 商品・サービスはどのような評価をされているか
- 競合他社を含めた現状がどうなっているか
2. ターゲットの選定
市場調査と分析が終了したら、その結果に基づいて、新商品や新サービスのターゲットを絞り込んでいきます。以下のような基準で市場を細分化し、どのセグメントをターゲットにするかを決定します。
基準 |
内容の一例 |
地理的変数 |
国(世界市場の場合) |
地域(関東/関西など) |
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人口密度(大都市/地方都市など) |
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気候(寒い/雨が多いなど) |
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人口動態変数 |
年齢、年代 |
職業、所得 |
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家族構成、世帯人数 |
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ライフステージ |
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心理的変数 |
ライフスタイル |
趣味や嗜好 |
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価値観 |
3. 商品開発コンセプトの検討
市場調査の結果と選定したターゲットを踏まえ、新商品や新サービスのコンセプトを検討します。まずはペルソナを設定し、その商品やサービスがどのように使われるのかを考慮して、具体的なコンセプトを組み立てます。
- いつ、どこで使うのか
- どうやって使うのか
- 何の目的で使うのか
- どのような価値を得られるのか(メリットや満足感、課題解決など)
コンセプト作成の際は、なるべく多くの部署から情報やアイデアを収集すると効果的です。
設計や製造はもちろん、営業や広報、流通などの関係部署も集まって、ブレインストーミングやディスカッションの機会を設けましょう。
4. 提供方法の検討
コンセプトの次は、その商品やサービスを提供するための販売戦略です。市場に対してどう訴求し、どのような手段で販売するのかを検討していきます。
この段階では「4P分析/4C分析」の視点から考えるのが有効です。
4C:買い手側の視点
- Customer Value(顧客価値)
- Customer Cost(顧客コスト)
- Convenience(利便性)
- Communication(コミュニケーション)
4P:売り手側の視点
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販売促進)
一般的にはまず4Cを分析し、その結果から導き出した4Pについて、マーケティングミックスを行うのが定石とされています。
商品開発とマーケティングに役立つSNS・口コミ分析
SNSなどの投稿やECサイトの口コミは、ユーザーのリアルな声があふれる貴重な情報源です。その声を分析すると、自社サービスの評判や競合他社の状況などが分かります。
本項では、次の3点について解説します。
- SNS分析
- 口コミ分析
- メリットとデメリット
SNS分析
SNS分析は文字どおり、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのソーシャルメディア投稿の分析です。一般的に、SNS投稿は「定量」と「定性」の2視点から分析します。
- 定量:数値での分析(いいねやリポストの数、フォロワー数など)
- 定性:投稿内容の分析(ユーザーの意図の分析など)
以下はSNSの一例です。
種類 |
メリット |
デメリット |
X(旧Twitter) |
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一口にSNSと言っても、プラットフォームによって特徴や機能が異なります。
分析の際は、自社の目的に合うSNSを選定しましょう。
また、精度と効率の良い分析にはSNS分析ツールを利用するのも一案です。
口コミ分析
口コミ分析とは、SNSやECサイトなどの各種プラットフォームから口コミを収集し、分析することです。口コミは、実際に商品やサービスを利用したユーザーの声であり、SNS以上に本音や感情が現れます。
以下は口コミ分析に利用できる投稿の一例です。
種類 |
メリット |
デメリット |
SNS投稿 |
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口コミ・レビューサイト |
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掲示板 |
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公式サイト・ブログのコメント |
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口コミ分析は情報がたくさん集まる反面、その収集方法はエゴサーチなどの人海戦術に頼ることが多いです。
情報の精査も人の手で行うため、工数過多になったり、精度が低くなったりする可能性があります。
分析の際は口コミ分析ツールの利用も検討してみましょう。
メリットとデメリット
SNS分析や口コミ分析のメリットは以下の通りです。- 商品やサービスに対するユーザーの反応をスピーディに把握できる
- ユーザーの本音が分かる
- 競合他社の情報を分析して、自社と比較したブランド調査ができる
一方、デメリットとしては以下の点が挙げられます。
- 情報の精査が難しい
- ユーザーの属性が分かりにくい
- 分析に時間がかかる
- 精度が高い分析には専門知識が必要
商品開発とマーケティングへのSNS・口コミ分析の活用法
精度の高いSNS分析と口コミ分析の結果は、消費者ニーズの把握や炎上対策など、さまざまな用途に活用できます。本項では、次の3点をピックアップして解説します。
- 自社のブランドイメージ調査
- 競合他社の分析・自社との比較
- 広告出稿時の評価
自社のブランドイメージ調査
SNS分析と口コミ分析では、ユーザーが自社ブランドに対して持っている、リアルなイメージが浮き彫りになります。自社が押し出しているブランドイメージが、そのままユーザーに伝わっているとは限りません。
SNSや口コミにはリアルな声が寄せられるため、投稿を分析すると、ユーザーが持つイメージとの乖離を把握できます。
例を挙げると、以下のようなパターンです。
自社が目指すブランドイメージ |
SNSや口コミの投稿 |
高品質でリーズナブル |
普通の品質・コスパが悪い |
自社ブランドの認知度が高い |
初めて聞いた・初めて使った |
ポジティブなイメージ |
あまり良いイメージはない |
競合他社の分析・自社との比較
SNS分析や口コミ分析は、自社だけでなく競合他社の投稿でも可能です。自社と競合他社の分析結果を比較すると、市場での立ち位置や差別化の糸口、評価されるポイントの違いなどが浮き彫りになります。
その結果は、競合他社と差別化を図った商品開発、自社の強みを生かしたマーケティング戦略の立案などへ活用できます。
比較ポイントはさまざまですが、例を挙げると以下のような点です。
- フォロワーの何割がいいねを付けているか
- どのような評価が投稿されているか
- 競合している商品やサービスの評価されている点はどこか
広告出稿時の評価
SNS分析や口コミ分析は、広告を出稿した際の評価検証にも活用できます。広告の出稿時に、SNSに寄せられた投稿を分析すると、ユーザーの反応をリアルタイムで知ることができます。
「試してみたい」「おもしろそう」などのポジティブな意見だけではなく「興味ない」「つまらない」といったネガティブな投稿もあるでしょう。
広告効果の測定には、CTRやCVRなどの数値化できる基準が存在します。
それに対し、SNSや口コミに寄せられるユーザーの印象は、数値では測れません。
両者を合わせた検証を行うことで、広告効果の多角的な解釈ができます。
商品開発に有益なマーケティングフレームワーク
これまで解説してきた通り、マーケティングのプロセスには、さまざまな分析が伴います。そこで「フレームワーク」に添って考えていくと、重要な要素が織り込まれた、一貫性のあるマーケティング戦略を立案できます。
前述した「4C分析」「4P分析」もフレームワークの一種です。
本項では、マーケティングの分析に使われるフレームワークについて解説します。
- PEST分析
- 5フォース分析
- 3C分析
- SWOT分析
- STP分析
PEST分析
PEST分析は、外部環境の影響を分析するフレームワークです。外部要因を以下の4つに分け、それぞれが市場に与える影響を分析します。
外部要因 |
影響の理由(一例) |
Politics(政治的要因) |
法律、条例、税制など |
Economy(経済的要因) |
為替や株価の変動、景気動向など |
Society(社会的要因) |
人口変動、トレンド、教育など |
Technology(技術的要因) |
インフラ、技術革新、特許など |
PEST分析は、マクロ環境の長期的な分析に適しています。
いずれかに偏らず、全領域をくまなく網羅する調査と分析が理想です。
5フォース分析
5フォース分析は、外部環境の脅威を分析するフレームワークです。「5つの競争要因」から、それぞれの脅威の大きさを分析します。
5つの競争要因 |
脅威の理由(一例) |
①業界内の競合他社 |
直接の競争相手 |
②代替品の脅威 |
競合ではなかった製品が競争相手になる |
③新規参入者の脅威 |
自社以上に優位性の高い新規参入者が登場する |
④買い手の交渉力 |
価格競争などの理由で買い手の力が強くなる |
⑤売り手の交渉力 |
仕入価格の上昇、供給停止などで自社が悪影響を受ける |
PEST分析がマクロ環境に適したフレームワークであるのに対し、5フォース分析はミクロ環境の分析に使われます。
3C分析
3C分析は、自社の経営環境を分析するフレームワークです。要素を以下の3つに分けて分析を行います。
要素 |
分析内容(一例) |
Customer(市場・顧客) |
市場規模、成長性、顧客ニーズ、消費行動など |
Competitor(競合) |
競合のシェアや特徴、業界のポジションなど |
Company(自社) |
自社の強み、理念やビジョン、リソースなど |
3C分析は、外的要因(市場・顧客、競合)を分析してから、内的要因(自社)の分析を行います。
SWOT分析
SWOT分析は、内部環境と外部環境の現状を把握するフレームワークです。以下の4つの要素に分類して分析していきます。
– |
プラス要因 |
マイナス要因 |
内部環境 |
Strength(強み) |
Weakness(弱み) |
外部環境 |
Opportunity(機会) |
Threat(脅威) |
SWOT分析を用いることで、社内外の環境を直感的に把握することが可能です。
必ずしも現代のニーズに合っているとは言い切れない手法ですが、他のフレームワークと組み合わせると、相乗効果を発揮するでしょう。
STP分析
STP分析は市場を特定し、競合に対する優位性を築くためのフレームワークです。3段階のステップを踏んで分析していきます。
ステップ |
分析内容(一例) |
Segmentation(セグメンテーション) |
市場を地理的変数、人口動態変数、心理的変数などの軸で細分化する |
Targeting(ターゲティング) |
セグメンテーションの結果を踏まえ、狙うべき市場を選ぶ |
Positioning(ポジショニング) |
ターゲット市場における自社の立ち位置を決める |
STP分析により、市場のセグメントごとの顧客特性とニーズを把握できるため、具体的なペルソナ設定がしやすくなります。
SNS分析・口コミ分析はツールの活用で精度向上を
今回の記事では、商品開発とマーケティングの違いや重要性、SNS分析と口コミ分析の活用法、具体的なフレームワークなどを解説しました。自社の新商品や新サービスを成功させるには、しっかりとしたマーケティング戦略を伴った商品開発が重要です。
その際、SNSの投稿や口コミを分析することで、ユーザーのリアルな声をマーケティングに反映させられます。
しかし、SNSや口コミは投稿の量が多く、信憑性にもばらつきがありません。
ともすれば、情報収集に工数がかかり過ぎたり、分析結果の精度が低下したりしかねません。
そのようなときは、分析ツールを使ってみてはいかがでしょうか。
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