SNSマーケコラム

商品開発の流れややり方は? 活用できるフレームワークも解説

商品開発の流れややり方は? 活用できるフレームワークも解説
企業が商品やサービスを提供する場合、顧客がどのようなニーズを抱えているかの調査が重要です。
しかし顧客ニーズは多様化している傾向にあるため、従来よりも入念な調査が求められます。
商品開発に当たっての顧客ニーズや市場の調査では、フレームワークやツールの活用が効果的です。

本記事では商品開発の概要や活用できるフレームワーク、具体的な流れなどを解説します。

商品開発には3種類ある

商品開発は大きく次の3つに分類されます。
  •  新商品開発
  •  既存商品改良
  •  ラインナップの拡充

それぞれでポイントが異なるので、事前に把握しておきましょう。

新商品開発

一般的に、商品開発と耳にしたときに多くの方がイメージするのは「新商品開発」でしょう。
新商品の開発では既存商品のイメージから切り離してコンセプトを打ち立てていきます。
コンセプトを打ち立てるためには、顧客がどのようなニーズを持っているか、業界にどのようなトレンドがあるのかを分析しておくことがポイントです。

既存商品改良

既存商品の改良では顧客の反応や販売データなどに応じて、商品を開発します。
そのため小規模な改良もあれば、大幅な改良を施すケースもあるでしょう。
いずれのパターンであっても既存商品のイメージやコンセプトなどを考慮しつつも、売上の向上を目指す必要があります。

ラインナップの拡充

ラインナップの拡充も商品開発の一つです。
既存商品のカラーバリエーションやデザインなどを増やすことで、売上の向上を目指します。

ラインナップを拡充する際も既存商品のイメージやコンセプトを維持しながら、商品開発を進めていきます。

商品開発と商品企画との違いは?

商品開発と似た言葉として挙げられるのが商品企画です。
どちらも新しい商品を生み出すためのステップですが、詳細は異なります。

商品企画は、商品イメージを構想し明確化していく工程を指します。
一方、商品開発は商品企画で生まれたアイデアやイメージを商品化する工程を指す言葉です。
そのため、商品開発の中には情報収集やプレゼンテーション、製造・販売スケジュールの調整なども含まれます。

商品開発の流れとやり方

商品開発は次のような流れで進めていくのが一般的です。
  1.  市場の調査
  2.  アイデア出しと企画書作成
  3.  採算の分析
  4.  販売計画の立案
  5.  試作品の開発
  6.  テストマーケティング
  7.  製品化
  8.  市場への投入

市場の調査

はじめに、その商品のターゲットとなる市場の調査を実施します。
市場を分析することで、どのような商品を顧客が求めているのか、競合他社がどれくらいのシェアを占めているのか、自社の強みは何かなどを把握できます。

市場調査の主な手法とメリット・デメリットは次の通りです。

手法

概要

メリット・デメリット

定量調査

アンケートなどを通じて数値化できる情報を調査する

  • ・調査結果を可視化できる
  • ・データ分析の知識やスキルが求められる

定性調査

グループインタビューなどを通じて数値化できない情報を調査する

  • ・潜在ニーズの発見につながる
  • ・結果がインタビュアーの力量に左右される

また定量調査と定性調査とでは、調査協力者にかかる負担も異なります。
前者はアンケートなどに回答するだけで済むため、調査協力者の負担が小さいです。
一方、後者はある程度の時間をとってインタビューに答えてもらう必要があるため、負担に感じる人もいるでしょう。


市場調査の結果を分析するフレームワーク

市場調査で収集した情報は、フレームワークを活用して分析しましょう。
具体的には以下のようなフレームワークがあります。

フレームワーク名

特徴

PEST分析

政治(Politics)・経済(Economy)・社会文化(Society)・技術(Technology)という4つの観点から総合的に分析する

3C分析

消費者(Customer)・競合他社(Competitor)・自社(Company)を比べて自社にどのような優位性、独自性があるかを分析する

STP分析

市場の細分化(Segmentation)・対象の絞り込み(Targeting)・自社の位置づけ(Positioning)という3つの観点から戦略の方向性を分析する



アイデア出しと企画書作成

次に市場の分析結果を基に、どのような商品にするのかのアイデアを出し、企画書作成を進めます。
アイデア出しは細かなターゲットやコンセプトを決定した上で進めていきましょう。
また商品の企画を考える際は、自社が得意とする分野や独自の技術を生かせるようにすることが大切です。
競合他社の商品と差別化が図れないと、思ったような成果が得られないかもしれません。

なお商品開発のアイデアを出すには、次のようなフレームワークの活用がおすすめです。
  •  6W2H
  •  ブレインライティング
  •  シナリオグラフ
  •  マンダラート

それぞれのフレームワークについて以下で説明します。


6W2H

6W2Hとは次のような8つの要素で構成されるフレームワークです。
アイデアを言語化・整理するために役立ちます。

構成される要素

概要

When(いつ)

製品やサービスの販売時期や情報解禁日など

Where(どこで)

製品やサービスを提供する場所や流通の経路

Who(誰が)

製品やサービスを提供する組織や部署もしくは担当者

Whom(誰に)

製品やサービスのターゲット

What(何を)

製品やサービスの内容やコンセプト

Why(なぜ)

製品やサービスを提供する目的やゴール

How(どのように)

製品やサービスをターゲットに認知、購入してもらうための手段

How much(いくらで)

製品やサービスの値段、プロジェクトにかかる経費



6W2Hに似たフレームワークとして5W1H(When、Where、Who、What、Why、How)が挙げられます。
5H1Hは6W2Hと異なり、WhomとHow muchが含まれません。
6W2Hを使った方が、商品開発に当たり重要なターゲットや費用を言語化できるため、より精緻なアイデアを出せるでしょう。


ブレインライティング

ブレインライティングは複数人が専用のシートに意見を書き出していくフレームワークです。
6人前後を目安に、テーマに沿って区切られたマスにリレー形式でアイデアを書き出していきます。

従来のアイデア出しの方法の場合、チームメンバーから意見を吸い上げようとしても、人によっては発言に抵抗感を抱く可能性があります。
このようなケースであっても、ブレインライティングであれば意見を表明しやすくなるでしょう。
また、個人が表明した意見がマスで区切られているため、整理しやすいという点も特徴です。


シナリオグラフ

シナリオグラフは以下の4要素をベースにストーリーを作り、アイデアを出すフレームワークです。
  •  Who(誰が)
  •  When(いつ)
  •  Where(どこで)
  •  What(何を)

例えば次のようなストーリーを作り、それに応じたサービスを考え出します。

4Wの要素

ストーリー

Who(誰が)

受験生が

When(いつ)

勉強中に

Where(どこで)

自宅で

What(何を)

リラックスする



シナリオグラフを用いることで、想定外のストーリーをスムーズに生み出せるため、豊かな発想につながります。
さらに、ターゲットがどのような行動をとるのかを具体的に考えられるのもメリットです。


マンダラート

マンダラートはマスにアイデアを書き出して、考えを整理したり広げたりするフレームワークです。
具体的には9つのマスの中央にテーマを設置し、周囲のマスに連想できる単語を記載していきます。
8つのマスを全て埋めるためには多様なアイデアを捻出する必要があるため、独創的な考えにつながる可能性があります。

採算の分析

商品やサービスのアイデア、コンセプトが固まったら、採算が取れるのかの分析をしましょう。
どれだけの売上が予想できるかや、原価・利益などを算出して、現実的に事業として展開できるかどうかを確認します。
例えば原価500円の商品を原価率40%で販売するとしたら、1,250円が販売価格になります。
しかし業界によって原価率の目安は異なるため、過去のデータなどを参考にしましょう。
また競合との差別化を価格で図るケースもあります。

採算は現実的、楽観的、悲観的という3つのパターンで分析します。
どのパターンでも目標達成が難しいと判断できた場合、市場調査からのやり直しが必要です。

販売計画の立案

商品開発後、どのようなチャネル(販売経路)で販売するのか、どのようなプロモーションを実施するのかといった販売計画も重要です。
商品を販売するチャネルはさまざまで、百貨店やスーパー、コンビニエンスストア、ECサイトなどが挙げられます。

またプロモーション方法もさまざまあるため、商品に合った方法を選択しましょう。
主なプロモーション方法とメリット、デメリットは次の通りです。

プロモーション方法

メリット

デメリット

新聞折り込みチラシ

主婦層や高齢者層に効果が期待できる

若年層へのアピールが弱い傾向にある

Web広告

ターゲットを絞ってアピールできる

専門的な知識が求められる

SNS

情報の拡散スピードが早い

炎上のリスクがある


試作品の開発

開発した商品の販売チャネルやプロモーション方法を決めたら、次に試作品の開発を進めていきましょう。
その際、デザイン等の仕様が厳密に定まっていないと、開発のスケジュールに支障が出てしまうため、試作品開発の段階で仕様を細かく定めておくことが大切です。
試作品を開発したら検証~改良を繰り返して、完成に近づけていきましょう。

テストマーケティング

テストマーケティングとは、商品やサービスを提供する前にエリアを限定して商品やサービスを提供する取り組みです。
テストマーケティングの方法には、オフラインとオンラインの2通りがあります。

テストマーケティングを実施することで、実際に商品やサービスを利用した顧客からフィードバックを得られます。
その一方で、競合他社に商品やサービスについて知られてしまうリスクは考慮しておかなければなりません。


オフラインでのテストマーケティング

オフラインでのテストマーケティングは次のような方法で行われます。

手法

概要

実店舗での限定販売

  • ・特定のエリアの店舗で限定的に販売する
  • ・高精度のデータを得られる

モニタリング調査

  • ・商品サンプルを提供する
  • ・有識者にサンプルを提供する場合、専門的な意見を得られる

会場調査

  • ・調査対象者を会場に集めて調査する
  • ・回答を掘り下げて質問できる

いずれの方法であっても、調査対象となる顧客のリアルな意見を得られます。


オンラインでのテストマーケティング

オンラインでのテストマーケティングの手法は次の通りです。

手法

概要

SNS

  • SNSに投稿した内容への「いいね」や「コメント」から調査する
  • ・短時間かつ低コストで実施できる

オンラインでのアンケート

  • ・オンラインでアンケートを実施する
  • ・調査対象者の居住地に関わらず実施できる

なおクラウドファンディングも、オンラインでのテストマーケティングとして扱われることがあります。
クラウドファンディングでは、商品の反響の大きさが調達金額という形で表れるため、開発した商品が市場に受け入れられるかどうかの判断に役立ちます。

製品化

テストマーケティングを終えたら、顧客から収集したフィードバックを商品へ反映させましょう。
デザインやパッケージなどを改良し、製品化につなげます。
また製品化に当たっては、安定供給が可能な生産体制の整備も欠かせません。

市場への投入

製品化を実現したら市場に商品を投入します。
商品開発は市場への商品投入で終わりではありません。
当初に想定していた目標を達成するために、売上やコスト管理の最適化、販促活動を進めていきましょう。

商品開発を進める際の注意点

商品開発を進める際は次のような点に注意しましょう。
  •  プロジェクトのビジョンを明確にして共有する
  •  社外のリソースやツールも活用する
  •  市場投下後も商品の動向をチェックする

プロジェクトのビジョンを明確にして共有する

商品開発のプロジェクトにはさまざまな部署が関わります。
そのため、プロジェクトのビジョンを明確にした上で関連部署に共有しましょう。

関係者全員に明確なビジョンを共有できていないと、プロジェクトを進める過程でブレが発生する恐れがあります。
フィードバックを受けて商品リニューアルをする際も、ビジョンが共有されていなければ商品開発の方向性そのものを見失いかねません。

社外のリソースやツールも活用する

商品開発を進めるには社内のリソースだけでなく、フリーランスのデザイナーやプランナーといった社外のリソースも活用しましょう。
自社のリソースだけで商品開発をしていては、着想の範囲が狭まってしまいます。
社外からの客観的な意見や多様なアイデアを取り入れることで、商品開発をスムーズに進めることが可能です。

また商品開発には、ツールの活用もおすすめです。
例えばワークフローを合理化できるツールやSNSに投稿されている顧客のニーズを把握するツールが、商品開発に活用できます。
特にSNSを通じて顧客ニーズを把握できるツールであれば、コストを抑えた市場分析が可能です。

市場投下後も商品の動向をチェックする

開発した商品は、市場投下後も動向のチェックが必要です。
市場で商品が販売されている間は、顧客や関連する部署から商品へのフィードバックが発生します。
フィードバック内容を把握して、必要に応じて商品のパッケージデザインや内容を改善していきましょう。
特に市場投入後の売上が芳しくない場合、パッケージデザインをリニューアルすることで、売上の引き上げが期待できます。

市場投入後の商品の動向をチェックする際は、あらかじめKPI(Key Performance Indicator)を設定しておくと良いでしょう。
KPIは「重要業績評価指標」と訳され、ゴールまでの達成状況を観測するための指標のことです。
KPIを設定することで、目標達成のためのルートが明確になります。

顧客のニーズを把握して商品開発につなげよう

商品開発とは新商品を開発するだけでなく、既存商品改良やラインナップの拡充も該当します。
商品を開発するには市場の調査や販売計画の立案、テストマーケティングなどの工程を経るのが一般的です。
いずれの工程も欠かせませんが、第一に顧客のニーズを把握しなければ、顧客から高い反響を得る商品は開発できません。
そのためPEST分析や3C分析、STP分析といったフレームワークを活用して顧客のニーズを把握しましょう。

顧客ニーズの把握には、SNSの分析もすることでより詳細にニーズを理解できます。
SNSの分析にはSNS分析ツール「Quid Monitor(旧NetBase)」「Quid Compete(旧Rival IQ)」の活用がおすすめです。
Quid Monitorでは、SNSや口コミなどのテキストデータから顧客の行動や考えを分析できます。
またQuid Competeでは、競合他社と自社のSNSを簡単に比較分析することが可能です。
顧客のニーズに沿った商品開発をしたい方はぜひお気軽にご相談ください。

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本記事の監修者

プロダクト本部 副本部長 山本 豊

山本 豊 プロダクト本部 副本部長

リクルートでキャリアを開始し、マクロミルに入社。マクロミルにて、リサーチ・データ事業の拡大に従事。その後、コロプラにて、リサーチ・データ関連の新規事業の立案・推進。複数のIT企業にてデータ関連事業に関わった後、2021年7月より現職。生成AIアプリ開発ツール「Dify」、ソーシャルリスニングツール「QUID」の拡大に従事。

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