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レピュテーションリスクとは?生じる原因や企業への影響・具体例・対策など詳しく解説

レピュテーションリスクとは?生じる原因や企業への影響・具体例・対策など詳しく解説

日本語で「評判」や「評価」といった意味を持つレピュテーション。インターネットの普及により誰もが気軽に情報を発信できるようになったことで、さまざまな評判・評価が公開されるようになっています。

高評価が拡散される場合もあれば、低評価や悪評が拡散されるケースも珍しくありません。レピュテーションリスクとは、企業に対する低評価、悪評が拡散されることによって生まれるリスクを表すものです。

本記事では、レピュテーションリスクが生じる原因や影響、顕在化してしまった際の対処方法などについてお伝えします。企業のマーケティング担当者やリスクマネジメント担当者の方はぜひ参考にしてください。

目次

レピュテーションリスクとは

レピュテーションリスクに対応するには、レピュテーションリスクの意味はもちろん、なぜ重視すべきなのかの理解も欠かせません。ここでは、言葉の意味、重視されている背景に加え、オペレーショナルリスクやブランドなど近い意味を持つ言葉との違いについて解説します。

レピュテーションリスクの意味

レピュテーションリスクは、主に企業が顧客や消費者からの評判、評価などが下がってしまうことで生じるリスクを表します。

レピュテーション自体は、評価や評判、信用といった意味のため、決して悪い言葉ではありません。たとえば、良い評判、高評価というのもレピュテーションに含まれます。

しかし、レピュテーションにリスクがつくと、悪評や低評価によって企業価値が下がってしまう、信用を失ってしまう危険性といった意味になるのが一般的です。

レピュテーションリスクが重視される背景

企業としてレピュテーションリスクを重視しなくてはならない背景としてインターネットの普及、とりわけSNSや口コミサイトの普及が挙げられます。

SNSや口コミサイトの利用者が増加し、個人が気軽に発言できることが可能になった結果、企業に対する肯定的な評判が拡散されるケースだけでなく、否定的な意見や悪評が拡散されるケースも増加しています。

インターネット上に拡散されてしまった情報を完全に消去することは困難なため、放置していれば経営的にも大きな損失につながる可能性があります。

経営に与える影響を最小限に抑えるためにもレピュテーションリスクに対して、できるだけ早い段階で対応することが求められているのです。

レピュテーションリスクの種類

ひと口にレピュテーションリスクといってもその種類は多様です。具体的には次のような種類があります。

1. 業績悪化、業界全体の低迷
自社が属する業界全体の業績が悪化していると、仮に自社の業績が好調であっても業界が低迷していると自社も業績が悪いのではと勘違いされ、株主が離れてしまう状態です。

2. 内部告発による不祥事発覚
上司のパワハラやセクハラから、横領、損失隠しなど企業の社会的信用を失墜させてしまう不祥事が内部告発によって発覚するケースです。

3. 過剰な期待への幻滅
企業が発信する情報や価値と実際の成果に剥離があると消費者は期待を持った分、幻滅も大きくなり、それがレピュテーションリスクに発展します。

4. 退職した社員による誹謗中傷
不当に解雇された、待遇が悪かったなど勝手な思い込みから、逆恨みで退職後にSNSや就活サイトなどに誹謗中傷を書き込み、それが拡散されてしまう状態です。


5. 事実無根の噂、風評被害への対応
悪意を持った消費者からの事実無根の噂や風評被害が出るケースは稀に発生します。ただ、その際に迅速かつ適切な対応をしないと、リスク管理ができていないということでレピュテーションリスクにつながる可能性もあるでしょう。

オペレーショナルリスクやブランドとの違い

レピュテーションリスクと似た概念を持つオペレーショナルリスクや、レピュテーションと混同されやすいブランドの概念について解説します。

オペレーショナルリスクとは、企業の通常業務(オペレーション)に関するリスク全般を指します。レピュテーションリスクはオペレーショナルリスクの中に含まれるため、両者に違いがあるというわけではありません。

なお、オペレーショナルリスクの具体例としては次のようなものが挙げられます。

【オペレーショナルリスクの例】

● 経営判断のミス
市場動向を読み誤る、競合に先を奪われてしまうなど経営判断ミスによるリスク

● 業務システムのトラブル・不具合
業務で扱うシステムのトラブルや不具合により業務が滞ってしまうリスク

● 職場でのトラブル
職場内でのトラブルや取引先や関連企業とのトラブルなど、主に人間関係のもつれによるリスク

● 社員の不祥事
社員による違法行為や刑事事件によるリスク

● 災害やサイバー攻撃による損害
台風や地震などの自然災害やサイバー攻撃被害などで損害が生じるリスク

また、レピュテーションと混同されやすい用語として「ブランド」があります。ブランドは企業側から消費者にその価値を伝えるメッセージを届け、メッセージを受けた消費者からの信頼を得て確立していくものです。

これに対してレピュテーションは、消費者側からどう思われているのかの評価であり、基本的に企業側がコントロールできるものではありません。

したがって、どんなにブランド戦略に力を入れていてもレピュテーションリスクを避けられるわけではないことに注意が必要です。

レピュテーションリスクが企業に及ぼす影響とは

レピュテーションリスクが顕在化した際、企業にはさまざまな影響が及ぼされます。まず、社会的信用の失墜により、ステークホルダーや消費者の離散が起こり、売上低下や株価下落といった可能性が高まるでしょう。

そして株価低迷の状況が長期化すれば資金調達も難しくなり、従来の営業活動はもちろん新商品の開発や設備の増強もできず、企業が傾いてしまうリスクにつながります。

一旦、失った信用を回復するには多大な時間とコストを要し、回復できない状態が続けば、新たな雇用もできずにさらに売上低下といった悪循環に陥ってしまうでしょう。

レピュテーションリスクが生じる主な原因

レピュテーションリスクが生じる理由はさまざまですが、なかでも主な原因として挙げられる内容について解説します。

根拠のない噂や風評被害

SNSや口コミサイトの普及もあり、根拠のない噂や風評被害によって企業の評価が下がってしまうケースは少なくありません。拡散力が高いSNSで風評被害が流れてしまうと、一瞬にして全国に広まってしまうケースも考えられます。

また、根拠のない噂や風評被害の出どころは顧客や消費者だけではありません。退職した社員や自社に入社しようとした人などから拡散されるケースもあります。

根拠のない噂や風評被害から自社を守るには、従業員に対してクリーンな経営を行い、顧客に対して適切なサービスを提供し顧客満足度を向上させることが重要です。

不祥事やコンプライアンス違反

不祥事やコンプライアンス違反もレピュテーションリスクの原因です。具体的には社員による顧客情報の漏えい、セクハラやパワハラなどのほか、民事・刑事裁判になるような法律違反などが挙げられます。

また、一般社員以外に社長や役員など経営陣による不祥事も珍しくありません。法令に違反した不適切な経営により監督官庁から行政処分や行政指導を受ければ、それまで培ってきた企業イメージや信用は一気に失墜してしまうでしょう。

同業他社の業績悪化による憶測

自社にまったく落ち度がない場合でもレピュテーションリスクが生じてしまう場合があります。それは、同業他社の業績悪化です。自社の経営は問題なく順調であっても同業他社の業績が悪化していると、その業種が一括りで危険な状態であるといった憶測が生まれ、評価が落ちる可能性があります。

そうしたネガティブな世間の憶測も拡散されていくうちに市場の空気も反応し始め、本当に経営が傾いてしまうケースも少なくありません。

同業他社が業績悪化しているといったニュースがあった際には迅速に積極的な情報発信を行い、ネガティブな空気が蔓延してしまわないようにすることが重要です。

内部告発による企業価値の低下

レピュテーションリスクの発生は、外部や元従業員から起こるほか、既存の従業員から内部告発によって発生するケースも珍しくありません。

法令違反やコンプライアンス違反が頻発しているにも関わらず、隠微体質によって外部に漏れることがない状態が続くと、見るに見かねた従業員が告発することで発覚します。

内部告発は根拠のない噂や憶測とは異なり内部にいる従業員によるもののため、事実である可能性が高く、企業価値が大幅に低下してしまうケースがほとんどです。

また、従業員自らが告発したということで周囲から企業に向けられる視線は厳しく、信頼を回復することが難しくなります。

商品やサービスの質の低下

商品やサービスの質が低下するのもレピュテーションリスクが生じる原因の一つです。インターネットが普及する前では、仮に品質低下が起きたとしてもすぐに広がっていくことはありませんでした。

しかし、インターネットが普及し、多くの人が日常的にSNSを利用するようになった今、商品やサービスの質低下は一瞬にして全国に拡散されます。

商品やサービスの質低下が起こる要因はさまざまですが、たとえばベテラン技術者の退職による技術力の低下、人材不足による長時間労働慢性化が引き起こす疲弊などです。また、上司のパワハラがひどくミスが起きてもかくしてしまうといった職場環境でも品質低下は起きやすくなるでしょう。

そのため、人材獲得の工夫や労働環境の改善がなされない限り、レピュテーションリスクが起きる確率を下げるのは困難であるといえます。

レピュテーションリスクが生じることによる悪影響

レピュテーションリスクが生じてしまうとさまざまな悪影響が考えられますが、なかでも大きな問題になり得るケースを紹介します。

失った信頼を取り戻すための時間やコストがかかる

企業が対外的に信頼を得るには、さまざまな企業努力を継続していく必要があります。しかし、信頼を失うのはほんの一瞬です。レピュテーションリスクが生じて信頼を失ってしまえば、回復するには相当な時間とコストがかかります。

また、レピュテーションリスクが生じれば、企業価値や収益の損失、業務停止命令や免許停止など行政手続きによる損失も多大です。そのため、信頼を回復すると同時に損失の回復にも多くの時間とコストをかけなければなりません。

人手不足に陥る可能性がある

レピュテーションリスクが生じてから長期間回復ができない場合、人手不足に陥りさらに業績が悪化してしまう可能性が高まります。これから就職や転職をしようと考える人はインターネットを使ってさまざまな情報を入手するため、自社の悪評も目にすることになるでしょう。それが事実かどうかに関わらずネガティブな評判がある企業に入りたいと思う人は多くありません。

また、レピュテーションリスクによって既存社員が退職してしまうリスクも高まります。悪評が高まっている期間が長引けば業績が悪化し、場合によっては給与が下がってしまう場合もあるでしょう。そうなれば優秀な社員から抜けていき、深刻な人手不足に陥る可能性が考えられます。

売り上げの低下や株価の下落につながる

上述したようにレピュテーションリスクが生じて回復できない期間が長くなると、業績にも悪影響が及びます。最悪の場合、顧客が離れていくだけでなく取引先も企業から離れてしまい、売り上げの低下や株価の下落にもつながってしまうでしょう。

その結果、商品やサービスの提供が十分にできなくなってしまい、企業の存続自体も危ぶまれてしまう状況になってしまうかもしれません。

レピュテーションリスクの事例

レピュテーションリスクの理解をさらに深めるために主なレピュテーションリスクの例を3つ紹介します。

個人情報の漏えいによる具体例

個人情報の漏えいは、それが故意ではなく過失であっても顧客や取引先からの信用を失い、レピュテーションリスクが生じる可能性の高い例といえるでしょう。

昨今、個人情報漏えいのニュースを頻繁に耳にしますが、多くはその結果、社会から徹底的に糾弾され企業としての信用が失墜しています。個人情報の漏えいは以前にも増して批判の対象になるケースが多く、法律も年々厳しくなっているのが現状です。

万が一、社員が故意に情報を漏えいさせた場合、個人情報保護法により、漏えいさせた本人だけではなく、企業も罰則を受ける可能性があります。

社員の不適切な行為による具体例

故意の個人情報漏えい以外にも社員の不適切な行為は多々存在します。たとえば、一時期バイトテロと称してメディアで何度も紹介された、売り場での悪ふざけやいたずらを撮影した動画・画像をSNSにアップする行為です。

多くの場合、軽い悪ふざけ程度のつもりであっても悪ふざけではとおりません。SNSや動画共有サイトなどで一気に拡散され、多くのユーザーから避難を受け炎上騒ぎに発展したケースがいくつもあります。

社員やアルバイトの不適切行為は社会問題につながることが多いため、しっかりとした指導や管理が必要です。

企業の不祥事による具体例

食材の産地偽装、売れ残った商品の賞味期限偽装のほか、自動車や家電メーカーによる大規模なリコール隠しなど企業による不祥事もレピュテーションリスクの例の一つです。

これらの不祥事は企業の一部である場合もあれば組織的に隠ぺいされ問題となったケースも多く見られ、内部告発によって発覚するケースが増えています。組織的な隠ぺいの場合は、経営幹部に重い処罰が下されるケースもあるため、企業全体で意識改革の徹底が必要です。

内部告発による事例

実際に内部告発によってレピュテーションリスクが生じた事例としては、ある食品加工業者の食肉偽装が挙げられます。この食品加工業者では、長年に渡り食肉偽装が行われていました。

発端は、豚肉を使ったコロッケを「牛肉コロッケ」として販売していたことです。しかしその後、馬肉や鹿肉を使ったコロッケも「牛肉100%コロッケ」として販売していたことが明らかになったのです。さらに産地偽装、冷凍の食材を雨水で解凍していたなどさまざまな不正行為が内部告発によって明らかになりました。

さまざまな不祥事が起きた原因はトップダウンによるワンマン経営です。部下が意見を言えない社内風土が次々に不祥事を生み出し、最終的には内部告発につながってしまいました。

根拠のない風評被害による事例

根拠のない風評被害による事例としては、東日本大震災後の福島県産食品の買い控えが挙げられます。福島県は農業や畜産、水産加工業などが盛んで、多くの食品を出荷しています。

しかし、東日本大震災時の原子力発電所事故により、福島県の食品は放射能に汚染されているといった根拠のない噂が全国に拡散されたのです。そのため、事故発生から10年を過ぎた今でも放射能の汚染リスクを恐れて、買い控えをしている消費者は少なからず存在しています。

現在、福島県から出荷される食品は厳しい検査により安全基準を満たしているうえ、検査結果を積極的に公表していますが、それでも一部では理解が進んでいません。

商品・サービスの品質低下の事例

商品やサービスの品質低下によるレピュテーションリスクの多くは、SNSやECサイトへの書き込みによって拡散されます。

たとえば、ECサイトで「何回も使ってないのにすぐに壊れた」「商品を発送しましたと連絡があったのに何日経っても届かない」などとSNSに書き込まれたり、飲食店で「不味かった」「店員の態度が悪かった」などと飲食店のレビューサイトにネガティブな投稿を書き込まれたりすることです。

これらの書き込みを見つけた場合、迅速な対応が必要になります。まずやるべきは事実関係の確認です。事実であればすぐに謝罪したうえで改善策を実行し、事実でない場合は該当のWebサイトに連絡をして削除要請を行います。

レピュテーションリスクを回避するための対策

企業にとって大きな損失を生み出してしまうレピュテーションリスクを生じないためには何をすべきなのでしょう。ここでは、主なポイントを4つ解説します。

コンプライアンス研修など社員教育を徹底する

レピュテーションリスクが生じる原因の一つは、社員のリスクに対する意識の低さです。不祥事を起こせば自身はもちろん、企業がどうなってしまうのかに対する想像力がないとリスク低減は難しいでしょう。

また、何をしたらコンプライアンス違反になるのかを理解していないケースも珍しくありません。そこで、レピュテーションリスクを生じないようにするには、社員に研修でコンプライアンスを学び、不正によるリスクや企業規則についての理解を深めてもらうことが重要です。

「不正のトライアングル」を研修カリキュラムに取り入れることも良いでしょう。不正行為の発生は、上司が見ていない、気づかれていないといった「機会」。ミスをしない自分でいたい、仕事ができると思われたいといった「動機」。そして、自社の損失を生ませない、売り上げの向上のためといった「正当化」の3つが揃った時に起こるといった理論です。

この3つの思考に陥らないためにどうするべきかを教育することで、不正を防ぐ基礎を学べるようになります。

社内におけるチェック体制を強化する

チェック体制が整備されていない職場では不祥事やミスが起りやすくなるため、チェック体制の強化はレピュテーションリスクをなくすために重要です。

チェック体制を強化するには、社内ルールの見直しと同時に業務における監視も欠かせません。具体的な方法として、経理の出金・入金業務は必ず二重チェックを行う、システムを導入して定期的に担当者を変えるなどが挙げられます。

業務に属人性ができてしまうと不祥事が起きる可能性が高まるため、定期的に人を入れ替え、風通しを良くすることが重要です。

また、違反者に対する制裁を社内全体で共有することで、抑止効果が働くようになります。策定したルールを有形無実化しないような対策も忘れてはなりません。

正しい情報発信を積極的に行う

自社が顧客や消費者、市場からどう評価されているかを確認し、根拠のない噂や悪評についてはしっかりと反論することが重要です。

間違った評価だとしても放置していればそれが正しい評価だといったイメージが世間についてしまう可能性も少なくありません。積極的に正しい情報を発信し、理解してもらえるようにする必要があります。

正しい情報発信を継続していくことが顧客からの信頼を得られるようになるでしょう。その結果、噂を発信している側に対して疑いの目を向けてくれるようになり、レピュテーションリスクも抑えられます。

自社に関する情報を継続的に監視する

インターネット上にある企業のマイナス情報が拡散されていることに気づかず放置しているとレピュテーションリスクが表面化してくる可能性が高まります。そのため、定期的に根拠のない情報や事実とは異なる情報が書き込まれていないかのチェックが必要です。

ただし、インターネット上の書き込みを定期的にチェックするには多大な手間を要するため、ツールを活用するのも一つの方法です。

企業コミュニケーションのマネジメントを徹底する

企業コミュニケーションのマネジメントとは、自社がステークホルダーや消費者からどのような評価を受けているのかを把握し、自ら積極的に情報を発信することです。

もし不当な評価であったり、間違った情報が拡散されていたりした場合は、毅然と反論します。また、そうした情報が拡散されないよう、日常的に正確な情報の発信をすることも重要です。自社が発信する情報が正しい情報であると信頼されるようになれば、万が一、風評被害や悪評が立った際でも評価が落ちるリスクを大幅に低減できます。

常日頃からステークホルダーや消費者とコミュニケーションを密に取り、自社が発信する情報が正しいと思ってもらえるようにすることでレピュテーションリスクの防止が可能です。

社内規程や業務マニュアルなどを整備する

多くの企業は自分たちがレピュテーションリスクに遭うことはないと思い込んでいるのではないでしょうか。しかし、SNSが日常的に利用されるようになった今、いつレピュテーションリスクが起きても決して不思議ではありません。そのため、平常時に何が起きても慌てず対応できる準備をしておくことが重要です。

具体的には、社内規定の改善や業務マニュアルの整備などが挙げられます。リスクマネジメントの観点からも実際にレピュテーションリスクが生じた際に何からやればよいか、その手順を明確にマニュアル化しておくことが必要です。

原因が事実であっても事実ではなくても、初動の対応により周囲の反応は大きく変わるため、最初の一手で何をすべきかを明確にしておきましょう。

違反者には制裁を与えることを言及する

内部要因によるレピュテーションリスクを防ぐ対策で必要なのは、社内規定に違反したものは制裁を与えることをしっかりとメッセージとして伝えることです。

社内規定を整備することは重要ですが、単純に整備しただけではレピュテーションリスク防止効果も限定的になってしまいます。残念ながら性善説だけでは不祥事を完全に防止するのは困難なため、制裁があることを社内に向けて発信しましょう。

具体的には、従業員の場合は懲戒処分、役員の場合は損害賠償請求や解任が妥当です。ただし、制裁の対象となった従業員や役員と法的な争いになるリスクもあるため、既定を策定する際は、必ず弁護士に相談することをおすすめします。

既にあるネガティブな評判を回復する

外部要因によるレピュテーションリスクを防ぐ対策で必要なのは、ネガティブな評判の早急な回復です。レピュテーションリスクが起きた原因となる書き込みがあったWebサイトを特定し、削除要請を行います。

また、場合によっては書き込みをしたものの氏名、連絡先などの個人情報を求める発信者情報開示請求も必要です。書き込みを行った本人と直接交渉し、削除してもらえるように依頼しましょう。

ただし、悪意のある書き込みや根拠のない風評被害に対しては、自社だけで対応するのは避けるべきです。警察や弁護士に相談をした方が無用なトラブルを抑えられ、スムーズに解決につながるでしょう。

リスニングツールを使用する

レピュテーションリスクを防ぐには、悪意のある書き込みや風評被害に素早く気付き、対処していく必要があります。人の目で一つひとつを確認するのは困難なため、ソーシャルリスニングツールの使用がおすすめです。ソーシャルリスニングツール「Quid Monitor(旧NetBase)」であれば、自社に対するネガティブな投稿が検知された場合にメールでアラート通知が送信されます。ポジティブ投稿の増加やネガティブ投稿〇件以上、指定したキーワードが1件でも投稿された場合などアラートを通知する条件を柔軟に設定できます。

ブログ、SNS、掲示板、口コミサイト、ニュースなど多様なメディアの監視ができるため、効率的かつリアルタイムでの対応が可能です。

悪質な投稿を見つけた場合は法的措置の必要もありますが、早い段階で見つけられた場合は、修正・削除要請で済む可能性も高まります。そうした意味でも「Quid Monitor(旧NetBase)」を活用すれば、その後の対応も最小限の手間でレピュテーションリスクを抑えられます。

レピュテーションリスクが顕著化した際の対処方法


さまざまな対策を講じてもレピュテーションリスクが顕著化してしまった場合は、迅速な対応が重要となりますが、具体的には次のような手順で進めていきます。

情報の真偽や原因を把握する

レピュテーションリスクが顕著化した際の対処法でまずやるべきことは、拡散されている情報の真偽や原因の把握です。

情報はいつ出たのか、本当なのか間違っているのかなどを整理し、そのうえで原因の把握を行います。ここで判断ミスをすればレピュテーションリスクはさらに拡大する可能性があるため、迅速かつ適切に情報の整理を行うことが重要です。

特にSNSや掲示板での情報は時間が経つに連れて見つけるのが困難になるため、迅速な確認が必要です。しかし手作業で行うのは簡単ではありません。そこでおすすめなのが前述した「Quid Monitor(旧NetBase)」です。過去にさかのぼって、SNS、掲示板、ブログの1投稿ごとのデータ分析ができ、情報発信源の特定も容易に行えます。

メディアによっても異なりますが、最大51ヵ月前までさかのぼって確認ができます。特にX(旧Twitter)では事前登録をせずに全量データの取得が可能です。

株主や取引先に対して説明する

レピュテーションリスクが収まらず長期化すると、株主や取引先にまで不安が広がり、株価の暴落や取引の打ち切りが起こってしまう可能性もあります。そのため、株主や取引先に対しては適時に対応状況の説明を行うことが重要です。

株主や取引先に対して対面による説明のほか、企業のWebサイトにIR資料を適時掲載・更新して不安解消に努めましょう。

再発防止策を公表する

たとえレピュテーションリスクが顕著化しても、真摯な対応・対処を継続的に行うことで社会からの信用を回復できる可能性は残されています。そこで重要となるのが再発防止策の公表です。

同じ原因による不祥事を二度と発生させないためにも再発防止策を講じると同時に、不祥事が発生した原因を明らかにして再発を防ぐための組織的な改善策を対外的に公表します。

再発防止策の検討を行う際は弁護士やその他の有識者などで構成された第三者委員会を設置することが望ましいでしょう。第三者委員会を設置することで組織の中立性や調査・検討の客観性を確保しやすいからです。また、専門家を活用した再発防止策を検討できることも理由の一つです。

根拠のない風評被害には法的措置を検討する

レピュテーションリスクが生じた原因が根拠のない風評被害であった場合、企業として法的措置の検討が必要です。毅然とした態度で加害者の法的責任を追及することにより、企業にとっての信頼回復につながります。

サイト管理者に対して投稿の削除を求め、発信者情報開示請求を通じて風評被害を起こした投稿者の特定をし損害賠償請求を行います。また、加害者との係争状況についての公表によって企業の正当性をアピールすることも一つの方法です。

レピュテーションリスクの分析・測定方法


自社のレピュテーションリスクがどの程度あるのかを分析・測定する主な方法としては、次の3つが挙げられます。

● 報道調査
インターネットのニュースサイトや新聞、雑誌、テレビなど多様なメディアでの自社の評価や噂を調査する方法です。雑誌やインターネットなどで「ブラック企業のランキング」「就職したい企業ランキング」などの特集を見るのも自社の評価を知るのにおすすめの方法といえます。比較的、大企業向きの調査方法です。

● アンケート調査
顧客のほか、自社の社員や株主、取引先などに対してアンケートを行う方法です。正確性を期すには実名でのアンケートが必要ですが、実名では本音を言いづらい場合もあるため、匿名性にした方が多くの回答を集められます。メディアに出るケースの少ない中小企業向けの調査方法です。

● SNS調査
自社名や製品名など特定のキーワードでSNS内の検索を行い調査する方法です。企業規模に関わらず消費者の忌憚ない意見を知ることができますが、日々の監視やモニタリングには作業工数がかかり現実的ではありません。そこで、データ網羅性の観点からも「Quid Monitor(旧NetBase)」を活用し、効率的に調査を進めることをおすすめします。

レピュテーションリスクの存在を認識し適切な対策が重要

インターネットが普及している現在、いつどこでどの企業にレピュテーションリスクが生じても不思議ではありません。また、特にSNSは拡散性が高く、一瞬にして悪評が広まってしまうため、迅速にリスクの存在を認識し、適切な対策の実施が求められます。

ただし、SNSの監視は手間がかかるうえ、フロー型ですぐに投稿が流れてしまうため、手作業では原因の特定が簡単ではありません。そこでおすすめしたいのがソーシャルリスニングツール「Quid Monitor(旧NetBase)」です。

自社に関するポジティブ投稿の増加だけでなく、ネガティブな投稿をされた場合や指定したキーワードが投稿された場合にはすぐにアラートで通知されるため、リアルタイムでの対策が可能です。多くの企業の広報担当の方に監視目的で利用されています。

レピュテーションリスクの予防に加えて万が一顕著化した場合、早急に対応するためにも「Quid Monitor(旧NetBase)」の活用をおすすめします。レピュテーションリスクへの対応を検討されている担当者の方はお気軽にお問合せください。

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本記事の監修者

プロダクト本部 副本部長 山本 豊

山本 豊 プロダクト本部 副本部長

リクルートでキャリアを開始し、マクロミルに入社。マクロミルにて、リサーチ・データ事業の拡大に従事。その後、コロプラにて、リサーチ・データ関連の新規事業の立案・推進。複数のIT企業にてデータ関連事業に関わった後、2021年7月より現職。生成AIアプリ開発ツール「Dify」、ソーシャルリスニングツール「QUID」の拡大に従事。

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