ショート動画の投稿ができるTikTokは、Facebook・X(旧Twitter)・Instagramと並んで人気の高いSNSです。
若い世代を中心に人気があり、拡散力が高いため、多くの企業が自社アカウントの運用を行っています。
TikTok運用にはどのようなメリットがあり、どういった活用が考えられるのでしょうか。
本記事ではTikTokの概要や特徴、TikTokを運用するメリット、活用方法、効果的な運用を行うコツや注意点などをご紹介します。
TikTok運用を検討中の方やこれから運用を開始する、または運用しているものの伸び悩んでいる部門担当者の方は、本記事を参考にしてTikTokを自社のビジネスに有効活用しましょう。
TikTok上で作成できる動画は最大60秒、アップロードできる動画は最大3分で、0.3〜3倍速と動画のスピードを調整することもできます(※)。
またアプリにはさまざまな特殊エフェクトが搭載されており、BGMも付けられるので、簡単にインパクトのある工夫を凝らした動画が作成可能です。
他のユーザーの動画と自分の動画を並べて投稿可能なデュエットや、他のユーザーの動画とのコラボ動画が作成できるリミックス、24時間で消えるTikTokストーリーズなどの機能があり、テキストベースのコンテンツを投稿することもできます。
※参考:TikTok.「カメラツール」.https://support.tiktok.com/ja/using-tiktok/creating-videos/camera-tools ,(参照2024-03-02).
その他の主なSNSの利用率は以下のようになっています(※)。
LINEやYouTubeに比べると利用率が低いように感じるかもしれませんが、TikTokの利用率は令和3年度よりも3.3%伸びており、今やFacebookに追いつく勢いです(※)。
※参考:総務省情報通信政策研究所.「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P72.https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf ,(2024-03-02).
確かに「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」の年齢別の利用率では、10代が圧倒的に多く66.4%、次いで20代が47.9%となっています(※)。
しかし50〜60代の男女のTikTokユーザー数も伸びており、現在も若年層が中心であるものの、幅広い世代に浸透し始めているといえるでしょう。
※参考:総務省情報通信政策研究所.「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P72.https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf ,(2024-03-02).
広義でのアルゴリズムは、問題や課題を解決するための手順や計算方法を意味しますが、TikTokなどのSNSではフィード上でコンテンツが表示される優先度を決めるためのルールや評価基準を指します。
TikTokは独自のアルゴリズムを採用しているとされますが、詳細は公開されていません。
ただし、以下の項目はTikTokのアルゴリズムに影響する要素と考えられています。
上記の要素を高めるためにユーザーが最後まで見たくなる動画、反応したくなる動画、多くの人にシェアしたくなる動画、繰り返し見たくなる中毒性のある動画などを作ることで、フィードに表示される回数が多くなります。
企業がTikTokを運用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
6つのメリットを見ていきましょう。
TikTokの「おすすめ」に表示される動画は、フォローしているユーザーのものだけではありません。
フォローしていなくても、ユーザーの好みにマッチするとAIが判断すれば、おすすめに表示される可能性があります。
そのため、まだフォロワー数が少ないアカウントでもターゲットユーザーに刺さる投稿をすれば、爆発的に拡散され、いわゆる「バズる」ケースも多いです。
他のSNSはフォロワー数が運用効果に影響しやすい傾向にありますが、TikTokならアカウント運用を始めたばかりでも拡散による認知拡大を目指せる可能性が十分にあります。
バズる動画を作るには、前述したアルゴリズムを考慮した動画を作り、多くの人の目に触れる動画を作らなければなりません。
他のSNSでも動画投稿は可能ですが、ユーザーに興味を持ってもらう動画を作るにはある程度の動画編集に関する知識や技術が必要になります。
その点、ショート動画に特化しているTikTokは搭載している編集機能が充実しており、知識や技術がなくても外部ツールやソフトを使うことなく、簡単に工夫を凝らした動画を作成できます。
これまで動画編集に関する知識や技術が十分になく、動画を使ったマーケティングが難しかった企業も、TikTokならスタートしやすいでしょう。
TikTokにも他のSNS同様広告が表示されますが、強制視聴ではなく、いつでもスキップできます。
強制視聴の場合、ユーザーは興味がない広告に対してネガティブな印象を抱きやすいですが、TikTokならその心配はありません。
また広告は一般投稿と同様にユーザーの好みに合わせて表示されます。
コンテンツとして楽しめる広告を出稿すれば、自社商品やサービスに興味を持つユーザーを効果的に獲得できるでしょう。
TikTok広告の一つである「TikTokハッシュタグチャレンジ」は、企業独自のハッシュタグを付けてインフルエンサーが投稿を行い、それを真似してユーザーが二次創作を行うものです。
ユーザーが楽しみながら参加できるため、注目を集めればUGC(ユーザー生成コンテンツ)がどんどん生まれていきます。
UGCが多い商品やサービスは共感を得やすいので、注目を集められるキャンペーンを実施できれば、認知度向上と同時に商品やサービスへの信頼度も高められるでしょう。
またUGCは自社でコンテンツを生成する必要がないため、費用対効果も高くなる可能性があります。
TikTokが行った調査によると、TikTok内で紹介された商品を購入したことがあると回答したZ世代ユーザーは35.8%(※1)、ミレニアル世代ユーザーで23.9%でした(※2)。
ジャンル別では、料理・飲食系で動画を見た後に店頭に商品を見に行ったユーザーが42.9%(※3)、実際に購入したユーザーは43.7%となっており、美容系では実際に購入したユーザーが36.1%となっています(※4)。
投稿が消費行動に影響しやすい傾向にあるので、刺さる動画を投稿できればユーザーの消費行動を効果的に促せるでしょう。
※参考1:TikTok for Business.「TikTokが情報収集のメインストリームへ 〜利用実態や意識を世代・属性別で大解剖!デジタルメディアインサイトレポート【Z世代編】〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/7989/ ,(2021-08-12).
※参考2:TikTok for Business.「TikTokから、「元気」と「情報」を求めるミレニアル世代 〜利用実態や意識を世代・属性別で大解剖!デジタルメディアインサイトレポート【ミレニアル世代編】〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/7284/ ,(2021-06-30).
※参考3:TikTok for Business.「「飲食」を楽しむTikTokユーザー、動画がリアルな行動を呼ぶ 〜TikTokユーザーの4割以上が「動画を見たあと、商品を買った」と回答〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/9398/ ,(2021-12-08).
※参考4:TikTok for Business.「新たな美容の情報源としてのTikTok 〜女性ユーザーの45%が「新しいブランドを知るきっかけとなる」と回答〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/8940/ ,(2021-10-28).
前述したとおり、総務省が行った令和4年度の調査によるとTikTokの利用率は28.4%で、前年に行われた同調査よりも伸びてきていますが、他のSNSと比べるとまだ利用率が高いとはいえません(※)。
TikTok運用を行っている企業も増えてきていますが、他のSNSと比べると参入している企業はまだ少ないです。
参入している企業が少ないということは、競合他社の参入も少ないと考えられますから、今のうちにTikTok運用を始めておけばアドバンテージを取れる可能性が十分にあります。
※参考:総務省情報通信政策研究所.「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P72.https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf ,(参照2024-03-02).
企業がTikTokを活用する3つの方法をご紹介します。
トレンドを押さえながらも、自社の雰囲気を伝える動画や、自社商品・サービスに関する動画を投稿し、ターゲットにアプローチします。
TikToKには個人アカウントとビジネスアカウントがあり、ビジネスアカウントではプロフィールに外部リンクを設置できたり、インサイト分析ができたりと、ビジネス向けの機能が搭載されています。
自社アカウント運用を行う場合は、ビジネスアカウントを選択するとよいでしょう。
以下では、自社アカウント運用の活用例を2つご紹介します。
自社アカウント運用は商品・サービス紹介に向いています。
前述したとおり、TikTokを見て商品やサービスを購入するユーザーは多いです。
商品やサービスの魅力を動画を使って効果的に発信できれば、購買行動につなげられます。
TikTok運用で、採用活動を行っている企業もあります。
キャッチーな動画を簡単に作成できるTikTokは、企業の雰囲気を伝えるのにも最適なツールです。
流行りの音楽に合わせた動画やダンスチャレンジ動画、スタイリッシュな動画など「こんな会社で働いてみたい」と思われるような投稿をすることで、ターゲットの興味を引くことができるでしょう。
例えば硬い印象のある企業なら、思わず笑ってしまうようなギャップがある動画を投稿することで、親しみを感じてもらえます。
採用に関連するハッシュタグを付けて投稿するのも一つの方法です。
TIkTok広告には、以下のようなものがあります。
このうち運用型広告は、少額からでも広告配信ができるため、運用を始めたばかりの企業や、予算がそれほど取れない企業にもおすすめの配信方法です。
認知向上や購買促進など、目的に合わせたキャンペーンを実施できます。
ターゲティングも細かく行えるので、自社商品やサービスに合わせた広告配信ができるでしょう。
インフルエンサーを使ったマーケティングは他のSNSでも積極的に行われている手法です。
拡散力が高いTikTokで、ターゲット層に支持されているインフルエンサーとタイアップすれば、一気に投稿が拡散される可能性もあります。
特にTikTok広告のチャレンジ広告は、インフルエンサーとの相性が良い配信方法です。
また通常の投稿でも、インフルエンサーが商品を使ったり食べたりしている動画を投稿することで、TikTokがきっかけで商品の売上が爆発的に伸びる「TikTok売れ」を生み出すこともできます。
企業の担当者が押さえておきたいTikTok運用の8つのコツをご紹介します。
目的や目標によって、行うべき施策は変わってきます。
目的や目標が明確でなければ軸がブレてしまい、「ただ投稿を続けるだけ」という状況に陥りやすいです。
目標の達成度合いを見るために、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)も決めておきましょう。
またターゲットを明確にし、そのターゲットの趣味嗜好を把握することで、その層に刺さる投稿ができるようになります。
どのSNS運用でもトレンドを意識することは重要ですが、TikTokは特に流行が移り変わるスピードが早いです。
投稿の内容を検討することも大切ですが、練りに練っていると投稿する頃には、そのトレンドが過ぎ去っている可能性もあります。
リアルタイムでトレンドを把握し、それに沿った動画作成を行いましょう。
特に使用するエフェクトや楽曲でトレンドを意識すれば、多くの人に見てもらえる可能性が高くなります。
TikTokを含め、どのSNSにもアクティブユーザーが多い時間帯があります。
できるだけ多くの人に閲覧してもらうためには、アクティブユーザーが多い時間帯を把握し、常に同じ時間帯に投稿するのがおすすめです。
アクティブユーザーが多い時間帯はアカウントのターゲットによって異なるので、分析を行って自社アカウントのアクティブユーザーが多い時間を把握しましょう。
また時間帯と併せて、インプレッション率やエンゲージメント数が高い曜日を狙って投稿することも大切です。
TikTokではギャップがある動画がバズりやすい傾向にあります。
メイクのビフォーアフターや真面目そうな印象の人がおもしろダンスを踊っている動画など、ユーザーが仕組みを知りたくなる動画や驚くような動画は、「続きが見たい」「もう一度見たい」という気持ちを引き出しやすいです。
その動画が話題になれば、どんどんシェアされて拡散する可能性もあります。
一般的に以下のようなジャンルは、バズりやすい傾向にあるとされています。
他の投稿と被らないようなジャンルで投稿するのも一つの方法ですが、そういったジャンルはなかなか閲覧までたどり着かない可能性も高いです。
まずはバズりやすいジャンルで動画を作成し、そこからアカウントに興味を持ってもらえるようになったら、他とは被らない動画に挑戦するとよいでしょう。
バズっているアカウントを分析してみると、どのような傾向の動画がバズっているのかが見えてきます。
競合他社がバズっている場合は、他社アカウントを分析した上で、差別化を図れるバズりやすいジャンルを考えてみるのも効果的です。
ユーザーのコメントに返信したり、返信動画を投稿したりすれば、それをきっかけにフォロワーになってもらえる可能性も高いです。
またすでにフォロワーの場合も、コミュニケーションを取ることで自社アカウントのファンになってもらえる可能性があります。
ユーザーがくれるいいねやコメントなどの反応は、アルゴリズムにも大きく影響します。
またフォロワーになってもらえれば、リピート再生数や同アカウントの動画視聴数が上がる可能性も高いです。
TikTokには他のSNSと連動させる機能が搭載されています。
他のSNSを経由して流入するユーザーを増やせれば、動画の再生回数やフォロワー数が増える可能性があります。
また他のSNSから流入したユーザーが、TikTokで見た動画を他のSNSで拡散してくれる可能性も高いです。
PDCAはPlan(計画)・Do(実行)・Check(測定)・Action(改善)の頭文字を取ったフレームワークです。
PDCAを回すことで投稿の問題点や課題を洗い出し、改善して投稿を行えるので、より効果的な運用が目指せます。
PDCAを回すためには投稿に関するデータが必要です。
TikTokのビジネスアカウントが使える「分析データ」や「インサイト分析」を活用すればある程度のデータが取得できますが、より詳細なデータを取得したい場合は、外部の分析ツールを活用するとよいでしょう。
外部の分析ツールの中には、他社アカウントの分析ができるものもあります。
最後に、企業がTikTok運用を行う上で押さえておきたい注意点をご紹介します。
ガイドラインに違反してしまうと警告を受けることになり、それを放置したり違反を繰り返したりすると、最終的には自分のアカウントや端末、回線などからTikTokを利用できなくなってしまいます。
ガイドラインを把握し、どのような行為が違反行為に当たるのかを理解しておきましょう。
ガイドラインはアップデートが行われるため、定期的にチェックすることをおすすめします。
※参考:TikTok.「コミュニティガイドライン」.https://www.tiktok.com/community-guidelines/ja-jp/ ,(2024-03-02).
前述したとおり、トレンドに合わせた楽曲を使用すると多くの人に見えもらえる可能性がありますが、著作権者やJASRACから許可を得ずに楽曲を使用すると無断使用に該当するため、著作権侵害になってしまいます。
ビジネスアカウントが使用できる「TikTok商用音楽」から楽曲を選べば著作権侵害の心配はありませんが、その他の曲を使用する際は注意しましょう。
炎上を避けるためには、投稿する前に複数人でチェックするなど運用ルールを明確に定め、マニュアルを作成して周知徹底させることが大切です。
個人情報の取り扱い、ユーザーとのコミュニケーションの取り方なども、細かく決めておくことをおすすめします。
またSNSには一般ユーザーが投稿した内容がきっかけで自社アカウントが炎上してしまうリスクもあるため、自社内で炎上対策を徹底していても防ぎきれないこともあるかもしれません。
万が一炎上した際にどのように対応するかも、事前に決めておく必要があるでしょう。
若年層以外のユーザーも増えつつあるTikTokはまだ参入企業が少ないこともあり、これからのマーケティング施策で狙い目のSNSです。
本記事を参考にして効果的なTikTok運用を行い、自社のビジネスのさらなる発展に活かしましょう。
TikTokの運用効果を高めるためにはデータを分析し、PDCAを回すことが大切です。
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若い世代を中心に人気があり、拡散力が高いため、多くの企業が自社アカウントの運用を行っています。
TikTok運用にはどのようなメリットがあり、どういった活用が考えられるのでしょうか。
本記事ではTikTokの概要や特徴、TikTokを運用するメリット、活用方法、効果的な運用を行うコツや注意点などをご紹介します。
TikTok運用を検討中の方やこれから運用を開始する、または運用しているものの伸び悩んでいる部門担当者の方は、本記事を参考にしてTikTokを自社のビジネスに有効活用しましょう。
目次
TikTokとは?
TikTokはショート動画を作成・投稿できるSNSです。TikTok上で作成できる動画は最大60秒、アップロードできる動画は最大3分で、0.3〜3倍速と動画のスピードを調整することもできます(※)。
またアプリにはさまざまな特殊エフェクトが搭載されており、BGMも付けられるので、簡単にインパクトのある工夫を凝らした動画が作成可能です。
他のユーザーの動画と自分の動画を並べて投稿可能なデュエットや、他のユーザーの動画とのコラボ動画が作成できるリミックス、24時間で消えるTikTokストーリーズなどの機能があり、テキストベースのコンテンツを投稿することもできます。
※参考:TikTok.「カメラツール」.https://support.tiktok.com/ja/using-tiktok/creating-videos/camera-tools ,(参照2024-03-02).
国内の利用率は28.4%
総務省が示した「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」によると、日本国内におけるTikTokの利用率は28.4%です。その他の主なSNSの利用率は以下のようになっています(※)。
- LINE:94.0%
- X(旧Twitter):45.3%
- Instagram:50.1%
- Facebook:29.9%
- YouTube:87.1%
LINEやYouTubeに比べると利用率が低いように感じるかもしれませんが、TikTokの利用率は令和3年度よりも3.3%伸びており、今やFacebookに追いつく勢いです(※)。
※参考:総務省情報通信政策研究所.「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P72.https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf ,(2024-03-02).
ユーザーの平均年齢は35.6歳
TikTokは10〜20代をターゲットとしたSNSという印象を持っている方もいるかもしれません。確かに「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書」の年齢別の利用率では、10代が圧倒的に多く66.4%、次いで20代が47.9%となっています(※)。
しかし50〜60代の男女のTikTokユーザー数も伸びており、現在も若年層が中心であるものの、幅広い世代に浸透し始めているといえるでしょう。
※参考:総務省情報通信政策研究所.「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P72.https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf ,(2024-03-02).
TikTokのアルゴリズム
効果的なTikTok運用を行うために、TikTokのアルゴリズムについても理解しておきましょう。広義でのアルゴリズムは、問題や課題を解決するための手順や計算方法を意味しますが、TikTokなどのSNSではフィード上でコンテンツが表示される優先度を決めるためのルールや評価基準を指します。
TikTokは独自のアルゴリズムを採用しているとされますが、詳細は公開されていません。
ただし、以下の項目はTikTokのアルゴリズムに影響する要素と考えられています。
- 視聴完了率:動画が最後まで視聴された割合
- 視聴時間:動画が再生された時間
- エンゲージメント:いいね・コメントなど投稿に対する反応
- シェア率:他のSNSにシェアされた割合
- リピート再生数:繰り返し動画が再生された回数
- 同アカウントの動画視聴数:同アカウントの他の動画を含めた視聴回数
上記の要素を高めるためにユーザーが最後まで見たくなる動画、反応したくなる動画、多くの人にシェアしたくなる動画、繰り返し見たくなる中毒性のある動画などを作ることで、フィードに表示される回数が多くなります。
企業がTikTokを運用するメリット
近年多くの企業がTikTok運用を行い、ビジネス拡大につなげています。企業がTikTokを運用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
6つのメリットを見ていきましょう。
1. フォロワーが少なくても拡散される可能性がある
フォロワーが少なくても投稿が広く拡散される可能性が十分にあることはTikTokのメリットです。TikTokの「おすすめ」に表示される動画は、フォローしているユーザーのものだけではありません。
フォローしていなくても、ユーザーの好みにマッチするとAIが判断すれば、おすすめに表示される可能性があります。
そのため、まだフォロワー数が少ないアカウントでもターゲットユーザーに刺さる投稿をすれば、爆発的に拡散され、いわゆる「バズる」ケースも多いです。
他のSNSはフォロワー数が運用効果に影響しやすい傾向にありますが、TikTokならアカウント運用を始めたばかりでも拡散による認知拡大を目指せる可能性が十分にあります。
バズる動画を作るには、前述したアルゴリズムを考慮した動画を作り、多くの人の目に触れる動画を作らなければなりません。
2. 知識や技術がなくても簡単に動画編集ができる
知識や技術がなくても、簡単に動画編集ができることもTikTok運用のメリットです。他のSNSでも動画投稿は可能ですが、ユーザーに興味を持ってもらう動画を作るにはある程度の動画編集に関する知識や技術が必要になります。
その点、ショート動画に特化しているTikTokは搭載している編集機能が充実しており、知識や技術がなくても外部ツールやソフトを使うことなく、簡単に工夫を凝らした動画を作成できます。
これまで動画編集に関する知識や技術が十分になく、動画を使ったマーケティングが難しかった企業も、TikTokならスタートしやすいでしょう。
3. 広告の強制視聴がないので受け入れられやすい
広告の強制視聴がなく、ユーザーに受け入れられやすいこともTikTok運用のメリットです。TikTokにも他のSNS同様広告が表示されますが、強制視聴ではなく、いつでもスキップできます。
強制視聴の場合、ユーザーは興味がない広告に対してネガティブな印象を抱きやすいですが、TikTokならその心配はありません。
また広告は一般投稿と同様にユーザーの好みに合わせて表示されます。
コンテンツとして楽しめる広告を出稿すれば、自社商品やサービスに興味を持つユーザーを効果的に獲得できるでしょう。
4. ユーザーを巻き込んだプロモーションができる
TikTokのユーザー参加型のキャンペーンを活用すれば、ユーザーを巻き込んだプロモーションができます。TikTok広告の一つである「TikTokハッシュタグチャレンジ」は、企業独自のハッシュタグを付けてインフルエンサーが投稿を行い、それを真似してユーザーが二次創作を行うものです。
ユーザーが楽しみながら参加できるため、注目を集めればUGC(ユーザー生成コンテンツ)がどんどん生まれていきます。
UGCが多い商品やサービスは共感を得やすいので、注目を集められるキャンペーンを実施できれば、認知度向上と同時に商品やサービスへの信頼度も高められるでしょう。
またUGCは自社でコンテンツを生成する必要がないため、費用対効果も高くなる可能性があります。
5. ユーザーの消費行動を促しやすい
ユーザーの消費行動を促しやすいことも、TikTok運用を行うメリットの一つです。TikTokが行った調査によると、TikTok内で紹介された商品を購入したことがあると回答したZ世代ユーザーは35.8%(※1)、ミレニアル世代ユーザーで23.9%でした(※2)。
ジャンル別では、料理・飲食系で動画を見た後に店頭に商品を見に行ったユーザーが42.9%(※3)、実際に購入したユーザーは43.7%となっており、美容系では実際に購入したユーザーが36.1%となっています(※4)。
投稿が消費行動に影響しやすい傾向にあるので、刺さる動画を投稿できればユーザーの消費行動を効果的に促せるでしょう。
※参考1:TikTok for Business.「TikTokが情報収集のメインストリームへ 〜利用実態や意識を世代・属性別で大解剖!デジタルメディアインサイトレポート【Z世代編】〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/7989/ ,(2021-08-12).
※参考2:TikTok for Business.「TikTokから、「元気」と「情報」を求めるミレニアル世代 〜利用実態や意識を世代・属性別で大解剖!デジタルメディアインサイトレポート【ミレニアル世代編】〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/7284/ ,(2021-06-30).
※参考3:TikTok for Business.「「飲食」を楽しむTikTokユーザー、動画がリアルな行動を呼ぶ 〜TikTokユーザーの4割以上が「動画を見たあと、商品を買った」と回答〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/9398/ ,(2021-12-08).
※参考4:TikTok for Business.「新たな美容の情報源としてのTikTok 〜女性ユーザーの45%が「新しいブランドを知るきっかけとなる」と回答〜」.https://tiktok-for-business.co.jp/archives/8940/ ,(2021-10-28).
6. 他のSNSと比べて競合他社の参入が少ない
他のSNSと比べて、競合他社の参入が少ないこともTikTok運用を行うメリットの一つでしょう。前述したとおり、総務省が行った令和4年度の調査によるとTikTokの利用率は28.4%で、前年に行われた同調査よりも伸びてきていますが、他のSNSと比べるとまだ利用率が高いとはいえません(※)。
TikTok運用を行っている企業も増えてきていますが、他のSNSと比べると参入している企業はまだ少ないです。
参入している企業が少ないということは、競合他社の参入も少ないと考えられますから、今のうちにTikTok運用を始めておけばアドバンテージを取れる可能性が十分にあります。
※参考:総務省情報通信政策研究所.「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」P72.https://www.soumu.go.jp/main_content/000887660.pdf ,(参照2024-03-02).
企業がTikTokを活用する方法
企業がTikTok運用を行う場合、具体的にどのような方法で活用することができるのでしょうか。企業がTikTokを活用する3つの方法をご紹介します。
自社アカウント運用
自社アカウント運用とは、文字どおり企業が自社のアカウントを運用することです。トレンドを押さえながらも、自社の雰囲気を伝える動画や、自社商品・サービスに関する動画を投稿し、ターゲットにアプローチします。
TikToKには個人アカウントとビジネスアカウントがあり、ビジネスアカウントではプロフィールに外部リンクを設置できたり、インサイト分析ができたりと、ビジネス向けの機能が搭載されています。
自社アカウント運用を行う場合は、ビジネスアカウントを選択するとよいでしょう。
以下では、自社アカウント運用の活用例を2つご紹介します。
商品・サービス紹介
自社アカウント運用は商品・サービス紹介に向いています。 前述したとおり、TikTokを見て商品やサービスを購入するユーザーは多いです。
商品やサービスの魅力を動画を使って効果的に発信できれば、購買行動につなげられます。
採用活動
TikTok運用で、採用活動を行っている企業もあります。キャッチーな動画を簡単に作成できるTikTokは、企業の雰囲気を伝えるのにも最適なツールです。
流行りの音楽に合わせた動画やダンスチャレンジ動画、スタイリッシュな動画など「こんな会社で働いてみたい」と思われるような投稿をすることで、ターゲットの興味を引くことができるでしょう。
例えば硬い印象のある企業なら、思わず笑ってしまうようなギャップがある動画を投稿することで、親しみを感じてもらえます。
採用に関連するハッシュタグを付けて投稿するのも一つの方法です。
TikTok広告運用
TikTokでは広告配信も可能です。TIkTok広告には、以下のようなものがあります。
- 起動型広告:アプリ起動時に表示される広告
- チャレンジ広告:ハッシュタグを活用したユーザー参加型広告
- インフィード広告:おすすめに表示される広告
- 運用型広告:自社で運用を行う広告
このうち運用型広告は、少額からでも広告配信ができるため、運用を始めたばかりの企業や、予算がそれほど取れない企業にもおすすめの配信方法です。
認知向上や購買促進など、目的に合わせたキャンペーンを実施できます。
ターゲティングも細かく行えるので、自社商品やサービスに合わせた広告配信ができるでしょう。
インフルエンサーとのタイアップ
インフルエンサーとタイアップを行うことも、ビジネス拡大につながるTikTokの活用方法です。インフルエンサーを使ったマーケティングは他のSNSでも積極的に行われている手法です。
拡散力が高いTikTokで、ターゲット層に支持されているインフルエンサーとタイアップすれば、一気に投稿が拡散される可能性もあります。
特にTikTok広告のチャレンジ広告は、インフルエンサーとの相性が良い配信方法です。
また通常の投稿でも、インフルエンサーが商品を使ったり食べたりしている動画を投稿することで、TikTokがきっかけで商品の売上が爆発的に伸びる「TikTok売れ」を生み出すこともできます。
効果的なTikTok運用の8つのコツ
効果的にTikTokを運用するには、どのようなコツを押さえた発信を行えばよいのでしょうか。企業の担当者が押さえておきたいTikTok運用の8つのコツをご紹介します。
1. 目的・目標・ターゲットを明確にする
効果的なTikTok運用を行うためには、運用目的や目標、ターゲットを明確にすることが大切です。目的や目標によって、行うべき施策は変わってきます。
目的や目標が明確でなければ軸がブレてしまい、「ただ投稿を続けるだけ」という状況に陥りやすいです。
目標の達成度合いを見るために、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)も決めておきましょう。
またターゲットを明確にし、そのターゲットの趣味嗜好を把握することで、その層に刺さる投稿ができるようになります。
2. トレンドを把握する
トレンドを把握し、それを意識した投稿を行うことも大切です。どのSNS運用でもトレンドを意識することは重要ですが、TikTokは特に流行が移り変わるスピードが早いです。
投稿の内容を検討することも大切ですが、練りに練っていると投稿する頃には、そのトレンドが過ぎ去っている可能性もあります。
リアルタイムでトレンドを把握し、それに沿った動画作成を行いましょう。
特に使用するエフェクトや楽曲でトレンドを意識すれば、多くの人に見てもらえる可能性が高くなります。
3. 同じ時間帯に投稿する
投稿はできるだけ同じ時間帯に行うようにしましょう。TikTokを含め、どのSNSにもアクティブユーザーが多い時間帯があります。
できるだけ多くの人に閲覧してもらうためには、アクティブユーザーが多い時間帯を把握し、常に同じ時間帯に投稿するのがおすすめです。
アクティブユーザーが多い時間帯はアカウントのターゲットによって異なるので、分析を行って自社アカウントのアクティブユーザーが多い時間を把握しましょう。
また時間帯と併せて、インプレッション率やエンゲージメント数が高い曜日を狙って投稿することも大切です。
4. ギャップを意識した動画を作成する
動画を作成するときにギャップを意識することも、効果的なTikTok運用を行うコツです。TikTokではギャップがある動画がバズりやすい傾向にあります。
メイクのビフォーアフターや真面目そうな印象の人がおもしろダンスを踊っている動画など、ユーザーが仕組みを知りたくなる動画や驚くような動画は、「続きが見たい」「もう一度見たい」という気持ちを引き出しやすいです。
その動画が話題になれば、どんどんシェアされて拡散する可能性もあります。
5. バズりやすいジャンルの投稿を行う
バズりやすいジャンルを狙って動画を投稿するのもTikTok運用のコツです。一般的に以下のようなジャンルは、バズりやすい傾向にあるとされています。
- まとめ系
- ノウハウ系
- 特技系
- おもしろ系
- 可愛い系
他の投稿と被らないようなジャンルで投稿するのも一つの方法ですが、そういったジャンルはなかなか閲覧までたどり着かない可能性も高いです。
まずはバズりやすいジャンルで動画を作成し、そこからアカウントに興味を持ってもらえるようになったら、他とは被らない動画に挑戦するとよいでしょう。
バズっているアカウントを分析してみると、どのような傾向の動画がバズっているのかが見えてきます。
競合他社がバズっている場合は、他社アカウントを分析した上で、差別化を図れるバズりやすいジャンルを考えてみるのも効果的です。
6. ユーザーとコミュニケーションを取る
ユーザーとのコミュニケーションは積極的に取るようにしましょう。ユーザーのコメントに返信したり、返信動画を投稿したりすれば、それをきっかけにフォロワーになってもらえる可能性も高いです。
またすでにフォロワーの場合も、コミュニケーションを取ることで自社アカウントのファンになってもらえる可能性があります。
ユーザーがくれるいいねやコメントなどの反応は、アルゴリズムにも大きく影響します。
またフォロワーになってもらえれば、リピート再生数や同アカウントの動画視聴数が上がる可能性も高いです。
7. 他のSNSと連動させる
運用している他のSNSと連動させることも、効果的なTikTok運用を行うコツです。TikTokには他のSNSと連動させる機能が搭載されています。
他のSNSを経由して流入するユーザーを増やせれば、動画の再生回数やフォロワー数が増える可能性があります。
また他のSNSから流入したユーザーが、TikTokで見た動画を他のSNSで拡散してくれる可能性も高いです。
8. PDCAを回す
TikTok運用を行う際はPDCAを回すことも大切です。PDCAはPlan(計画)・Do(実行)・Check(測定)・Action(改善)の頭文字を取ったフレームワークです。
PDCAを回すことで投稿の問題点や課題を洗い出し、改善して投稿を行えるので、より効果的な運用が目指せます。
PDCAを回すためには投稿に関するデータが必要です。
TikTokのビジネスアカウントが使える「分析データ」や「インサイト分析」を活用すればある程度のデータが取得できますが、より詳細なデータを取得したい場合は、外部の分析ツールを活用するとよいでしょう。
外部の分析ツールの中には、他社アカウントの分析ができるものもあります。
企業がTikTok運用を行う際の注意点
TikTok運用はビジネス拡大に効果を発揮しますが、間違った運用をすれば逆効果になってしまう恐れもあります。最後に、企業がTikTok運用を行う上で押さえておきたい注意点をご紹介します。
ガイドラインを把握する
TikTokにはルールや禁止事項をまとめたコミュニティガイドラインが存在しています(※)。ガイドラインに違反してしまうと警告を受けることになり、それを放置したり違反を繰り返したりすると、最終的には自分のアカウントや端末、回線などからTikTokを利用できなくなってしまいます。
ガイドラインを把握し、どのような行為が違反行為に当たるのかを理解しておきましょう。
ガイドラインはアップデートが行われるため、定期的にチェックすることをおすすめします。
※参考:TikTok.「コミュニティガイドライン」.https://www.tiktok.com/community-guidelines/ja-jp/ ,(2024-03-02).
著作権侵害に注意する
楽曲を使用した動画を作成する場合、著作権侵害に注意しましょう。前述したとおり、トレンドに合わせた楽曲を使用すると多くの人に見えもらえる可能性がありますが、著作権者やJASRACから許可を得ずに楽曲を使用すると無断使用に該当するため、著作権侵害になってしまいます。
ビジネスアカウントが使用できる「TikTok商用音楽」から楽曲を選べば著作権侵害の心配はありませんが、その他の曲を使用する際は注意しましょう。
炎上対策を行う
TikTokに限らず、SNSには炎上リスクがあります。炎上を避けるためには、投稿する前に複数人でチェックするなど運用ルールを明確に定め、マニュアルを作成して周知徹底させることが大切です。
個人情報の取り扱い、ユーザーとのコミュニケーションの取り方なども、細かく決めておくことをおすすめします。
またSNSには一般ユーザーが投稿した内容がきっかけで自社アカウントが炎上してしまうリスクもあるため、自社内で炎上対策を徹底していても防ぎきれないこともあるかもしれません。
万が一炎上した際にどのように対応するかも、事前に決めておく必要があるでしょう。
TikTok運用で効果的なマーケティングを行おう
本記事ではTikTokの概要や特徴、企業がTikTokを運用するメリット、活用方法、効果的な運用を行うコツや注意点などをご紹介しました。若年層以外のユーザーも増えつつあるTikTokはまだ参入企業が少ないこともあり、これからのマーケティング施策で狙い目のSNSです。
本記事を参考にして効果的なTikTok運用を行い、自社のビジネスのさらなる発展に活かしましょう。
TikTokの運用効果を高めるためにはデータを分析し、PDCAを回すことが大切です。
Quid Monitor(旧NetBase)は、効果測定や競合分析、トレンド分析などができるソーシャルリスニングツールです。
目的に合わせて膨大なTikTok上のデータから必要なデータを抽出でき、リスクをモニタリングして炎上対策を行うこともできます。
導入から運用までサポートも行っているので、初めて分析ツールを利用する方でも安心です。
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