企業のリスクマネジメントの一つとして、X(旧Twitter)監視の重要性が高まっています。X(旧Twitter)の炎上によって大きな被害が出た事例は少なくないため、マーケターや広報担当者の中には企業アカウントの運営や、商品・広告に対する消費者のレスポンスに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事は以下の内容を解説します。
- ・X(旧Twitter)の監視とは何か、必要性
- ・炎上の原因、企業事例
- ・監視方法と活用できるツール
- ・監視のポイント
本記事を読めばX(旧Twitter)監視の必要性を理解し、具体的な監視方法を検討できるようになります。
目次
X(旧Twitter)監視とは
X(旧Twitter)監視とは、X(旧Twitter)上で自社や商品に対するネガティブな投稿が行われていないか監視するリスクマネジメントです。X(旧Twitter)監視によって自社アカウントの炎上を検知したり、批判や誹謗中傷の拡散を抑えたりできます。
X(旧Twitter)監視はSNS監視の一種です。例えばX(旧Twitter)と一緒にInstagramの監視もするような場合は、SNS監視またはSNSモニタリングといいます。
SNS監視はリスクマネジメントだけでなく、マーケティングにも役立ちます。例えば、ユーザーのクレームや不満などを迅速にくみ取れれば、商品改善に役立てられるでしょう。また、広告に対してネガティブな反応が多いようなら、クリエイティブを修正できます。
なお、X(旧Twitter)監視は、個人間でも使われている俗語です。この場合の意味は、リポスト(旧リツイート)やDM、フォローなどをせずに、ただポスト(旧ツイート)をチェックすることです。本記事は個人間のX(旧Twitter)監視ではなく、企業ビジネスにおけるリスクマネジメントとしてのX(旧Twitter)監視を解説します。
X(旧Twitter)の企業アカウントに監視が必要な理由
X(旧Twitter)に自社アカウントを持つ企業の多くは、何らかの方法でX(旧Twitter)監視を行っています。背景にあるのは「拡散力が高いため炎上しやすい」「二次被害を受けるおそれがある」「炎上を早期発見し対応する必要がある」というX(旧Twitter)、SNS特有の問題です。それぞれについて解説していきます。
拡散力が高いため炎上しやす
X(旧Twitter)は他のSNSと比べて拡散性が高い特徴があります。1人の投稿があっという間に多くの人に拡散され、企業に多大なダメージを与えた例も少なくありません。このため、リスクマネジメントの一つとして、X(旧Twitter)監視を取り入れる企業が増えています。
拡散性が高い理由は次のとおりです。
- ・リポスト機能により投稿をワンタップで瞬時にシェアできる(投稿内容や文脈を理解しないまま、反射的に拡散される)
- ・フォロー外のアカウントの投稿も目に入りやすい仕様になっている
- ・今まさに起きていることを投稿するユーザーが多く、リアルタイム性やトレンド性が高い
- ・匿名性が高いため、偏見や嘘、悪意のある投稿などの抑制が効きにくい
- ・複数アカウントの所持が容易で意図的に炎上が助長されるケースもある
このようなSNSの拡散性によって、大きな損害が出てしまうケースが少なくありません。企業としては、何らかの手段でX監視をしなければならない時代になっているといえるでしょう。
二次被害を受けるおそれがある
X(旧Twitter)の監視をせずに対応が遅れると二次被害に発展しかねません。例えば、あるECショップはプロ野球チームの優勝に合わせて広告を掲載しました。
しかし、「優勝セール」とあるものの、通常価格と変わらなかったため、「価格偽装ではないか」という声がSNSに広がりました。こうしたクレームを放置してしまえば、既存顧客が離反したり、ブランドイメージが下がったりするなど、二次被害につながりかねません。
また、X(旧Twitter)監視によって得られるはずのユーザーの批判や不満を認識していなかった場合はどうなるでしょうか。仮に社員によって不適切な投稿がなされたことで炎上した場合、事実関係を確認し適切な対応を取れば被害を最小限に抑えられたかもしれません。しかし、炎上の火種となった投稿やシェアされた数、投稿内容に対するユーザーからのコメントなどの情報を把握していない経営者や広報担当者であれば、ネットメディアから取材された際に事実と異なる自己解釈で弁明をしてしまうことで、さらなる炎上が起こり、ついにはマスメディアにも取り上げられ非難される事態に発展する可能性が高まるでしょう。
実際、上記のような初期対応の不手際によって、火に油を注いでしまったケースは多くあります。X(旧Twitter)監視をしていないと初動対応に遅れやミスが生じてしまい、二次被害に発展するリスクが高くなるのです。
炎上を早期発見し対応する必要がある
炎上をできるだけ早く検知し、対応するためにもX(旧Twitter)監視は重要です。このことは炎上のメカニズムをみるとよくわかります。
- 1.火種となる問題が発生する
- 2.当事者や関係者がX(旧Twitter)に投稿する
- 3.フォロワーや投稿をみた人がリプライ、リポストする
- 4.情報感度の高いインフルエンサーがさらに投稿をシェアすることで加速度的に拡散する
- 5.関係性が薄い第三者にまで投稿が目に触れる状態となり炎上となる
- 6.ネットニュースやWebメディアが取り上げ、SNSユーザー以外にも情報が拡散する
- 7.マスメディアが取り上げ、インターネットユーザー以外にも情報が拡散する
したがって、実際の火事と同じように、なるべく早く火を消すことがX(旧Twitter)のリスクマネジメント上、重要です。対応が遅れるほど、ネガティブな情報に触れる人数が増えてしまいます。
この状況は、レピュテーションリスク(ネガティブな情報が社会全体に拡散され、企業価値や信頼の低下、ブランドイメージのダウンなどを招くリスク)が高まっている状態です。そのまま放置すれば、売り上げ低下や顧客離反といった実害につながってしまうでしょう。
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X(旧Twitter)の炎上発生の原因とは
前述したようにX(旧Twitter)監視とは、X(旧Twitter)上で自社や商品に対するネガティブな投稿が行われていないか監視するリスクマネジメントです。炎上の元となる社員や経営陣、アルバイトなどの投稿、あるいは第三者の投稿などを監視することで、迅速な対応が可能となります。
また、大元の原因が商品不具合やPR方法などであって、X(旧Twitter)上にはネガティブな反応が表れてきます。リアルタイム性が高いX(旧Twitter)を監視していれば、すぐに報告を上げて対応を取れるようになるでしょう。
炎上の兆候をつかむには、炎上の発生源だけでなく「どのような内容が炎上を引き起こしやすいのか」についても知っておく必要があります。それでは、炎上の発生源ごとに具体例を交えながら原因を解説します。
社員や経営陣・アルバイトによるポスト(旧ツイート )
炎上発生の原因は、社員や経営陣、アルバイトなど社内関係者の投稿であることがしばしばです。具体的には以下のような内容が炎上の原因となります。
- ・ジェンダーや宗教、民族、イデオロギーなどに関する投稿
- ・無意識の思い込みや偏見を含む投稿(女性は家事をするべき、男性は定年まで働くのが当たり前、など)
- ・度の過ぎた悪ふざけと思われる投稿(エイプリルフールに「本日○○県が沈没しました」など)
- ・誤投稿(社内や身内向けのくだけた投稿や、競合他社を批判する投稿など)
こうした内容の大半は悪気のない、あるいはSNSの特性を理解できていないことご対応ありがとうございます。による投稿といえるでしょう。その分、気付かずに投稿してしまうリスクが高まります。もちろん、意図的に偏ったメッセージを発していれば問題は深刻です。
近年リスクが高まっているのが、アルバイトが自身の不適切行為やいたずら行為を投稿する、いわゆる「バイトテロ」です。例えば飲食店のアルバイトが「食品を保管する冷蔵庫に入る」「食べ物をよそうお椀を股間にあてる」などの写真を投稿して、大炎上した例があります。こうしたケースでは、衛生上の問題や管理責任などが疑問視されたうえに風評が広まり、客足が大きく落ちました。
第三者によるポスト(旧ツイート )
第三者のポスト(旧ツイート)によって炎上が発生する場合もあります。とはいえ、完全な第三者というよりは、自社の社員や経営陣、アルバイトと近しい関係にある第三者が多いのが特徴です。具体例を以下に示します。
- ・社員が家に持ち帰った秘密情報を家族が漏えいしてしまう
- ・社員が漏らした労働環境への不満を家族が実名入りで投稿してしまう
- ・経営者がオフレコのつもりで話した内容をメディア関係者に投稿されてしまう
- ・アルバイトが職場で叱られた話を誇張して話したところ、友人がハラスメントだと訴えて投稿する
- ・顧客を装って来店、論評した内容を投稿されてしまう
上記はあくまで一例であり、第三者のポスト(旧ツイート)による炎上は無数のパターンがあります。したがって、第三者によるポスト(旧ツイート)を含めて365日監視したい場合、手動での監視は現実的に不可能といえるでしょう。そのため、後ほど解説する「ソーシャルリスニングツール」というITツールを用いるのが一般的です。
第三者の中で特に注意したいのは、多くのフォロワーを持ち情報拡散力が高いインフルエンサーです。業界で力を持つアカウントや、自社カテゴリーについて頻繁に投稿するアカウントなどがあれば、継続的に監視する必要があります。
自社商品・PR方法
自社が提供した商品に不具合があったりPR方法が適切でなかったりした際に、不満を持ったX(旧Twitter)ユーザーがコミュニケーションを繰り返して炎上に発展するケースがあります。SNS普及以前であれば、カスタマーセンターへのクレームが集中するだけで済んだかもしれません。しかし、現代はSNSでも不満が爆発する形となるため、SNSへの対応も必要です。
特に「ステルスマーケティング(ステマ)」とみなされた場合は、炎上につながる傾向があります。ステマの代表的なパターンは「芸能人やインフルエンサーに金銭を支払い、広告と気付かれないように宣伝してもらう」「社員や代行業者が、自社と無関係なふりをして商品やサービスをすすめる」の2つです。ステマは広範囲の消費者に配信されている分、ステマだとわかった途端、一斉に批判が噴出します。
その他、ジェンダーや宗教などに関する広告、偏見を含む広告などが炎上の火種となるため注意が必要です。また「店舗の呼び込みがうるさい」「接客態度が悪い」などPR活動で目立つマイナス要素が投稿されると、投稿に共感した意見が集まって炎上へとつながるケースがあります。
自社アカウントの投稿
自社アカウントの投稿が炎上のきっかけとなる場合もあります。自社アカウントの投稿は、社員個人の投稿と違い、公式アナウンスの意味合いが生じるのが特徴です。不用意な一文が、炎上へとつながってしまいかねません。
例えば、某テーマパークの公式アカウントによる投稿内容が炎上につながった事例があります。
2015日8月9日に「なんでもない日おめでとう」という内容のポスト(旧ツイート)をしたことが問題になった事例です。「不思議の国のアリス」のイラスト画像とともに「A VERYMERRY UNBIRTHDAY TO YOU!」と発信したメッセージを投稿したポスト(旧ツイート)がユーザーからの批判を浴びることになりました。
投稿日の8月9日は長崎に原爆が落とされた日であり「不謹慎な投稿」とされて炎上したのです。公式側としては「不思議の国のアリス」の歌「UNBIRTHDAY」を翻訳しただけの内容でしたが、ユーザーから違った意図として捉えられたことが炎上の種となりました。
その後、該当のポスト(旧ツイート)は削除され、公式X(旧Twitter)からお詫びの言葉とともに「今後は最新の注意を払ってアカウント運営を行ってまいります」という投稿が発信されました。
自社アカウントの投稿がいかに企業を代表した発言とみなされ、重大な炎上を招きやすいかを示しています。
SNSの中でもX(旧Twitter)とInstagramには特に監視が必要な理由
ここまでX(旧Twitter)監視が必要な理由について説明してきましたが「他のSNSの監視はしなくてもよいのか」と思った方もいるのではないでしょうか。現在はX(旧Twitter)の監視だけでなく、特にInstagram監視の必要性も高まってきています。というのも、Instagramには、24時間で投稿が消える「Instagramストーリーズ」という投稿機能による炎上例が増えているからです。
Instagramストーリーズとは、「日常の瞬間をシェア」というコンセプトで設計されており、テキスト・写真・動画をスライドショー形式で公開していく投稿形式です。動画は数秒から1分間までの長さで公開できますが、5秒ほどの短尺にするのが一般的です。
Instagramストーリーズが炎上しやすい理由としては、次の内容が挙げられます。
- ・「24時間で消える」という油断から、いたずら半分で投稿してしまう
- ・内輪感が強いため、悪乗りしやすい
- ・仲間向けに発信される傾向があるため、狭い価値観、偏った考え方でコンテンツをつくりやすい
Instagramストーリーズは一時的な投稿ですが、「画面収録ボタン」で動画保存が可能です。過去の炎上例をみても、他のSNSへの転載がきっかけで炎上したケースが多くみられます。不適切な動画は、他人にとってはバズるコンテンツとみなされるため、転載やリプライが急増しやすいのが特徴です。
なお、Instagramストーリーズは若年層を中心に利用されています。一概にはいえませんが、企業のリスクマネジメントとしてみた場合、若手のアルバイトや社員のInstagram監視を強化するべきといえるでしょう。
X(旧Twitter)を監視しないとリスクが大きい!炎上した事例
ここまでX(旧Twitter)監視の必要性や炎上原因について解説しましたが、リスクの大きさをイメージできない方もいるのではないでしょうか。そこで、実際にあった炎上事例を2つ紹介します。
事例1.小売
ある紳士服販売チェーンは、旧Twitterキャンペーンを用いて、「透けハラ」に関する投稿を呼びかけました。透けハラとは、「夏にシャツが汗ばんで下着が透け、周囲の人が不快感を持つ」状況です。キャンペーンの目的は、透けハラに対する男性の意識を喚起し、対策商品の購入を促すためだったのでしょう。
しかし、透けハラは故意ではありませんし、生理上やむを得ないものです。「ハラスメントという言葉を安易に使うな」「中高年をバカにしている」といった声が上がり炎上。同社はすぐにキャンペーンを中止し、謝罪しました。
しかし、「誤解されてしまう表現になっていた」という謝罪が、誠意を感じられないとみなされ、炎上は長引いてしまいます。「誤解を与えた」「本意ではなかった」という弁明は、再炎上を招きやすいため、慎重な検討が必要です。
事例2.お菓子メーカー
あるお菓子メーカーは旧Twitterキャンペーンを用いて、抽選キャンペーンを実施しました。ところが、あるユーザーが発した「フォロワー数が多いユーザーしか当選していない」という指摘が拡散されます。
同社は当初、情報拡散を放置していました。炎上が広がってはじめて、選考の非を認めて謝罪し、過去のキャンペーンを含めて応募者を再検討すると発表しました。しかし、炎上が収まったのは、事態発生から1カ月以上がたってからです。詳しい状況はわかりませんが、状況を正しく把握できていなかったのかもしれません。把握できていたとしたら、静観は間違った対応だったといえるでしょう。
X(旧Twitter)キャンペーンは「拡散性が高く話題になりやすい」「短期間で成果を得やすい」などのメリットがあります。しかし、ネガティブな情報シェアがはじまると、瞬く間に炎上してしまう点に注意が必要です。
X(旧Twitter)を監視する3つの方法
X(旧Twitter)を監視する方法は、大きく分けると次の3つです。
- ・目視で監視する
- ・監視を専門業者に任せる
- ・ソーシャルリスニングツールで監視する
それぞれの概要、メリット・デメリットを解説します。自社に合った方法を選ぶ参考にしてください。
1.目視で監視する
目視によるX(旧Twitter)監視とは、文字通り、自社アカウントや社員のアカウントなどの投稿を一つずつ確認していく方法です。不特定多数の投稿を調べる際は、エゴサーチと同じ要領で自社名や商品・サービスの名前などで検索して投稿を拾っていきます。目視のメリット・デメリットは次のとおりです。
【メリット】
- ・特別なツールを導入する必要がない
- ・最低限のITリテラシーがあれば誰でも実行できる
【デメリット】
- ・監視したいアカウントや投稿が多いと手間がかかる
- ・問題のある投稿に気付けない、気付くのが遅れる可能性が高い
目視によるX(旧Twitter)監視でも対応しやすいのは、ニッチ産業やBtoBのように顧客層が限られ、監視ボリュームが少ない場合です。特にアカウント運用や広域のプロモーションなどをしていない場合には、目視でも問題ないかもしれません。ただし、バイトテロ(アルバイトが不適切行動を録画した投稿)によって個人経営のお店が突然炎上するようなケースもあるため、万全のリスクマネジメントとはいえない面があります。
2.監視を専門業者に任せる
X(旧Twitter)監視を専門業者に任せる方法もあります。専門業者は「風評監視サービス」と呼ばれる場合もあります。
【メリット】
- ・自社の人的リソースを割かなくてよい
- ・豊富な運用知識から自社に適した監視体制を提案してもらえる
【デメリット】
- ・自社で監視するよりコストがかかる
- ・自社のアカウント運用やプロモーションと連携しにくい面がある(「新商品をリリースしたので、監視を強化してほしい」などの融通が利かないなど)
専門業者の利用が向くのは、顧客層が広く事業規模が大きい企業です。費用対効果が高いと判断できれば、業者に任せることで本業に集中できます。業者選びのポイントは以下のとおりです。
- ・データソースの豊富さ:対応しているSNSやWebメディアなど
- ・検知までのスピード:収集できる投稿数、収集にかかる時間など
- ・サポートの充実度:危険度の判定や炎上後の対策案の提案など
- ・サービスタイプ:ツールのみの監視、ツール+目視、AI監視+目視など
自社の監視目的や要件に合った業者を選んでください。
3.ソーシャルリスニングツールで監視する
ソーシャルリスニングツールとは、キーワードやアカウントなどを指定すると、条件に合った投稿内容を自動収集できるITツールです。
【メリット】
- ・膨大な投稿の中から、自社に関連する投稿を自動抽出できる
- ・X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、YouTube、Webメディアなど豊富なデータソースを一元的に監視できる
- ・目視では見逃してしまうような、ささいな投稿もアラート検知できる
- ・時系列分析や感情的な分析などの分析機能も搭載されている
【デメリット】
- ・導入コストが必要
- ・専門知識は不要だが、ツールを使いこなすためにある程度時間がかかる
第三者の投稿を含めてX(旧Twitter)を監視したい場合には、ソーシャルリスニングツールが欠かせません。例えば、「広告出稿時に消費者の反応を確かめたい」「自社ブランドへのネガティブな投稿をリアルタイムで把握したい」などのニーズを持っている場合は、必須のツールです。
ソーシャルリスニングツールを選ぶ際は、次の点を確認するとよいでしょう。
- ・データソースの豊富さ:対応しているSNSやWebメディアの媒体など
- ・検知までのスピード:収集できる投稿数、収集にかかる時間など
- ・サポート:導入後の初期設定サポート、分析方法の提案など
後ほどソーシャルリスニングツールの具体例として「Quid Monitor」「Quid Compete」を紹介します。
【無料で使用できる】X(旧Twitter)の監視に役立つ方法
X(旧Twitter)をはじめとしたSNSを目視で監視するのは無理があります。そこで活用したいのが、無料で使用できる「X(旧Twitter)の検索コマンド」「Yahoo!のリアルタイム検索」「Googleアラート」です。それぞれについて概要と利用手順を紹介します。
方法1.X(旧Twitter)の検索コマンドを利用する
X(旧Twitter)の検索コマンドとは、膨大な投稿の中から必要な情報を見つけたり、逆に不要な情報を除外したりするための機能です。特定のキーワードやアカウント、日付などで絞り込めるため、自社に関連した情報を集めやすくなります。
【手順】
- 1.X(旧Twitter)ウェブサイト右上の検索枠にキーワードを入れて通常検索する
- 2.検索バー右の「…」、または検索フィルター内の「高度な検索」をクリック
- 3.検索を絞り込む条件を設定
・単語、フレーズ、ハッシュタグで検索する場合→「キーワード」セッションに情報を入力
・特定のアカウントを検索する場合→「アカウント」フィルターを使用(返信、オリジナルポスト、リンクを含むポストの表示の有無も設定できる)
・メディアを含むポストを表示する場合→「画像」または「動画」を選択 - 4.日付やエンゲージメント(返信・いいね・投票・ハッシュタグのクリック)などでさらに絞り込んで検索をクリック
- 5.検索結果は通常の検索と同様に、最新タブや画像タブなどで絞り込める
方法2.Yahoo!のリアルタイム検索を使用する
Yahoo!のリアルタイム検索とは、X(旧Twitter)に投稿されたポスト(旧ツイート)をYahoo!検索の「リアルタイム検索」で検索できる機能です。検索できる投稿は、非公開に設定されていない日本語のポストに限られます。
【手順】
Yahoo!のリアルタイム検索では、以下のように検索語入力欄への入力だけで投稿内容を絞り込みます。
方法3.Googleアラートを利用する
Googleアラートとは、特定のキーワードを含む情報がインターネット上に公開された際に、メール通知してもらえるツールです。X(旧Twitter)への投稿のほか、ブログやWebニュースなどのデータソースも検知できるのが特徴です。
【手順】
- 1.Googleアラートにアクセス
- 2.画面上部にフォローしたいトピックを入力
- 3.必要に応じてオプションを設定
・通知を受け取る頻度:1日1回以下、週1回以下など
・表示するサイトの種類:「ニュース」「ブログ」「ウェブ」「ビデオ」「書籍」から選択
・言語:日本語、英語など
・情報を入手したい地域:国と地域単位
・表示する検索結果の件数:「上位の結果のみ」「すべての結果」から選択
・アラートを受け取るアカウント:メールアドレス - 4.「アラートを作成」をクリック
本格的にX(旧Twitter)の監視をする方法
無料ツールでもX(旧Twitter)監視はできますが、本格的な監視となると機能が不足するでしょう。本格的な監視方法としては、SNS監視ツールや監視サービスの利用を思い浮かべるかもしれませんが、ソーシャルリスニングツールも同等の役割を果たせます。
ここでは「Quid Monitor」「Quid Compete」を例に、どのような監視ができるのか紹介します。
【Quid Monitor】監視だけでなく管理・分析も可能
「Quid Monitor」は、X(旧Twitter)の全量データが2006年までさかのぼって分析可能なソーシャルリスニングツールです。X(旧Twitter)のほかにも、InstagramやFacebook、YouTubeなどの主要SNS、掲示板・レビューサイトのコメント欄などの豊富なデータソースを、一元的に監視できます。
X(旧Twitter)監視に活用できるQuid Monitorの機能は以下のとおりです。
- ・アラート通知:企業にとってリスクがある投稿が検出された際にアラートメールを送信
- ・定量推移分析:指定キーワードを含む投稿を時系列で分析してグラフ化し、炎上発生や予兆を検知
- ・センチメント分析:テキストを集計、解析してポジティブ・ネガティブ比率を表示する機能
センチメント分析では、ネガティブ比率が急激に高まれば、何か問題が起きていると検知できます。さらに「異物混入」「スキャンダル」といった頻出ワードも抽出されるため、直感的に問題の核心をつかめるでしょう
ほかにもQuid Monitorには多彩な分析機能が搭載されており、アカウント分析やリスクマネジメントに幅広く活用できます。
また、Quid Monitorはデータ収集と同時に、精度の高い分析やレポーティングまで完了できるのも大きなメリットです。一刻を争うような深刻な炎上リスクにもスピーディーに対応できるでしょう。
【Quid Compete】監視だけでなく他社アカウントの分析も可能
Quid Competeはアカウント運用に特化したソーシャルリスニングツールです。X(旧Twitter)やInstagramなどのアカウントURLを登録するだけで、フォロワー数や投稿数、いいね、リプライ、リポスト(旧リツイート)、エンゲージメントなどを集計できます。また、自社と競合他社のアカウント運用を比較可能です。
X(旧Twitter)監視に応用できる機能としては、ネガティブな投稿を検知してリアルタイムで検知する機能が役立ちます。複数SNSからデータ収集できるため、手作業による収集、抽出の手間もありません。
また、リプライやリポスト(旧リツイート)の急増も炎上のシグナルです。内容がネガティブなものであれば、自社アカウントの投稿内容や広告内容などに何か問題が生じている可能性があるため調査したほうがよいでしょう。
Quid Competeでは競合他社も並行して監視できるため、X(旧Twitter)監視に役立てられます。例えば、原材料の高騰で自社商品のカテゴリーを軒並み値上げしたとしましょう。このとき、他社がそっけない値上げ告知で顧客から非難を浴びていたなら「自社は顧客の気持ちに寄り添った告知内容にしよう」などと対策を立てられます。
X(旧Twitter)を監視するポイント
X(旧Twitter)上には膨大な投稿がアップされるため、できるだけ効率的に有益な情報を集めたいものです。ここでは効果的な監視を行うためのポイントを4つに分けて解説します。
ポイント1.社内の監視体制を整備する
X(旧Twitter)監視は長期間、一定の頻度で実施しなければ意味がないため、社内の監視体制を整備しなければなりません。一般的には専任の担当者を設けることになるでしょう。もし作業負担が大きいようなら、外部の専門業者に依頼する方法もありますし、効率的なソーシャルリスニングツールの導入を検討するのもよい方法です。
いずれにしても監視するデータソースや投稿量と、問題を検知するまでのスピードを合わせて考えることが重要です。網羅的に投稿をチェックしても検知するのが遅ければ、炎上対策が後手に回ってしまうでしょう。
しかし、いつ発生するかわからない問題投稿のために、人手を割くのは非効率ともいえます。実際、先に紹介した「Quid Monitor」を導入している日本航空の広報部様でご利用されています。「Quid Monitor」を用いると、X(旧Twitter)の膨大な投稿の中から、自社および競合に関わる投稿を数秒で1日数千件に絞り込めます。ここから目視チェックや分析に入れば、それほど時間はかかりません。
ポイント2.社内周知を徹底する
社員個人のアカウントを監視するのは、マナーのうえで不適切です。プライベートに関する投稿内容を会社の人間が読んでいると思うと、多くの人はストレスを感じるのではないでしょうか。
そのため、一定のルールを設けて社内に周知し、自発的に守ってもらうように誘導することが大切です。具体的には就業規則にSNSに関する項目を設けて、SNSを利用する際の心構えやガイドライン、罰則などを定めます。
近年はソーシャルメディアポリシー・ガイドラインを社外に公開する企業も増えてきました。ソーシャルメディア参加の目的や、良識ある言動や振る舞いをする約束、公式の見解を表すアカウント先などについて、ホームページ上で発表しています。基本方針を公開することによって、情報発信についての社内意識を高めたり、共通意識を育んだりする効果も見込めます。
ポイント3.違反したら指導する
社内規定やソーシャルメディアポリシー・ガイドラインは単に作成するだけでなく、運用レベルで守られていなければなりません。SNS利用の研修を実施して、必ずしも法律違反にならなくても社内規定違反になる行為があることを教えておきましょう。もし違反が見つかれば指導します。
SNSの不適切利用のリスクは年代によって変わるケースがあります。一般的には年配の社員よりも若年層の従業員のSNS利用率が高いため、炎上につながる投稿をしてしまうリスクが高いといえるでしょう。また、自社アカウントを運用している部署は他部署よりもリスクは高くなります。炎上リスクが高い従業員や部署を中心に研修や指導を行っていきましょう。
特に重要なのは企業公式アカウントの運用です。投稿内容は二重、三重で別の人がチェックして、違反があれば、部署全体の問題として共有することをおすすめします。
ポイント4.監視の対象を特定する
監視対象を特定しておかなければ、効果的なモニタリングができません。また、監視基準にブレが出てしまい、ある人は問題だとみなし、ある人は問題なしと判断してしまうでしょう。
繰り返しになりますが、炎上の原因となるのは以下のような投稿内容です。
- ・ジェンダーや宗教、民族、イデオロギーなどに関する投稿
- ・無意識の思い込みや偏見を含む投稿
- ・悪ふざけや常識がないと思われる投稿
- ・第三者による自社へのクレーム、批判
これらをリスト化して具体的に決めておけば、監視者は常に一定の基準で問題投稿を検出できるようになります。また、ソーシャルリスニングツールを用いる際は、特定のキーワードやアカウントなどを登録しておくことで、炎上の原因となる投稿を見逃さない対策が可能です。
ソーシャルリスニングツールの活用でX(旧Twitter)の監視を強化しよう
SNSとスマートフォンの普及によって、ネガティブな情報の拡散リスクが高まりました。それにともない、X(旧Twitter)監視による炎上対策が企業に求められるようになっています。
まずは自社アカウントや社員の投稿などから、炎上の火種をつくらないことが肝心です。また、第三者からネガティブな投稿が拡散されてしまった場合は、それをいち早く検知し、対処していく必要があります。
自社でX(旧Twitter)監視をする際はソーシャルリスニングツールが効果的です。「Quid Monitor」は膨大な投稿の中から自社に関する投稿をリアルタイムで抽出し、そのままデータ管理、分析につなげられます。また、「Quid Compete」は自社および競合のアカウント運用を監視して炎上の予兆を検知できます。SNSの運用、炎上対策にぜひご活用ください。