SNSマーケコラム

ソーシャルリスニングとは?活用方法やツールの選び方を紹介

ソーシャルリスニングとは?活用方法やツールの選び方を紹介

Instagram(インスタグラム)やX(旧Twitter)など、人々の生活に欠かせないインフラとなりつつあるSNS。SNSが消費者の興味や関心に与える影響は年々増しており、SNS活用は企業やブランドにとって欠かせないものとなっています。
企業にとってのSNS活用は自社SNSアカウントでの情報発信だけにとどまりません。SNS上の消費者の声を適切に収集・分析し、新商品開発やマーケティング戦略に活かす「ソーシャルリスニング」に取り組む企業は、大きな競争優位性を構築することができるでしょう。

そこで今回はSNS上の声を活用するための「ソーシャルリスニング」について、活用方法や事例、そして分析ツールの選び方をご紹介します。

目次

目次

ソーシャルリスニングとは?

「ソーシャルリスニング(Social Listening)」とは、X(旧Twitter)やInstagram、掲示板などソーシャルメディア上に投稿されたデータを収集・分析し、新商品開発やマーケティング戦略に活用することです。

ソーシャルリスニング

「いいね!」の数や投稿数だけを収集しても、消費者がブランドのどういった点を評価しているのか、何を求めているのか、といった洞察を得ることはできません。ソーシャルリスニングはSNS上の投稿から、消費者が何について会話しているのかを分析し、反響の原因は何かを、深堀して突き止めていく作業のことを指します。

ソーシャルリスニング概要資料はコチラ

なぜソーシャルリスニングが重要なのか

消費者の本音を収集・分析できる

消費者の声を集める手段としてアンケート調査やユーザー調査がありますが、それらの調査は収集するアンケート数に限界があり、企業への忖度で本音の回答が引き出せないといった課題があります。
ソーシャルリスニングで収集・分析するデータは消費者が自発的に発信しているソーシャルメディア上の口コミを対象とするため、消費者の本音を収集することができます。 また自社に対する口コミだけでなく競合他社の口コミを収集できる点も特徴です。

消費者の声をリアルタイムに分析できる

またSNS上の消費者の声はリアルタイムに変化しています。今日分析したデータを元に戦略を立て、施策を実行しても明日には消費者のニーズは大きく変化しているかもしれません。
ソーシャルリスニングは分析ツールにも依存しますが、消費者の反応とほとんどタイムラグなくデータを分析することができるので、リアルタイムな分析を可能とします。もちろんデータの蓄積も可能ですから時間の経過とともに消費者の声がどう変化したかの分析も可能とします。

投稿された様々な情報から示唆を得ることができる

ソーシャルメディア上に投稿されているデータは、テキストだけではありません。画像や動画、投稿された場所、投稿者などあらゆるデータが含まれます。
ソーシャルリスニングでは、ソーシャルメディアから得られる様々なデータから、消費者のニーズやインサイトを導き出すことができます。

例えばX(旧Twitter)やInstagramの投稿から自社の商品がどのようなシーンで利用されているかを分析したり、屋外広告が写り込んだ写真を分析してどのような消費者にリーチしているかを分析することが可能です。

ソーシャルリスニングが注目される背景

ソーシャルリスニングが注目される背景として、SNSをはじめとしたソーシャルメディアの普及が挙げられます。
ソーシャルメディアが普及する以前は、企業が消費者の意見を知りたいと思っても手段が限られており、アンケート調査のように企業から能動的に動かなくては情報を集められませんでした。

しかし能動的な調査は「リアルな声」を収集しにくい上に、多くの時間や費用がかかるため、資本力やリソースに余裕のある一部企業しか行えない手法です。
ソーシャルメディアが普及したことで、消費者が自主的にリアルな声を投稿してくれるようになったため、情報の収集・分析のハードルはグッと下がりました。

またソーシャルメディアによって簡単に他人の意見を知れるようになったことで、消費者が口コミを重視するようになったのもポイントです。
企業としては、良い口コミが集まる商品・サービスを生み出す必要性が高まっており、より消費者のニーズに寄り添った商品・サービスの開発が必要です。そのため消費者のリアルな意見を素早く収集できるソーシャルリスニングは、現代の企業にとってなくてはならないツールだといえます。

ソーシャルリスニングを実施する流れ

ソーシャルリスニングは、大きく以下の4ステップに従って実施します。
  • 調査するソーシャルメディアを決める
  • 情報を集める
  • 分析する
  • 結果を次に活かす
それぞれについて解説します。

調査するソーシャルメディアを決める

調査対象とするソーシャルメディアを決めましょう。メディアを選定する際に重要なのは、事前にどのような情報を取得したいか明確にしておくことです。

例えば、ソーシャルリスニングによって自社の商品・サービスの質向上のためのヒントを得たいのか、業界や競合他社の動向を把握したいのかなど、何のためにどのような情報が必要なのか絞り込みましょう。
情報が多いことだけを主軸にしてソーシャルメディアを選ぶのは避けましょう。
情報の数は大切ではあるものの、それよりも重要なのは必要な情報を収集できるどうかです。

例えば、商品開発のために市場調査を行うのであれば、多種多様な意見が集まるX(旧Twitter)が適していますが、商品を購入した顧客の生の声を知りたい場合は口コミサイトの方が適しています。
目的によって適切なソーシャルメディアは異なるので、まずは欲しい情報を明確にしてから選定しましょう。

情報を集める

ソーシャルメディアの情報を収集しましょう。
無数にある情報の中から自社にとって有益な情報を絞り込むために、分析対象とする発信者・発言内容を選定します。

特にキーワード選定は重要で、調査対象がどのような言葉を使用するのか想定して、確実に情報が得られそうなキーワードを選びましょう。
適切なキーワードはソーシャルリスニングを行う目的によっても異なりますが、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 自社のブランド・商品・サービス名
  • 競合他社の商品名
  • 商品のカテゴリ
  • 業界名 など

モニタリングしたいキーワードと対象メディアが確定したら、ソーシャルリスニングツールを使って、自動でデータを収集します。
もし指定したキーワードでは情報が不足する場合や欲しい情報が得られない場合には、再度調査するキーワードを検討しましょう。

分析する

データの収集が完了したら、細かく分析して自社の商品開発やマーケティング施策に落とし込みましょう。
ソーシャルリスニングでは、数値データを基にした「定量」と、その背景・原因である消費者の気持ちを深掘る「定性」の両方の分析を行うことが大切です。
以下のように、多角的な視点から分析します。

分析方法

詳細

数値分析

・指定キーワードの投稿件数

・リーチ数

・時系列によるリーチ数の変化

・指定キーワードのポジティブ・ネガティブ・ニュートラルの割合

アカウント分析

・自社商品名・ブランドなどに関する投稿の頻出キーワードの抽出

・フォロワー数・いいね数などの多いアカウントの傾向を分析

セグメント分析

・投稿内容から「関心」「購買」などに分類して傾向を分析


まず数値分析で大枠をつかみ、次にアカウント分析で深掘りして、最後にセグメント分析でより細かく分析することで、消費者がどのように考えている・感じているのか分析します。
例えば、集まった情報を「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」に分けることで、商品やサービスに対して好感を持ってくれている人に対しては「なぜ良いと感じているのか」や、購買に至らない人に対しては「なぜ買いたくないのか」を分析可能です。
他にも頻出キーワードを抽出して、どのようなキーワードが多く投稿されているか把握すれば、商品やサービスの購入動機や、自社の弱点、改善点などを洗い出せます。

結果を次に活かす

ソーシャルリスニングにより得られた分析結果を、次の商品開発やPR施策などに活かしましょう。
ソーシャルリスニングで収集した情報は、自社や自社の商品・サービスが社会からどのように見られているかの表れです。

PR施策が狙った層へ届いているのか、新商品がターゲットに刺さっているのかなど、客観的にどのような結果につながっているのかを確認できるため、次の施策に活かしやすいでしょう。
例えば、主婦層を狙った新商品がソーシャルメディア上では実は学生に刺さっていると分かれば、学生向けにPRを強化することでよりヒット商品になる可能性があります。
このように取得した情報を基に改善していけば、より消費者に寄り添った効果的なPR施策や商品開発などを行えるようになるでしょう。

また一度の改善だけで満足せず常に分析や改善を続けていくことで、より良い商品・サービスを提供できます。
そのため、ソーシャルリスニングでは調査・分析結果を行動に落とし込むフローの整備や、積極的に改善を推進する専任担当者の配置なども重要です。

ソーシャルリスニングを成功させるためのポイント

 ソーシャルリスニングを成功させるためには、主に以下の4つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 調査するソーシャルメディアを決める
  • 情報を集める
  • 分析する
  • 結果を次に活かす

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

調べる目的を明確にする

調べる目的を明確にしてから、ソーシャルリスニングを実施することが大切です。「何のために」情報を取得するのか調査目的を定めて、ソーシャルリスニングにより「どのような」情報を得る必要があるのか決めることで、効果的な調査が行えます。
調べる目的を決めるには、4P(商品・価格・販売促進・流通)を軸に、自社はどのような課題があるのか考えると、目的を具体化しやすくおすすめです。
漠然とした目的では調査内容にブレが出やすいため、きちんと目的を定めた上で調査を進めましょう。

適切なキーワードを選ぶ

調査に適切なキーワードを選ぶのも、大切なポイントです。キーワード選定のコツは「メインキーワード」と「サブキーワード」を組み合わせて考えることです。
例えば新商品のイヤホンの音質について調べたい場合、商品名だけで抽出すると見た目や価格に関する情報など、調査に不要なものまで収集してノイズになってしまいます。
メインのキーワードである「商品名」と、音質に関連する「音質」「聴き心地」「臨場感」などのサブキーワードを組み合わせて、より調査目的にフォーカスした情報を集めるようにしましょう。

またキーワードを設定する際は、同じ単語でもユーザーによって表現が異なる点を念頭に置くことが大切です。
ソーシャルリスニングツールは指定したキーワードに基づき情報を集めますが、下記のような表記揺れや周辺情報は含まれないため、漏れがないように調整しなくてはなりません。

  • カタカナ・ひらがな・漢字・アルファベット表記
  • 略称
  • 俗称・愛称
  • 打ち間違い・誤変換
  • 関連語
  • ハッシュタグ など

データの取得漏れがないように、ユーザーがどのように表現しているのかチェックしたり、よくある表記間違いを把握したりと、ユーザー目線でキーワードを選定しましょう。

ソーシャルメディアごとの特徴を理解する

ソーシャルメディアごとの特徴を理解した上で、必要な情報を集められる媒体を選定しましょう。
ひと口にソーシャルメディアといっても、それぞれ以下のように特徴が異なるため、利用者数やなんとなくで選ばず、調査目的と親和性の高いメディアを選ぶことが大切です。

ソーシャルメディア

特徴

X(旧Twitter

・リアルタイムの情報を集められる

・拡散性が高い

・月間利用者数が多く幅広い情報を集められる

・気軽に投稿できるため、本音やリアルな反応が見えやすい

・匿名性が高いため批判的な声も多い傾向にある

・市場調査やプロモーションの効果測定など幅広い目的に有効

・フェイクニュース・情報の錯乱なども多いため収集データの活用には注意が必要

Instagram

・写真・動画中心のビジュアル重視のため視覚的な情報を集めやすい

・素顔や本名など個人情報の取り扱い・プライバシーへの配慮が必要

Facebook

・日本ではIT企業を中心としたビジネス利用が多いためITツールの口コミ収集に適している

・ハッシュタグなど情報検索ができないため一度に大量の情報を集めるには不向き

TikTok

・動画に特化しているため他のSNSより情報量が多く深い分析が可能

・ユーザーの大半が若年層で未成年が多い

・個人情報やプライバシーへの配慮が必要

ブログ

・文章量が多く購買動機や生活パターンの分析に有効

・センシティブな内容も投稿されやすい

ニュースサイト

・自社PR・他社PRのパブリシティ獲得状況の把握に有効

・自社サービス業界での最新情報を収集できる

Q&Aサイト

・製品・サービスの比較について消費者の視点を知れる

・使用中に困ったことについて把握できる

偏った情報にならないよう注意する

ソーシャルリスニングで得られる情報はポジティブ・ネガティブなものなどさまざまなので、偏った情報だけを収集・分析しないよう注意しましょう。
率直な意見を収集できるのがソーシャルリスニングのメリットですが、もちろん中にはネガティブな意見も混じっています。

特に否定的な意見や批判・クレームは拡散されやすく注意がいきがちですが、過剰に反応してしまうと本来の目的を達成しにくくなるでしょう。
例えば、少数のネガティブな意見を尊重して商品やサービスの改善をすると、大多数のユーザーにとっては使いにくくなって売上がダウンする可能性もあります。

ポジティブ・ネガティブな意見が全体のどのくらいを占めているのか、調査目的において加味すべきものなのか、フラットな目線で判断することが大切です。

ソーシャルリスニングツールを活用することのメリット

 ソーシャルメディア上の情報は誰でも閲覧・収集できますが、全ての情報を人力で収集するのは膨大な時間がかかるため生産的ではありません。
ソーシャルリスニングツールを使用すれば、効率的に行えます。

ここからはソーシャルリスニングツールを使用する主なメリットを3つ解説するので、ツールを導入すべきか確認してみてください。

大量のデータを効率的に整理できる

ソーシャルリスニングツールを使用することで、大量のデータを効率的に整理できます。
ソーシャルメディアには膨大な量の書き込みがあり、それらを手作業で全て収集するのは困難でしょう。

ツールを利用すれば自動的に情報を集めてくれるので、作業効率が飛躍的にアップします。
複数のメディアを横断的に収集できるツールもあるため、人力では実現できないような大量のデータを収集できます。

データ数が少ないほど偏った情報になりやすい傾向にもあるので、できるだけ多くのデータを収集できるのは大きなメリットになるでしょう。
また単に多くの情報を収集するだけでなく、特定の情報に絞って抽出・集計することも可能です。

収集から抽出・集計に至るまで自動的に行ってくれるため、作業効率が各段にアップするとともに、抜け漏れ・二重集計といったヒューマンエラーも防げます。

詳細な分析が可能になる

ソーシャルリスニングツールを活用することで、より詳細な分析が可能になるのもメリットです。
ツールにもよりますが、投稿数やいいね数などを確認できる「定量分析」や口コミの内容を基準にした「定性分析」の他にも、以下のような分析を行えるものもあります。

分析の種類

詳細

クラスター分析

・膨大なデータを性質の近しいテーマごとに分類できる

需要予測

・ある商品やサービスに対して、今後どれくらいの需要があるのかを、データを基に予測できる

クロス集計

・あるデータに対して2つ以上の軸で集計を行う

・一つひとつの分析軸によるデータでは気付きにくい傾向を明らかにできる

こうした分析手法を組み合わせれば、より複雑な分析を行うこともできます。

分析結果を可視化できる

分析結果を簡単に可視化できるのも、ソーシャルリスニングツールを使用するメリットです。
手作業でソーシャルメディア上の情報を収集・分析しようと思うと、Microsoft Excelなどに数値を入力してグラフを作成しなければなりません。

しかしソーシャルリスニングツールなら最初から円グラフや折れ線グラフなどで、分かりやすく表示されます。
数値が大きく変化したタイミング、割合などが一目瞭然です。

例えば、恵方巻がいつ頃から話題になってきたのか調べたい場合、X(旧Twitter)上でのポスト数を年代別に折れ線グラフが表示されるので、話題になり始めたタイミングがひと目で把握できます。 このように分析結果を分かりやすく表現してくれるため、分析にかかる時間の削減や効率化につながるでしょう。

ソーシャルリスニングツールのタイプ

ひと口にソーシャルリスニングツールといっても、大きく分けると3つのタイプがあります。

  • キーワード収集・分析に特化したタイプ
  • SNS運用もできるタイプ
  • 高度な分析ができるタイプ

ソーシャルリスニングを行う目的によって、どのタイプが適しているかは異なります。
導入してから後悔しないように、適したタイプはどれか事前に押さえておきましょう。

キーワード収集・分析に特化したタイプ

キーワード収集・分析に特化したタイプは、各種ソーシャルメディア上の情報をリアルタイムに収集・分析できる基本的なツールです。

情報収集をしたいキーワードを入力・設定するだけで、簡単に分析できるものが多く利用しやすいでしょう。
分析手法も口コミ件数の推移や属性分けなど、業務に反映しやすいものが揃っていることが多い傾向にあります。

またリアルタイムの情報収集だけでなく、過去数年分のデータを収集・分析できるなど、データ収集に特化したタイプもあります。
データを遡って調査できるので、今年と10年前の同時期を比較するなど、変化やトレンドを調べるのに適しています。

SNS運用もできるタイプ

ソーシャルメディアのデータの収集・分析だけでなく、SNS運用も行えるタイプもあります。
一つのツールに多彩な機能が備わっているので、いちいちツールを切り替える必要がなく効率的に情報収集・分析を行えるのが特徴です。

ソーシャルリスニングで得た知見を、自社のSNS運用に活かしやすいでしょう。
SNS運用ができるタイプには、以下に挙げるような機能が搭載されています。 

  • 複数のSNSアカウントへの予約投稿機能
  • 承認フローの管理
  • ハッシュタグキャンペーンの投稿
  • 抽選を自動化できる機能
  • 専用マニュアルの作成
  • KPIの初期設計支援
  • アカウント改善提案
  • 運用ノウハウの共有 など

SNS運用とソーシャルリスニングを同時に行いたい場合や、ソーシャルリスニングで得た情報をSNS運用にも活かしたい場合などは、一つのツールで行えると業務効率がアップするでしょう。

高度な分析ができるタイプ

高度な分析ができるように特化したソーシャルリスニングツールもあります。
このタイプはより複雑な分析が可能です。 例えば膨大なデータの中から必要な情報を抽出し、テキスト同士の関係性を分析するなど、一般的なツールよりも複雑な分析を行えるのが特徴です。

定量的な情報だけでなく、感情や思惑、行動などの定性的な分析も行うことが可能です。
多彩な切り口で情報を分析できるため、どのような施策をするべきか細かく検討できるでしょう。

また中には日本のみならず海外のソーシャルメディアに対応したツールもあり、多言語によるキーワード分析を行えます。
海外に向けたマーケティングはもちろんですが、国別・地域別の比較や訪日外国人の動向調査なども可能です。

ソーシャルリスニングツールを比較する際のポイント

さまざまなソーシャルリスニングツールが存在するため、どのツールを使うべきか悩む方が多いでしょう。
そこでツールを選ぶ際に、比較して確認しておくべきポイントを7つご紹介します。どのツールを導入するか検討する判断材料にしてみてください。

十分な分析ができるか

自社の目的を果たすために、十分な分析ができるかチェックしましょう。

ほとんどのソーシャルリスニングツールでは、以下のような基本的な機能が搭載されています。

  • 口コミがポジティブかネガティブかを自動判別する分析
  • 特定のキーワードを収集して数値化・グラフ化する可視化機能
  • 上記を基に自社の商品やサービスの評判を分析する機能 など

基本的な調査はこれらで十分ですが、他にも以下のような多彩な機能が搭載されているツールもあるため、必要な機能は何かを確認することが大切です。

  • 画像を収集してカテゴリごとに自動分類
  • 影響力のあるインフルエンサーを発掘
  • 収集したデータからターゲット層の年齢や年代、地域を分析
  • ユーザーのセグメント分け・感情分析・興味感心分析 など

ツールごとに得意な機能や種類、分析できる度合い程度が異なるので、事前にどれが適しているかを比較検討しておきましょう。

過去のデータを遡れるか

過去のデータを遡れるか否かも、確認しておくべきポイントです。
ツールによって過去のデータを遡れる期間は異なり、数年ほどのものもあれば20年近く遡れるものもあります。

過去のデータを遡れると、今話題となっている情報がどのような経緯をたどって話題になったのかを分析可能です。
なぜトレンドになったのかを細かく分析できるため、マーケティング施策へ応用しやすくなります。

そのためある程度過去のデータが分析できるツールを選定するのがおすすめです。

海外の動向も追えるか

海外のソーシャルメディアも収集・分析できるかや、多言語の分析も行えるかも確認しておくことが大切です。
グローバルにビジネスを展開する企業やインバウンドビジネスを行っている企業などは、国内だけでなく海外のソーシャルメディアも分析できるツールを選びましょう。

多言語対応しているものでも、対応言語数はまちまちです。自社の商圏やターゲットなどに合った対応言語のソーシャルリスニングツールを検討してください。
また国内が主戦場の企業であっても、日本内の口コミは日本語だけではありません。

日本語だけが分析対象で問題ないか改めて検討しておきましょう。英語・中国語など話者の多い言語に対応しているツールを選ぶのがおすすめです。

レポート作成が容易か

定期的に社内に共有するレポートが必要であれば、手軽にレポートを作成できるソーシャルリスニングツールを選びましょう。
ダッシュボード機能やレポーティング機能など、レポートを作成しやすくなる機能が搭載されていると社内に共有するのに手間がかかりません。

また中には定期的にレポート配信ができたり、異常値があるとアラートが届いたりするツールもあります。

ノイズを正確に処理できるか

分析したいキーワードの類似語や不要な単語など、ノイズを正確に処理するフィルタリング機能の有無も確認しておきましょう。

ソーシャルメディア上では分析に不要な情報も多く存在します。不要な情報が含まれてしまうと、情報を正確に分析するのが難しくなってしまうでしょう。
自動でノイズを処理してくれるソーシャルリスニングツールであれば、無駄な単語の処理に時間を割かずに済みます。

ノイズを正確に弾いてくれるソーシャルリスニングツールの導入は、業務効率が上がるだけでなく、誤った分析結果にたどりつくリスクを未然に防ぐ効果もあります。

タイムラグが長過ぎないか

ソーシャルリスニングツールの分析においてどのくらいのタイムラグがあるかも確認しておきましょう。
ソーシャルメディア上のデータをほぼリアルタイムで取得できるツールもあれば、数分~数日のタイムラグが発生するツールもあります。

特にSNSはトレンドの移り変わりが早く、トレンドに対しリアルタイムに即応できることはマーケティングにおいて非常に重要です。なるべくタイムラグの少ないツールを検討してみてください。

投稿機能は充実しているか

SNSへの投稿機能が充実しているか否かも、大事なチェックポイントです。

例えば、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなど複数のSNSへ一括投稿する機能を備えたツールであれば、業務効率が上がるだけでなくSNSを横断したキャンペーンを行いやすくなります。

ソーシャルリスニングの活用方法・事例

ソーシャルリスニングでは、下記のようなマーケティングに関する分析や調査を行うことができます。

1)ブランド / サービスに対する口コミや評判
2)消費者ニーズ・市場調査
3)競合調査
4)自社プロモーションの効果測定
5)リスクモニタリング
6)海外の市場調査

1)ブランド / サービスに対する口コミや評判

SNSの口コミ(クチコミ)から、自社ブランドやサービスに対する消費者のイメージを知ることが出来ます。ツールによってはブランドやサービスに対するポジティブ / ネガティブの反応だけでなく、その反応をしたユーザーの属性まで分析することが可能です。また、ソーシャルリスニングでは限定的なアンケートと異なり、自社だけでなく競合についても調査が可能です。

詳しくは「口コミ分析とは?分析ツールによるSNSの口コミ分析を紹介」をご覧ください。

2)消費者ニーズ・市場調査

新商品の開発や新店舗の開拓には、まず消費者のニーズや需要があるかを調べることが重要です。ソーシャルリスニングツールで消費者の声を分析したり、ターゲット層の購買行動などを分析することで、市場機会の有無を調査することができます。

米国のOcean Spray社は自社の主要市場であるモーニングジュース市場の後退を受け、異なる商品開発に向けてソーシャルリスニングで市場調査を実施しました。そして得られたインサイトを元に新製品を開発し、過去の新製品発売を上回る結果をもたらしました。

Ocean Spray社のSNS活用事例はコチラ

3)競合調査

新たに参入する市場には、既にサービスを展開している企業が存在していることが多く、それらの企業の成功要因や評判を把握し、競争環境を正確に捉えるためにも競合調査は欠かせません。ソーシャルリスニングツールで競合企業や商品の口コミを分析することで、それらの結果を自社事業の有効なアクションにつなげます。

詳しくは「競合分析・市場調査でのSNS分析活用方法」をご覧ください。

4)プロモーションの効果測定

CMや広告キャンペーンなどのプロモーションの効果測定にもソーシャルリスニングは活用できます。リーチ数やコンバージョン数といった定量的な指標は数値データにより分析を行い、製品やサービスへのポジティブ / ネガティブといった定性的な指標についてはソーシャルリスニングの投稿データから分析を行います。
定量分析と定性分析を組み合わせることで、プロモーションの効果を正確に測定し、また次のマーケティング施策などに活かすことができます。

詳しくは「SNSキャンペーンの効果測定と効果最大化」をご覧ください。

5)リスクモニタリング

SNSにはポジティブな口コミだけでなく、ネガティブな口コミも投稿されています。
炎上の火種となっている口コミを早期に発見して早期に対策することは、その後の結果を大きく左右します。またSNS炎上の監視だけではなく、自社のサービスや製品に対して、意図していない利用方法を発見することもできるので、誤用による事故を未然に防ぐためのリスクモニタリングとしても活用できます。

詳しくは「SNS炎上対策・リスクモニタリング」をご覧ください。

6)海外の市場調査

インバウンド集客や、グローバル展開には海外のニーズやトレンドの把握が欠かせません。多言語に対応しているソーシャルリスニングツールでは、海外のSNSを分析することでこれらの海外のニーズやトレンドを把握することが可能です。

詳しくは「海外SNS分析・海外市場調査(英語・多言語)」をご覧ください。

ソーシャルリスニングの導入方法・分析ツールの選び方

ソーシャルリスニングの導入を検討する場合、まずはどのようなキーワードに着目すべきか、どういう情報を収集する必要があるかという事前の要件定義をしっかりと行うことをおすすめします。
ソーシャルリスニングは口コミを収集することが目的ではなく、収集したデータを分析してマーケティング施策や商品開発に活かすことが目的です。分析の目的があやふやなまま分析を開始してしまうと、重要な口コミを見落としてしまったり、データを誤って解釈してしまう危険性があります。

そして企業でソーシャルリスニングを導入する方法は①自社でソーシャルリスニングツールを導入する、②当社のようなSNS分析専門企業に分析を依頼するかのいずれかです。長期的にソーシャルメディア上の情報を収集・分析するためには、ソーシャルリスニングツールの導入をおすすめします。
またソーシャルリスニングには様々な分析ツールが存在します。それぞれ分析対象のメディアや言語に違いがあったり、分析機能の特徴が異なるので自社の目的に沿ったソーシャルリスニングツールを選びましょう。

フィルタリングや自然言語処理など分析精度に注目しよう

SNSマーケティング戦略を機能させるためには、正確な測定が欠かせません。
ソーシャルメディア上のデータは個人が自由に投稿していたり、企業による広告が含まれるので、ノイズが多いことが特徴です。日々膨大に生み出されるソーシャルメディア上の投稿からノイズを削除し、分析対象の会話のみを抽出する作業は労力を必要とし、かつ欠かせない作業です。

下記は「タピオカ」に関する投稿の人気キーワードから、「質問箱」等のキーワードを除外した例です。
ノイズフィルタリング事例

ノイズを精査できないツールでは本来の目的と異なったデータを収集してしまい、正確な分析が出来ずに誤った判断につながるリスクがあります。

また投稿された言葉は文脈で理解しなければ正確に分析を行うことはできません。例えば、「ヤバい」という言葉は単語だけではポジティブな投稿の中で使われているのか、ネガティブな投稿の中で使われているのか判断が難しいでしょう。

X(旧Twitter)自然言語分析

自然言語解析(NLP)により、その単語が文脈の中でどのような意図で使われているのかを分析する必要があります。これらの分析精度はポジネガ分析や態度変容分析の正確さに影響します。

世界で支持されるソーシャルリスニングツールQuid Monitor(旧NetBase)

弊社の提供するQuid Monitor(旧NetBase)は日々世界中で投稿されている膨大な消費者の声から、最先端のAI技術を駆使し、リアルタイムで分析が可能なソーシャルアナリティクスツールです。実行スピード、自然言語処理、多彩なフィルタリング機能で他にはない高品質なサービスを提供します。
SNSマーケティング戦略を機能させるためには、正確な測定が最優先です。

2022年に戦略的にSNSマーケティングに取り組みたいと考えている方は、ぜひQuid Monitor(旧NetBase)の概要資料のダウンロードデモをご依頼ください。

本記事の監修者

プロダクト本部 副本部長 山本 豊

山本 豊 プロダクト本部 副本部長

リクルートでキャリアを開始し、マクロミルに入社。マクロミルにて、リサーチ・データ事業の拡大に従事。その後、コロプラにて、リサーチ・データ関連の新規事業の立案・推進。複数のIT企業にてデータ関連事業に関わった後、2021年7月より現職。生成AIアプリ開発ツール「Dify」、ソーシャルリスニングツール「QUID」の拡大に従事。

現在、関連する記事はありません

SNS分析ツールなら
Quid Monitor

お問い合わせはこちら

お問い合わせ
はこちら

お問い合わせ
資料ダウンロードはこちら

資料ダウンロード
はこちら

資料ダウンロード